ユーザビリティのヒント(2)

「メールが送信されました」
伝えるのなら、控えめに
「Yahoo!メール vs Gmail」

ソシオメディア 上野 学

2006/7/28

 コモンケースにいちいち確認を取らない

 前回の「多くのユーザーは一度に1本しかジュースを買わない」でも触れたとおり、インタラクションの設計では、ユーザーの一般的な使い方、つまりコモンケースにおけるユーザビリティを重視しなければなりません。これは確認ダイアログにも当てはまります。たとえ不可逆的な操作(メールを送信する、など)であっても、それがそのシステムを利用してユーザーが頻繁に行うことであるならば、確認ダイアログは不要です(ただし、操作ミスによって重大な損害を生ずるようなクリティカルなシステムでは、この限りではありません)。メールアプリケーションで、メールを送信しようとするたびに「本当に送信しますか?」と聞かれるのでは使い勝手が悪過ぎます。

 例えば、これはウェブの話ではありませんが、あるビデオゲームでは、プレイの途中でセーブしようとすると、次のような手順を踏まなければなりませんでした。

  1. コントローラのボタンを押して、画面上にオプションメニューを呼び出す
  2. オプションメニューから「セーブ」を選択する
  3. 「どこに保存しますか?」と聞かれ、メモリカードの一覧が表示される
  4. メモリカードを選択する
  5. メモリカード内のスロットの一覧が表示される
  6. スロットを選択する(前回に保存した先)
  7. 「上書きしますか?」と聞かれる
  8. 「はい」を選択する
  9. 「正常にセーブされました」とメッセージが表示される
  10. コントローラーのボタンを押してメッセージを閉じる
  11. 再び「どこに保存しますか?」と聞かれ、メモリカードの一覧が表示される(つまり3に戻った)
  12. 「キャンセル」を選択する
  13. 「キャンセルしてもよろしいですか?」と聞かれる
  14. 「はい」を選択する

 単純にゲームの途中でセーブしたいだけなのに、これだけの手間が掛かり、しかも書き込みや読み込みに時間がかかるため、ゲームを再開するまでに1分ぐらいかかるのです。このインタラクションは明らかに問題でしょう。ゲーム途中でのセーブは「コモンケース」であるため、本来なら、1アクションで上書き保存できてしかるべきです(一般的なデスクトップアプリケーションなら、Ctrl -Sでほぼモードレスに上書き保存できますから)。もしかしたら、ゲーム作者が難易度を上げるためにわざとセーブしにくくしているのではないかと思ってしまったほどです。

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 INDEX

ユーザビリティのヒント(2) 
  Page1<できるだけウィンドウオブジェクトを制御しない>
  Page2<正常であることを報告するためにダイアログを使わない>
  Page3<可逆的な操作に対していちいち確認を取らない>
Page4<コモンケースにいちいち確認を取らない>
  Page5<フリップフロップを使わない>
  Page6<基本コントロールの振る舞いを変えない>

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