解説

64bit時代を先取りするItanium 2搭載サーバ「hp server rx2600」

1. Itanium 2搭載サーバの現状と将来

元麻布春男
2002/11/27

解説タイトル


 Itanium 2が量産出荷となったのは2002年7月9日のこと。正式出荷が始まってから4カ月あまり経つことになる。サーバ/ワークステーション向けのプロセッサであるため、クライアントPC向けのプロセッサと異なり、大量に数が出るものではないし、量販店の店頭で見かける機会もほとんどない。しかし、徐々にではあるが市場に浸透しつつあるようだ。もちろんItanium 2は決して安価なプロセッサではない。Itanium 2の中でも最も性能が高い、3Mbytesの3次キャッシュを内蔵した動作クロック1.0GHz版の価格は52万5080円(1000個ロット時)である。このクラスのサーバ/ワークステーションでは、デュアルプロセッサ以上の構成が一般的であることを考えれば、プロセッサだけで100万円以上となり、いかにハイエンド向けであるか分かろうというものだ。

 しかし、案外知られていないのは、3次キャッシュが1.5Mbytesで動作クロック900MHz版のItanium 2が16万6240円と、ハイエンド・サーバ向けプロセッサとしては意外とリーズナブルであることだ。例えば、シングルプロセッサ構成のワークステーションの中には、100万円を切る製品も現れているほどだ。

動作クロック 内蔵3次キャッシュ容量 価格
1.0GHz 3Mbytes 52万5080円
1.0GHz 1.5Mbytes 27万9190円
900MHz 1.5Mbytes 16万6250円
表区切り
Itanium 2の発表時の価格(1000個ロット時)

 Itanium 2搭載サーバは現在のところ身近とはいえるものではない。しかし、インテルはサーバ/ワークステーション市場においてItaniumプロセッサ・ファミリの採用を拡大する予定だ。そして、現行のItanium 2プラットフォームは、2004年に登場予定のプロセッサ「Montecito」(詳細はコラム参照)まで利用可能なことが保証されており、今後3年間に渡って使われることになる。いますぐにItanium 2搭載サーバの導入を考えていなくても、そのプラットフォームの構成を知っておくことは無駄にはならないはずだ。興味半分で、Itanium 2搭載サーバの中身をのぞいてみることにしよう。

Itaniumプロセッサ・ファミリのロードマップ
 
インテルは、2004年までのItaniumプロセッサ・ファミリのロードマップを発表している。2003年に発表予定の開発コード名「Madison(マディソン)」と「Deerfield(ディアフィールド)」で呼ばれる次世代Itanium 2では、製造プロセスが現行のItanium 2の0.18μmから0.13μmに変更される。それに伴い、ハイエンドのMadisonでは内蔵3次キャッシュ容量が6Mbytesと2倍になる。Deerfieldの3次キャッシュ容量は、現行のItanium 2と同じ3Mbytesであるが、動作クロックが向上されることから性能はその分高くなるはずだ。

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Itaniumプロセッサ・ファミリのロードマップ

 その動作クロックだが、IDF 2002 Fall Japanで日本ユニシスが1.1GHz版のMadisonをデモしていたことから、1.1GHz以上となることは間違いなさそうだ。ただ、インテルでは「Itaniumプロセッサ・ファミリでは世代ごとに1.5〜2倍程度の性能向上が行われる」としている。ItaniumからItanium 2では、動作クロックの向上(800MHzから1.0GHz)に加え、3次キャッシュの外付けから内蔵への変更や、実行ユニットの拡張などが行われたことにより、1.5倍以上の性能向上を実現した。Itanium 2からMadisonでは、3次キャッシュを2倍にする以外にどのような変更が加えられるかは不明だ。ただ、ハードウェアとソフトウェアの互換性を保証していることから、実行ユニットの大幅な拡張などは行われないと予想する(コンパイラの改良は行われるだろう)。実行ユニットの拡張などが行われないとすると、動作クロックは1.5GHz程度に設定しないと、1.5倍〜2倍の性能向上は果たせないことになる。あくまでも予想でしかないが、Madisonの動作クロックは1.6GHzもしくは1.5GHzを筆頭に2〜3種類、廉価版のDeerfieldでは1.3GHz前後になるのではないかと思う。2003年になれば、64bit版のWindows .NET Server 2003の正式出荷が始まることから、廉価版のDeerfieldの登場と相まってミッドレンジ・サーバ・クラスまでItaniumプロセッサ・ファミリの採用が開始されるようになるだろう。

 2004年には開発コード名「Montecito(モンテシト)」で呼ばれているプロセッサの出荷が予定されている。製造プロセスは90nmになり、動作クロックの向上ならびに内蔵3次キャッシュの容量拡大が行われる。現行のロードマップでは、この世代の製品としてMontecitoだけが示されているが、Madisonに対するDeerfieldに相当する3次キャッシュの容量を減らした廉価版もラインアップされるはずだ。Montecitoでは、動作クロック2GHz、内蔵3次キャッシュ12Mbytes以上、といった仕様になると予想している。

 IDFなどでのプレゼンテーション資料によれば、マルチ・コア(単一のパッケージに複数のプロセッサ・コアを実装すること)やマルチ・スレッディング(複数のスレッドを並列処理する機能)を実装したItaniumプロセッサ・ファミリの開発も行っているという。製品ラインアップは確実に増えていくことになるだろう。ただ、OSやアプリケーション環境をこれから充実させていかなければならないことを考えると、Itaniumプロセッサ・ファミリが現行のIntel Xeonのように企業内のメール・サーバなどに使われるようになるには、まだ時間がかかるかもしれない。Deerfieldの価格が1つのポイントになるだろう。
(デジタルアドバンテージ)

rx2600はItanium 2搭載のエントリ・サーバ?

