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特集 3. 1000BASE-Tへの移行のメリット
デジタルアドバンテージ |
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テストの結果を見ると、1000BASE-Tが期待するほど高いデータ転送性能を発揮できていないのは明らかである。これは、前述のように1000BASE-Tの性能というよりも、計測に用いたサーバ/クライアントPCの性能がボトルネックになっていたこと、転送プロトコルとしてはオーバヘッドの大きいSMBプロトコルを利用したテストで検証したことなどが影響しているものと考えられる。また、デバイス・ドライバの完成度という点でも、改善の余地があるのかもしれない。実際、100BASE-TXが出荷され始めた当初も、デバイス・ドライバがバージョンアップされるたびに、大幅にデータ転送性能が向上したという経験がある。
このような現状を考えると、1000BASE-Tへの移行を急ぐ必要はないと思われるかもしれない。実際、LAN全体の1000BASE-Tへの移行は、クライアントPCの多くが1000BASE-Tを標準実装してからでも遅くはないだろう。それ以前に、1000BASE-Tへの移行自体が不要だという考えもある。確かに現在のLANの使われ方を前提にすると、1000BASE-Tの必要性はあまり感じない。しかし、ここで気を付けなければならないのは、1度構築されたLAN環境は、サーバやクライアントPCよりも寿命が長いということだ。1000BASE-Tが、100BASE-TXとほぼ同様の期間にわたって利用されると考えると、これから7年程度は使われることになる。その間にサーバ/クライアントPCの性能が順調に向上すると考えると、その性能は10倍になり、もはや100BASE-TXではシステム性能に対して十分な帯域を提供できなくなってしまうことは明らかだ。これは、LANの性能がボトルネックとなり、サーバ/クライアントPCへの投資が有効に生かせない、ということでもある。
また、ネットワークの使われ方の変化についても考慮する必要があるだろう。10BASE-Tのときは、プリンタやファイルの共有が主なネットワークの利用方法であった。この場合のファイルの共有は、主にサーバやクライアントPC間におけるファイルの交換であり、サーバ上のファイルを直接編集するようなことは、ネットワークが遅いため考えられなかった。ところが、100BASE-TXに移行することで、次第にサーバ上に置いたファイルを直接編集したり、多人数で共有して利用したりすることが当たり前のようになった。こうしたLANの利用方法が当たり前になった現在、多人数で共有するファイル・サーバとスイッチング・ハブはアクセスが集中し、100BASE-TXでは限界を迎えつつある。まず、この部分を優先して1000BASE-Tにすることで、ファイル・サーバに対するボトルネックをある程度解消できる可能性がある。ちょうど10BASE-Tの時代に、優先してサーバとハブ間を100BASE-TX化(ビックパイプ化)したのと同じ理由だ。
もちろん、こうした既存のLANの利用方法でも、1000BASE-T化にメリットはある。だが1000BASE-Tへの移行によって、100BASE-TXで起きたようなLANの利用モデルの変化も十分に起こり得るはずだ。その1つとして考えられるのが、グリッド・コンピューティングといった分散コンピューティング環境の普及だ。すでに製薬会社などの一部では、クライアントPCの利用率が低い夜間の時間帯に、社内のPCをグリッド技術で接続し、化学解析などのアプリケーションを実行しているという。このように複数のPCをLANで接続し、負荷の高い処理を分散して実行するには、高速なLANは不可欠である。極端な話、プロセッサ・バスと同程度の帯域を持つネットワーク技術が開発されれば、複数のPCを接続するだけで疎結合のマルチプロセッサと同等のシステムが構築可能になる。このように1000BASE-Tへの移行は、社内のコンピューティングやストレージを1つの巨大なリソースとして利用・運用できる、新しい世界への第一歩となる可能性を秘めたものなのだ。また、そうした世界を目指して、すでに多くのベンダがシステムやソフトウェアの開発を行っている。
前述のように1000BASE-Tへの移行を急ぐ必然性はそれほど高くない。しかし、次の新しい企業コンピューティングの世界を実現するためには必須の技術であるのは間違いない。1000BASE-Tへの移行は、こうした新しいコンピューティング環境への投資の側面があることは感じておきたい。いつ、1000BASE-Tへの移行を行うのがよいのかは、各企業の事情によっても変わってくる。しかし、これから導入するネットワーク機器では、最低限1000BASE-Tへの移行を考慮しておく必要があるだろう。![]()
| INDEX | ||
| [特集]1000BASE-Tへの移行で気になるコストと性能 | ||
| 1.100BASE-TXから1000BASE-Tへの移行を考える | ||
| 2.1000BASE-Tの実力を計測する | ||
| 3.1000BASE-Tへの移行のメリット | ||
| 「System Insiderの特集」 |
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