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D89クリップ(15) Webデザインのヒントになるインタビュー

Flash CS5のiPhoneアプリ変換機能は
無駄にならない

@IT編集部
2009/12/24

iPhoneアプリが作れるFlash CS5のベータ版提供が中止

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 米アドビ システムズ(以下、アドビ)が10月5日、新製品を発表する年次イベント「Adobe MAX 2009」において、Flashオーサリングツール「Adobe Flash Professional」の次期バージョンCS5(以下、Flash CS5)で作成したFlashアプリケーションをiPhone/iPod touchで動くアプリケーションに変換できるようにすると発表してから、2カ月ほど経過した(参考:FlashアプリがiPhoneで動く――Adobeが変換ツール〜Adobe MAX 2009でお披露目)。

 アドビは、Flash CS5のパブリックベータ版を年内には提供開始して、iPhoneアプリ変換機能を使えるようにするとも発表していたが、先日(12月17日)Flash CS5のパブリックベータ版の提供を中止する連絡が届いた(参考:Adobe Flash Platform Blog 「There will not be a beta for Flash Professional CS5」)。

 世界中のFlash制作者には残念なことになってしまったが、それではFlash CS5のiPhoneアプリ変換機能は具体的にどのようなものになるのか。11月28日にベルサール汐留にて開催された、Flash制作者のためのイベント「FITC Tokyo 2009」で、米アドビ システムズのプラットフォーム・エバンジェリストのLee Brimelow(リー・ブリムロー)氏が行った基調講演や、その後@IT編集部で行ったブリムロー氏へのインタビューから、そのほかのFlash関係の発表(Flash Player 10.1やAdobe AIR 2.0、Flash Lite 4.0、Flexでのモバイル開発など)に関する情報を交えて、お伝えしよう。

基調講演「Sneak Peek of Max 2009」に登壇中の米アドビ システムズのプラットフォーム・エバンジェリストのLee Brimelow(リー・ブリムロー)氏

 現在かかわっているプロジェクトや役割についてインタビューでたずねると、ブリムロー氏は「私は、現在アドビでFlashのプラットフォームに関するプリンシパルプロダクトマネージャーという役職をもらっています。一番大きな役割は基本的に開発者たちと常に接触を保ち続けるということです。つまり、開発者たちが何を考え、何を求め、何に情熱を傾けているのかをアドビとして理解することです。また、それだけではなく逆に開発者たちに、アドビがいま何をしていて、なぜそんなことをしていて、基にあるビジョンは何なのかを理解してもらう役割もあります。最初は、米マクロメディアに入社していて、そのころから含めて約8年Flashランタイム向けアプリケーションの構築に取り組んでいます」と答えた。

Flash CS5のiPhoneアプリ変換の流れ

 ブリムロー氏は基調講演において、Flash CS5のiPhoneアプリ変換の手順を、以下のように説明した。

Flash CS5のiPhoneアプリ変換の手順(ブリムロー氏のプレゼンテーションより)

 まず、通常のiPhoneアプリ開発と同様に、iPhone Developer Programにサインアップして開発者登録を行い、証明書とプロビジョニング・プロファイルを作成しなければならない。その後、証明書をPKCS(Public Key Cryptography Standard)#12の証明書(.p12形式のファイル)に変換しておく必要がある。

 Flash CS5では、新規でiPhoneのプロジェクトを作成し、通常のFlashアプリを作るようにアプリケーションを作成する。ブリムロー氏は、基調講演のデモで簡単なボールが動くアプリケーションを作り、まずはFlash Player上で動くアプリケーションとしてテストで書き出した。

まずは、Flash Player上でテスト

 作成したFlashアプリをiPhoneアプリにするには、証明書の設定をする必要がある。Flash Proは以前のバージョンからAdobe AIR(以下、AIR)アプリ(.airファイル)として書き出せるが、その設定を行うときに、前述のPKCS#12の証明書が必要だ。

PKCS#12の証明書へのパスを入力

 そして、書き出し設定で、iPhoneアプリのファイル形式(.ipaファイル)として書き出すチェックを付けて書き出す。ほかのチェックを付ければ、一斉に.airファイルや.dmg/exeファイルなど複数の形式で書き出すこともできる。

[iPhone(.ipa)]にチェック

 書き出した.ipaファイルをiTunesに登録し、iPhone/iPod touchと同期するという流れだ。

[iTunesに登録してiPhone/iPod touchと同期(真ん中にある「CoolBall」が変換機能で作成されたiPhoneアプリ)

 詳細は、ブリムロー氏のWebサイト「gotoandlearn.com」にある「Building iPhone Applications with Flash」の動画でも確認できる。

Flash CS5とiPhone SDKで作るアプリの違い

 基調講演後の受講者からの質問もFlash CS5のiPhoneアプリ変換機能に関するものが多く、期待の大きさがうかがえた。例えば、「Windows上でiPhoneアプリを開発できるようになるのか」という質問があり、ブリムロー氏は「できる」と答え、「iPhoneアプリで消費するメモリのチェック機能があるが」との質問には「Flash CS5でもできるようにする」と答えていた。

 では、Flash CS5の変換機能で作ったiPhoneアプリと従来のiPhone SDKのObjective-Cで作ったiPhoneアプリではパフォーマンス面などでどれくらいの違いがあるのだろうか。これについてブリムロー氏はインタビューで、次のように答えた。

「どのようなタイプのアプリを作るかで変わりますが、3Dを使ったゲームとなると、OpenGLを駆使したObjective-Cを使った方がいいと思います。やっぱりFlashで作ると、パフォーマンス的に限界があります。もちろん、それ以外のものならFlashでも対応できますが、Papervision3DのようなものをiPhone上で動作させることはできません。しかし、Flash CS5でもハードウェアアクセラレーションができるiPhoneアプリは作成可能で、その例は今日の基調講演でもお見せしましたが、ほとんどのゲームを作るのに十分な性能を出せるはずです」

複数のサイコロが3D的に動くiPhoneアプリのデモ
複数のサイコロが3D的に動くiPhoneアプリのデモ

「Objective-Cで今日お見せしたようなアプリを作るというのは、とても大変な作業です。Objective-Cはとても難しい言語なので、JavaやActionScript 3で作った方が簡単です。Flash CS5の変換機能の一番のメリットは、Flashさえ使いこなせれば、iPhoneアプリの開発者になれるということでしょう」(ブリムロー氏)

 また、アプリで扱う画像や音声、動画ファイルのフォーマットなどについては、違いがあるのか。ブリムロー氏は「アセットのフォーマットはFlash Playerで扱えるものに限られます。例えば、mp3やflv、H.264、jpgなどです。逆にいうと、aiffファイルはObjective-Cで作るiPhoneアプリではサポートしていますが、Flash CS5の変換機能ではサポートしていません」と説明した。

 ほかにも、基調講演後の受講者からの質問への回答でブリムロー氏は次のように答えていた。「Flash CS5の変換機能で変換したiPhoneアプリは、iPhone SDKで開発したものよりもファイルサイズが少し大きくなる」と明かした。「ファイルの中に小さなVMが入っていてActionScript 3のコードを走らせる」のだという。

アドビはiPhoneのFlash Player搭載をあきらめてしまったのか?

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