3回目にして完成形を迎えた「おばかアプリ選手権」D89クリップ(12)(3/5 ページ)

» 2009年11月20日 00時00分 公開
[仲里淳@IT]

おばかの原点は身近なものを流用した問題の解決

<選手情報3>
チームラボ
「らぼかへ」「アクトトイレ」
山本遼

チームラボの山本遼さん。「くだらないものを真剣に開発する」ことで有名な同社の代表ということで期待が高まる チームラボの山本遼さん。「くだらないものを真剣に開発する」ことで有名な同社の代表ということで期待が高まる

 チームラボでサーバサイドのエンジニアをしている山本遼さんの1つ目のアプリは「らぼかへ」。「社内(チームラボ)のカフェ」という意味で、いわゆるコーヒーメーカーである。しかし、当然ながらどこにでもあるコーヒーメーカーではなく、LAN経由でWebブラウザを使ってコーヒーの残量確認ができるという代物だ。コーヒーにうるさい割に、インスタントや缶コーヒーで妥協する社員が多いことから、「みんながおいしいコーヒーを飲めるようにしたい」という思いで開発されたという。

 面白いのは、その残量確認のための仕組み。段ボールの箱に穴を開け、コーヒーポットを通して得られる光を認識することで、センサとして応用している。

らぼかへシステム。左にあるのがコーヒーメーカーで右にあるのが残量確認サーバ用のPC。その間にある一見ゴミのような段ボール片が残量センサ らぼかへシステム。左にあるのがコーヒーメーカーで右にあるのが残量確認サーバ用のPC。その間にある一見ゴミのような段ボール片が残量センサ
コーヒー残量のセンシングは、外見とは裏腹にちょっぴり高度。Webカメラの画像や映像をそのまま送らずに数値化することで、情報の通知方法の幅は広がる コーヒー残量のセンシングは、外見とは裏腹にちょっぴり高度。Webカメラの画像や映像をそのまま送らずに数値化することで、情報の通知方法の幅は広がる

 さらに、残量は専用のWebページを開いて確認するのではなく、Firefoxのアドオンを使ってステータスバーでアイコン表示される。手軽に通知する方法なら、Twitterやインスタントメッセンジャー経由でと発想しがちだ。しかしそれでは「流行に流され過ぎてて負けだろ」という、ひねくれとも発明家魂ともとれる姿勢でこのやり方にたどり着いたという。

 Webカメラ経由の画像でコーヒーの残量を確認するのは、ネットの黎明期からある方法。そのやり方を踏襲するのではなく、新しい発想で形にした点は素晴らしい。なお、1杯60円で販売されているため、いちおうビジネスとして成立しているそうだ。

 もう1つのアプリ「アクトトイレ」は、「トイレの個室に癒しを」というコンセプトで開発。トイレットペーパーを引き出す際のペーパーの回転を認識して、それに応じた映像を小型ディスプレイに表示するというシステムだ。ペーパーの軸自体は回らないため(けっこうこのタイプが多い)、回転のセンシングには光学マウスを応用。通常はマウスを動かすところを、床(ペーパー)の方を動かすというわけだ。

アクトトイレの試作品。トイレットペーパーの上には回転を感知する光学マウス。ディスプレイには、回転する地球(?)の上を走るマウス(しゃれか!)の映像が表示される。ペーパーが切れやすいのが現在の課題だという アクトトイレの試作品。トイレットペーパーの上には回転を感知する光学マウス。ディスプレイには、回転する地球(?)の上を走るマウス(しゃれか!)の映像が表示される。ペーパーが切れやすいのが現在の課題だという

 ペーパーの回転に合わせて表示されるのは、走り回るマウスの映像。ペーパーを速く引き出せば猛ダッシュする。しかし、その姿があまりにもかわいいため、ペーパーをついつい無駄に使うという現象が多発。そこで、「速く走らせ過ぎるとマウスが死んじゃう」というエコエディションに改良した。 ところが、今度はサディスティックな感情からマウスを死に至らしめようとペーパーをいっそう無駄遣いする社員が現れたという。いやはや。

 

