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サーバ・カタログを読み解くためのキーワード

1. サーバ・カタログに見るキーワード

デジタルアドバンテージ
2002/07/04


 サーバ・システムの導入を行う場合、カタログなどを見て仕様を確認するのは当たり前のこと。ただ、カタログには聞き慣れない略称や開発コード名などがごく普通に使われており、しかも難解であることが多い。そこで、本稿ではサーバ関連の開発コード名や最新単語などを中心に、サーバのカタログを読みこなすのに必要な用語をピックアップして解説する。

サーバ・カタログの例

 まず、日本IBMのサーバ「eserver xSeries 360 モデル2RX」の仕様を見ていただこう。製品の詳細については、「プロダクト・レビュー:さまざまな新技術が注ぎ込まれたミッドレンジIAサーバ『eserver xSeries 360』」を参照していただきたい。

モデル 8686
2RX
タイプ ラック(3U)
プロセッサ 搭載CPU数 2(最大4)
タイプ Intel Xeon MP(4ウェイ)
内部周波数 1.50GHz
外部周波数 100MHz
3次キャッシュ 512Kbytes ECC
SMPアップグレード Intel Xeon MP-1.50GHz
CPUアップグレード Intel Xeon MP-1.60GHz/1Mbytes
チップ・セット IBM XA-32
メイン・メモリ 標準容量 2Gbytes Chipkill ECC RDIMM
(PC 1600 DDR SDRAM) DIMM装着状況 512Mbytes×4
DIMMソケット数 8(4)
最大容量 8Gbytes
グラフィックス機能 SVGA(S3 Savage 4)
グラフィックス・メモリ 8Mbytes
ディスク・インターフェイス タイプ Ultra160 SCSI(オンボード)
チャンネル数 1
内部コネクタ 1
外部コネクタ 0
内蔵ストレージ・デバイス フロッピードライブ 3.5インチ(1.44Mbytes/720Kbytes)×1
標準ハードディスク容量 72.8Gbytes(36.4Gbytes Ultra160 SCSI×2)
最大ハードディスク容量 220.2Gbytes
CD-ROMドライブ 24倍速IDE
テープ・ドライブ
ストレージ・ベイ(空) 5.25/3.5インチ・ハーフハイト 1(0)
3.5インチ・スリムハイト 1(0)
ホット・スワップ・ベイ 3(1)
PCI スロット(空) 64bit/66MHz PCI-X 1.0準拠(Active PCI-X対応)×4(4)
64bit/100MHz:64bit/133MHz 64bit/100MHz×2(2)もしくは64bit/133MHz×1(1)
インターフェイス リモートI/Oポート、USB×3(フロント×1、リア×2)、キーボード、マウス、ディスプレイ
ネットワーク 全二重イーサネット 10/100BASE-TX
システム管理プロセッサ リモート管理アダプター(標準装備)
本体サイズ 442(W)×701(D)×133.4(H)mm
重量 24.9kg(最小)/31.8kg(最大)
電源ユニット定格出力 2/3(370W リダンダント:オート・リスタート機能付き)
発熱量 (出荷構成/最大構成) 1045W(3566Btu/Hr)/361W(1232Btu/Hr)
入力電力 (最大) 1.10kVA/0.38kVA
消費電力(最大/標準) 740W/520W
エネルギー消費効率 J区分、0.041
添付ソフトウェア IBM Director V3.1、ServerGuide
付属品 電源コード、電源スイッチ・カバー、ラック型対応レール、ラック導入用テンプレート、ユーザーズ・リファレンス、インストール・ガイド、ドキュメントCDパック
表区切り
eserver xSeries 360モデル2RXの仕様
日本IBMのeserver xSeries 360の製品情報ページより

