結局、RIAはどれを使うべきなのか?
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検証特集:結局、RIAはどれを使うべきなのか?(2)

“不況”時代を切り拓く、7つのRIA技術の基礎知識


クラスメソッド株式会社
福田 寅成
2009/2/4
いま注目されている“RIA”に関しての入門連載です。RIAの概要と主要なRIA技術たちを紹介し、サンプルアプリケーションも作ってそれぞれを検証します

もう1度中立的な立場でRIA技術を比べてみよう

 今回は、前回「未曽有の不況を打開する救世主? RIAとは」の概論を基に、具体的にいくつかの代表的なRIA(Rich Internet Application)/リッチクライアント構築技術を紹介していきます(アルファベット順)。ただし本記事では、どのRIA構築技術が良いか悪いかという技術比較は行っていません。あらかじめ、ご了承ください。

 また、できるだけ意識的に中立な立場で記事を読んでみてください。例えば、いま.NETを使っている方もいったん中立的な視点で、.NET以外に関しての内容やそこから派生するリンク先を参照してください。現在、後述するFlexを使っている方も、Flex以外のRIAの記事をいったん中立的な視点で読んでみてください。

 記事の内容が必ずしも中立的ではないかもしれませんが、そういった視点で本稿を読んでいただけると、何か新しい発見が必ずできると思います。

今回の紹介する主なRIA技術

もはや説明不要の新しくて古い技術、Ajax
日本発でモバイルや帳票にも強い、Biz/Browser
3Dを使った高度なUIも実現できる業務系の老舗、Curl
Flashベースでデザイナの実績が多い、Flex/AIR
もう「遅い」とはいわせない Javaの進化系、JavaFX
Java/Ajaxベースでリアルタイムに強い、Nexaweb
.NETの資産をマルチOSで生かせる、Silverlight
そのほか、有用なRIA技術は多数

もはや説明不要の新しくて古い技術、Ajax



 HTMLベースWebアプリケーション(以下、HTML Webアプリケーション)のAjaxによるRIA化も、最近はたくさん行われるようになってきました。既存のHTML Webアプリケーションの一部の使い勝手(ユーザビリティ)の向上に利用したり、Ajaxならではの機能を使って、これまでのHTMLでは実現できていなかったユーザーインターフェイス(以下、UI)を実現したりしています。

いまさら聞けない、“Ajax”とは何なのか?
いまさら聞けないリッチクライアント技術(3)
 
Googleマップで有名になり、もはやWebの定番といっても過言ではないAjax。その生い立ちや仕組み、構成技術について解説
リッチクライアント & 帳票」フ ォーラム 2007/8/23

 ここでのAjaxは狭義には非同期のXML通信処理のことですが、広義にはHTMLとJavaScript(ライブラリ)を中心としたRIA開発環境のことをいいます。AjaxをRIAに含まない場合もありますが、ユーザーにとって使い勝手や見た目(以下、UI)が洗練化されていればそれはRIAであり、伝統的な技術であろうが最近出てきた最新技術であろうが関係ありません。ですので、本記事ではAjaxもRIA技術の1つとして挙げています。

 Ajax開発では多くのオープンソースのライブラリが使われていて、ほかのRIA技術に比べても実に多数のライブラリがリリースされています。開発周りでも各種ツールがAjax開発をサポートするようになり、デバッガなども豊富にそろってきているので、以前のJavaScript開発の苦労に比べると、現在のAjax開発は相当楽なものになっています。

 しかし、依然としてJavaScriptやHTMLによるWebブラウザごとの動作の違いに苦しめられることも多く、その課題をクリアする仕組みやツールが待たれるところです。

最初に見るべきAjaxリンク集

 @ITの連載にも多くのAjax関連記事があるので、いくつか紹介しておきます。

日本発でモバイルや帳票にも強い、Biz/Browser



 アクシスソフトが提供する純日本製RIA技術がBiz/Browserです。1999年には登場しており、現在モバイル(Windowsモバイル)向けにも本格的にRIAを展開している数少ないRIA技術の1つです。日本国内の定型業務のRIA化に特化していて、帳票周りのツールもそろっています。

Biz/Browserの印刷機能を強化する帳票生成エンジン
帳票ベンダ・インタビュー(15) 40万クライアントの導入実績を持つアクシスソフトのBiz/Browserに、Javaのクラスファイルとして提供される帳票生成エンジンが登場した
リッチクライアント & 帳票」フォーラム 2007/5/17

 「CRS(Chain Reflection Script)」と呼ばれるJavaScriptライクなオブジェクト指向言語を用いて開発し、Javaなどの言語で開発されたサーバアプリケーションと通信するタイプのRIAを構築可能です。Biz/BrowserアプリケーションはWebブラウザプラグインで動くOPEモード、単独のアプリケーションとして動くアプリケーションモードの2つの形態を選択可能なRIA技術です(後述するCurlJavaFXNexawebと同じ感じです)。

 やはり日本の業務に特化した各種機能(数値チェック、漢字ひらがなの扱いなど)が完備されているのが、大きな特徴です。歴史が古いことからすでに多数の事例が公開されていて、サポート体制なども用意されています。また、動作環境はWindowsのみですが、古いWindowsから最新のWindows Vistaまで一貫して同じアプリケーションが同じ動作を実現するというのも見逃せません。

 2008年は、1月に10周年記念キャンペーンが行われ、2月にはBiz/Browserと連携する静脈認証ソリューションが登場しました。10月にはWebシステム自動生成ツール「Wagby」との連携も開始しました(参考:Webシステム自動生成ツール「Wagby」と業務向けRIA技術が連携)。

最初に見るべきBiz/Browserリンク集

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 INDEX
検証特集:結局、RIAはどれを使うべきなのか?(2)
“不況”時代を切り拓く、7つのRIA技術の基礎知識
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もう1度中立的な立場でRIA技術を比べてみよう
もはや説明不要の新しくて古い技術、Ajax
日本発でモバイルや帳票にも強い、Biz/Browser
  Page2
3Dを使った高度なUIも実現できる業務系の老舗、Curl
Flashベースでデザイナの実績が多い、Flex/AIR
  Page3
もう「遅い」とはいわせない Javaの進化系、JavaFX
Java/Ajaxベースでリアルタイムに強い、Nexaweb
  Page4
.NETの資産をマルチOSで生かせる、Silverlight
そのほか、有用なRIA技術は多数
RIA技術を学ぶ際に最初に注意しておきたいこと
サンプルでFlex、Silverlight、JavaFXを徹底比較!



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