 今回取り上げるItanium 2搭載サーバは、日本HPの「hp server rx2600(以下、rx2600)」である。rx2600は、1.5Mbytesの3次キャッシュを内蔵したItanium 2-900MHzまたは3Mbytesの3次キャッシュを内蔵したItanium 2-1.0GHzを最大2個搭載可能な2U(高さ8.9cm)サイズのラックマウント型サーバだ(スタンドを利用することでペデスタル(スタンドアロン)型サーバとしても利用可能)。Itanium 2搭載サーバとしてはエントリ・クラスという位置付けになるが、HP-UX 11i version 1.6、Linux、64bit版Windowsの3種類のOSに対応する。ただし、現在提供されている64bit版Windowsは、「Windows Advance Server Limited Edition」であり、64bit版Windows .NET Server 2003の正式出荷までは機能が限定されたサポートとなる。なお、Windows .NET Server 2003では、Enterprise EditionとDatacenter EditionのみがItaniumプロセッサ・ファミリをサポートする。Windows 2000 Serverに相当するStandard Edition(企業内サーバ向け)とWeb Edition(Webホスティング向け)ではItaniumプロセッサ・ファミリのサポートがない点に注意したい。

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日本HPのItanium 2搭載サーバ「hp server rx2600」
Itanium 2を最大2個まで内蔵可能なサーバ。スタンドを利用することで、ペデスタル型サーバとしても利用できる。Itanium 2搭載サーバの中ではエントリ・モデルとなる。

 では、rx2600の中身を見ていこう。rx2600の中核をなすのは、Hewlett-Packardが独自に開発したhp zx1チップセットだ。hp zx1はシングルプロセッサから最大4プロセッサ構成まで対応可能なサーバ/ワークステーション向けのチップセットである。現時点で、唯一AGPスロット(AGP 4x)をサポートしたItanium 2対応チップセットであり、日本HPからも「hp workstation zx2000」ならびに「hp workstation zx6000」としてワークステーションが製品化されている。実はrx2600とzx6000は、ある程度使用コンポーネントが共通化された姉妹モデル的な関係にあり、本体の外観は非常に似ている。とはいえ、それぞれの用途に応じたチューニングが施されており、まったく同じというわけではない。

 hp zx1チップセットの最も基本的な構成は、クライアントPC向けチップセットのノースブリッジに相当するMIOチップ(Memory and I/Oコントローラ)と、そこに接続するIOAチップ(I/Oアダプタ)の2チップとなる。MIOチップは、DDR-266メモリに対応しており、128bit幅のメモリ・チャネルのデュアルチャネル構成をサポートする。メモリ帯域はチャネル当たり4.3Gbytes/sで、合計8.6Gbytes/sとなる。Itanium 2のシステム・バス帯域は、6.4Gbytes/sであることから、十分なメモリ帯域を確保していることが分かる。また、4ウェイ・サーバなどで、さらにメモリ実装量を確保する必要がある場合は、SMEチップ(Scalable Memory Expander)を併用することで、1Gbytes DIMM使用時に最大48Gbytesのメモリを実装できる(このときメモリ帯域も合計12.8Gbytes/sに向上する)。

 MIOチップからは「rope」と呼ばれるHP独自のポイント・ツー・ポイント接続チャネルが提供され、ここにPCIPCI-Xバス・ブリッジ・チップであるIOAチップが接続される。ropeの帯域は1本当たり500Mbytes/sであり、hp zx1のMIOチップには合計8本のropeが備えられていることから、I/O全体の帯域は4Gbytes/sということになる。またropeは複数本束ねることで、1本分の500Mbytes/sでは足りない高速なデバイスにも対応することが可能だ。

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rx2600の背面
右側が拡張スロット、左側に各種インターフィスが配置されている。イーサネット・ポートは、3つ用意されており、左上側が管理モニタ用、その右下がギガビット・イーサネット対応、その左が10/100BASE-TX対応となっている。

 rx2600では、この8本のropeのうち5本を拡張スロット・モジュールに、残る3本をオンボードI/Oデバイスに振り分けている。オンボードI/Oデバイスとしては、グラフィックス機能(ATI RADEON VE)、ギガビット・イーサネット・コントローラ、10/100BASE-TXコントローラ、Ultra160 SCSI(デバイスとしてはUltra320対応だが、バリデーションはUltra 160まで)などを備える。拡張スロット・モジュールには、合計4本のPCI-Xスロットがあり、うち1スロットに2本のropeが接続され133MHzのPCI-Xスロット(1Gbytes/s)として利用できる。残る3本のスロットも、133MHzのPCI-Xとして利用できるが、こちらはropeが1本しか接続されていないため、ropeがボトルネックになる可能性がある。オンボードでギガビット・イーサネットやSCSIコントローラが搭載されていることから、スロットの拡張性は十分といえるだろう。

  関連リンク 
Itanium 2の正式出荷に関するニュースリリース
rx2600の製品情報ページ
 
 

 INDEX
  64bit時代を先取りするItanium 2搭載サーバ「hp server rx2600」
  1.Itanium 2搭載サーバの現状と将来
    2.rx2600に見るItanium2搭載サーバのハードウェア
 
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