 この中で分からない単語はどの程度あるだろうか。ここでは、ここからいくつかの単語を抜き出して解説する。また、最近のサーバ関連用語についてもまとめてみた。

ラック(3U)
業界標準である19インチ(約482mm)幅のラック(棚)に搭載可能なことを示す。また、3Uの「U」とはユニット(Unit)のことで、1Uは厚さ約44mmの1区画を指す。つまり、3Uとは厚さ132mmに収まるケース・サイズを採用しているという意味である。
Intel Xeon MP
NetBurstマイクロアーキテクチャを採用したサーバ向けプロセッサで、4ウェイ以上のマルチプロセッサ・システムをターゲットとしている。2002年7月の時点では、動作クロックが1.4G/1.5G/1.6GHzの3種類がラインアップされており、すべて0.18μmプロセスで製造されている(Intel Xeonならびに現在のPentium 4は0.13μmプロセス)。Intel Xeon MPでは、512Kbytesもしくは1Mbytesの3次キャッシュがオン・ダイで内蔵されており、データベース・システムなどで高い性能を実現するという。
ECC
ECC(Error-Correcting Code)は、「誤り訂正符号」の意味。ECCメモリは、メモリ・エラーの発生を検出するだけでなく、エラーが発生したbitを特定して、これを正しい情報に復元する機能を持ったメモリ。デスクトップPCに比べ、高い可用性が要求されるサーバでは、メモリ・エラーによって不正な処理が行われたり、OSがハングアップしたりするのを防ぐため、ECCメモリの採用は必須となっている。
IBM XA-32
IBM独自のIntel Xeon/Xeon MP向けチップセット。開発コード名「Summit(サミット)で呼ばれていたエンタープライズX-アーキテクチャー(EXA)を採用したチップセットで、高可用性と高いスケーラビリティの確保を目的に開発されている。Summitチップセットには、Intel Xeon/Xeon MP向けのほか、Itaniumプロセサ・ファミリ向けも開発されている。両者はデザインの80%が共通であるという。なお、Intel Xeon/Xeon MP向けのチップセットとしては、ServerWorks(Broadcomのチップセット部門)の「Grand Champion LE(GC-LE)」または 「Grand Champion HE(GC-HE)」の方が一般的である。GC-LEが2ウェイ対応、GC-HEが4ウェイ対応だ。
Chipkill
DIMMに搭載された複数のメモリ・チップのうち1チップが故障しても、有効なデータを保持し続けるという技術。IBMによって開発された。Compaq(現 Hewlett-Packard)は、同様の技術を「アドバンストECC」と呼んでいる。
RDIMM(Registered DIMM)
PCなどコンピュータ・システムに搭載されるメモリ・モジュール(DIMM)のタイプの1種。Registered DIMMには多くのメモリ・チップを搭載できるほか、システムに搭載可能なメモリ・モジュール数も多いため、大容量メモリを必要するサーバやワークステーションによく採用されている。しかし製造コストは高めなので、メモリ容量が少なめで済むデスクトップPCやノートPCでは、より安価なUnbuffered DIMMというタイプに分類されるメモリ・モジュールが利用されている。
Ultra160 SCSI
Quantumが中心となって提唱した次世代のSCSIインターフェイス規格。Ultra160 SCSIは、前バージョンであるUltra2 SCSIに対して完全な上位互換性を確保しながら、Ultra2 SCSIの2倍に当たる最大160Mbytes/sの転送能力を実現している。最近では、Ultra160 SCSIのさらに2倍の最大320Mbytes/sの転送能力を持つ「Ultra320 SCSI」に対応した製品も登場しつつある。
PCI-X
PCIをベースに高速化を図った入出力バス規格。PCIと高い互換性を維持したまま、最大転送速度はPCIの2倍である1066Mbytes/sに向上している。ギガビット・イーサネットやUltra160 SCSI、ファイバ・チャネルなどの高速なデバイスに対応するために開発された。当初はサーバやワークステーションを中心として実装される予定。現在、規格策定はPCI同様、PCI SIGで行われている。
Active PCI-X

PCI-X規格に、IBM独自の可用性を向上させる機能を付加したもの。IBMのIAサーバ「eserver xSeries」に採用されている。以下の3つの機能が付加されている。

  • ホットスワップ:アダプタに障害が発生した場合に、稼働中のシステムを停止したり、再起動したりすることなく、交換可能とする機能
  • ホットアド:サーバの稼働中に新しいカードを追加可能にする機能
  • フェイルオーバー:プライマリ・カードに障害が発生した場合に、バックアップ用カードでそのまま作業を引き継ぐ機能
リダンダント
リダンダント(redundant)とは「冗長性を持つ」「余分な」といった意味。この場合は、電源ユニットの冗長構成が可能であることを意味する。具体的には、サーバに複数台の電源ユニットを装備しておき、たとえ1台が故障して機能を停止しても残りの電源ユニットが電力供給を継続する、という仕組みだ。また、たいていのリダンダント電源システムは、ロード・バランシング(負荷分散)の機能も備えている。

 次ページでは、カタログや記事に登場する主なサーバ関連用語やプロセッサの開発コード名を抜き出してみた。カタログなどを読むときの参考にしていただきたい。

 

 INDEX
  [キーワード]サーバ・カタログを読み解くためのキーワード
  1.サーバ・カタログに見るキーワード
    2.主なサーバ関連用語
 
 「System Insiderのキーワード」


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