博愛心によるエコを目指したら、サディスティックな社員に台無しにされちゃうところがおばか。


科学を進歩させるのは、いつの時代もエロ

<選手情報4>
カヤック
「タニマニア」「パンティノン神殿」
林真由美、瀬尾浩二郎

林真由美さんと瀬尾浩二郎さん。この2人、洗練されたアプリを数多く生み出すことから「おしゃれファクトリー」と呼ばれているそうだが、おそらく自称 林真由美さんと瀬尾浩二郎さん。この2人、洗練されたアプリを数多く生み出すことから「おしゃれファクトリー」と呼ばれているそうだが、おそらく自称

 イベントが後半戦へ突入したところで登場したのは、第1回でペイパーボーイ賞に輝いたカヤックの林真由美さんと瀬尾浩二郎さんのペア。ネット業界の面白企画といえば真っ先に名前の出てくるカヤック。そのラボ機関であるBM11(ブッコミイレブン)から生み出されたのが今回披露した2つのおばかアプリ。どちらもiPhone用アプリで、その名も「タニマニア」と「パンティノン神殿」。

 タニマニアは、撮影した女性の胸部に、画像処理によって谷間を形成するというアプリで、平たくいえば「ボイン化ツール」だ。またしても「おっぱい」ネタ。「ブルータス、おまえもか」である。

 男性の3人に1人が「あの子、おっぱいがもうちょっと大きかったらな……」と思ったことがあるという、カヤックの独自調査に基づいて開発されたという。具体的には、iPhoneのカメラで女性のポートレート写真を撮影し、そこにボイン化の画像レイヤを重ね合わせることで谷間ができてしまう。好みに合わせて「大盛り」と「特盛り」のサイズが選べるほか、ホクロも追加できる。お寿司にガリが付きもののように、谷間にはホクロである。ちなみに、筆者は巨乳よりは微乳という立場だが、このホクロにはグッとくる。

 また、デモはなかったものの、おしりにも対応しているとのこと。とはいえ、「尻の割れ具合がイマイチなんだよね」というシーンは筆者には想像できないので、どういった使い道があるのかはなんとも。

司会の2人がタニマニアを体験。谷間とホクロの位置調整をし始めると集中しすぎて、司会を忘れて無言に。対象は女性だけでなく男性に対しても使えるので、将来そういった計画のあるそっち系の男性も試してみるといいだろう 司会の2人がタニマニアを体験。谷間とホクロの位置調整をし始めると集中しすぎて、司会を忘れて無言に。対象は女性だけでなく男性に対しても使えるので、将来そういった計画のあるそっち系の男性も試してみるといいだろう

 もう1つのパンティノン神殿は、女性があたかもパンツをはいていないかのように画像処理をするアプリ。

 これまた男性の3人に1人が10代のころに「目の前の子がパンツをはいてなかったらなぁ……」と妄想したことがあるという、カヤックの独自調査に基づいて開発されたとのこと。具体的には、女性の脚部に下着の画像レイヤを重ね合わせるというもの。たったこれだけのことだが、確かにそう見えてくるから不思議。人類の神秘である。この原理は、「グラビア写真のビキニ部分をスミベタで適当に塗りつぶすとアラアラ不思議ヌード写真であったかのように見えてしまうエフェクト」と同種のもの。専用アプリならではの機能として、5種類の下着から選択できる。加工対象となる写真はスカート姿が最適だが、ジーンズ姿などでもアクロバチックな妄想が広がる。

パンティノン神殿のビフォアーアフター。ここまで来ると変態の域まではあと少し。ある意味、カヤック流AR(拡張現実)か? パンティノン神殿のビフォアーアフター。ここまで来ると変態の域まではあと少し。ある意味、カヤック流AR(拡張現実)か?

 パンティノン神殿は現在App Storeで審査中だが、タニマニアは年齢制限なしで審査が通っている(Tanimania / タニマニア - 面白ラボBM11(ブッコミイレブン) 2009)。

 最後に、瀬尾さんが「エロアプリばっかりじゃなんですから」とおまけ程度に披露したのが「おばか」ならぬ「お墓」アプリ。デスクトップのゴミ箱が棺桶になっており、ゴミを捨てると墓標が立ち、しばらくすると霊となって画面を飛び回るというもの。2、3回やってみたらお腹いっぱいなりそうなアプリである。霊は、成仏させるとお墓とともに消える。

ごみが成仏していく様子 ごみが成仏していく様子

拡張妄想という新たなジャンルを切り拓いたところがおばか。おっぱいを出せばいいと思っているところがおばか(本日2回目)。

当日のカヤックのプレゼン資料(キーボードの[→]で進み、[←]キーで戻ります)

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