連載インデックス「アクセス解析結果を活かす術」
連載:アクセス解析結果を活かす術(1)

アクセス解析の結果に混乱しないための
数字の読み方


安西敬介(dIG iT

2008/6/19
あなたは、Web解析をうまく利用できていますか? 指標の意味を理解し、数字の読み方を学んで、Webサイトの運営戦略に役立てましょう(編集部)

 アクセス解析の数字に惑わされないためには

 Webサイトの運営者は、より多くのユーザーに目的の行動を促すために、さまざまな試みをしています。特集:アクセス解析ツール比較「アクセス解析ツールを比べてみよう」で紹介したような手軽に利用できるツールもあるため、ユーザーのアクセス行動を解析するのも容易になってきています。

 ただ、アクセス解析はしたものの、そのデータの活用方法となると、まだまだ模索中という読者が多いのではないでしょうか。もちろん、数字を読んで、活用してくれるような高価なツールも開発されていますが、その中身や考え方について知っておくことも重要です。

 本連載では、某EコマースサイトのPG、SE、コンテンツディレクターを経て、現在は分析/マーケッタである著者の経験から得た教訓を、皆さんと共有しながら、アクセス解析結果の解析や活用の方法を探っていきたいと思います。

 まず、第1回目の今回は、指標の意味を理解すること、Web解析をうまく利用するために読む数字について説明します。

 第2回目以降は、場合によって指標の見方を変えることの重要性や、サイトの悪い部分を洗い出す方法、KPI(Key Performance Indicator)設定の方法、ランディングページの作り方、コンバージョンフローの対応、シナリオを立ててテスティングする方法について明らかにしていきましょう。

指標の意味を理解すること

  最近のWebアクセス解析ツールは機能が良くなり、さまざまな指標が取れるようになってきています。その半面、何の指標が何を表しているかが分からなくなり混乱してしまうことも多々あるでしょう。また、基本的指標などはそのまま利用せずに、割り算などの計算を行うことで初めて意味が出てくるものもあります。

 指標がどのように計測されているかを理解することは、その指標をどのように評価していくかの近道でもあります。まずは基本的な指標が、どのような方法で計測されているかを見ていきたいと思います。

ページビュー - 規模感をつかむ

 ページビューは最もメジャーな指標で、あるアンケートではWebアクセス解析ツールを導入している企業の7割が確認している指標です。この指標はHTMLのページが呼び出された回数を計測したものです。あくまでページが呼び出された回数だけを見るもので、読まれたかどうかは分かりません。

 ページビューはサイトの規模感を知るためには非常に良い指標ですが、そのままではサイトの改善などには利用しづらい指標です。しかし、そのほかの指標と合わせることでさまざまなことを教えてくれる指標となっています。

訪問者数 - Webブラウザの数

 訪問者数とは、そのサイトに訪問した人数として表されることが多い指標です。この計測にはCookieを利用して計測するツールがほとんどです。初めてサイトを来訪した際に、Cookieによって個を識別し、再度来訪があった場合はそのCookieの値によって識別を行っています。

 この訪問者の管理はあくまでCookieで管理されているということに注意をすべきでしょう。Cookieというのはブラウザに保存されるものであり、PCや人に保存されるものではないからです。

 つまり同じ人が操作していたとしてもブラウザが違えば、別の人としてWeb解析ツール上では扱われてしまいます。ツールによっては、会員番号など別のIDで「個人」を特定できるものも出てきていますが、現状のほとんどがブラウザでの識別といってよいでしょう。

訪問回数 - 1セッションが1訪問

 訪問回数とは、サイトに何回訪問したかを表す指標です。この指標を知るためには、セッションについて知っておく必要があります。

 セッションとは、個を認識しながら1回の訪問を計測する考え方です。このセッションの計測についてはツールによって若干の違いがありますが、共通の考え方として「サイトの訪問開始から一定時間の操作がないと、いったんそこでセッションが終了」つまり、訪問終了という計測となります。再度訪問を行った際は、また、別のセッション(訪問)として計測されます。

 逆に一定時間内であれば、途中で別のサイトに来訪していようと1回のセッションとして扱われますので注意が必要です。

入り口数 - TOPページ以外からの流入

 サーチエンジンの普及とSEOの流行とともにサイトへの訪問はTOPページ以外からの流入が増えています。

 入り口数とは、ページごとのサイトへの訪問の入り口ページとなった回数をカウントしたものです。入り口数を知ることで、そのページがどのくらいサイトの流入に貢献しているかを知ることができるでしょう。

直帰数 - 間違い訪問と判断された数?

 「検索をして、その検索結果をクリックしたら目的とは合わないページであった」。誰でも経験のあることではないでしょうか。サイト側で考えると、これは訪問したページ(入り口ページ)だけを参照して帰ってしまった(セッションが終了してしまった)ということになります。

 この1ページしか参照せずに帰ってしまった件数を表しているのが直帰数です。この直帰数は入り口数とともにサイトを改善していく第一歩として非常に有用な指標の1つです。

離脱数 - 目的行動に到達できない数

 直帰数と近い指標のため、非常に混乱しやすいのがこの離脱数です。この指標は、特定のページでサイトの訪問が終わった(セッションが終了した)回数を表しています。

 この離脱数は利用目的や場所を限定しないと、数字を解釈するのに非常に難しい指標となっています。例えばお客さま情報の入力画面などでこの離脱数を見ると分かりやすいでしょう。離脱数を見ることでどのくらいの人がその入力フォーマットの難しさで断念しているかが分かると思います。

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 INDEX
連載:アクセス解析結果を活かす術(1) 
Page1
アクセス解析の数字に惑わされないためには│指標の意味を理解すること│ページビュー - 規模感をつかむ│訪問者数 - Webブラウザの数│訪問回数 - 1セッションが1訪問│入り口数 - TOPページ以外からの流入│直帰数 - 間違い訪問と判断された数?│離脱数 - 目的行動に到達できない数
  Page2
計算して応用する - 独自の指標を作ろう│平均ページビュー数│平均訪問回数│直帰率
離脱率
  Page3
Web解析をうまく利用するために│グラフにする│グループ化する│変化を比較する│想像する

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