本書は、Windows 2000カーネルの内部を詳細に解説したユニークな解説書である。Windows NT 3.1を対象として執筆された初版、Windows
NT 4.0を対象として執筆された第2版に続く第3版にあたる。このうち初版は、DECでマニュアル制作などを担当していたHelen Custer氏によって執筆されたが、第2版からは、DECでVMSオペレーティング・システムの開発経験を持つDavid
Solomon氏にバトンタッチされ、大幅な加筆・修正が加えられた。今回の第3版では、第2版をベースとして、著者として新たにMark Russinovich氏を迎え、対象をWindows
NT 4.0からWindows 2000に代えて、加筆・修正がなされている。
このMark Russinovich氏は、Windows 98環境からNTFSボリュームを読み書き可能にするファイル・システム・ドライバや、システム解析ツールなどを開発・販売しているWinternals
Software社の共同設立者の1人であると同時に、第一線のプログラマでもある(Winternals
Software社のホームページ)。Russinovich氏は、開発したツールを無償提供する「Sysinternals」という別のサイトも運営している。本書の付録CD-ROMには、このSysinternalsで公開されているツール群や技術解説ドキュメントなどが収録されている(またこの付録CD-ROMには、本書の全ドキュメントをヘルプ・ファイルにしたものも収録されている)。
第2版からの著者であるDavid A. Solomon氏は、Windows NTの生みの親であるDavid Cutler氏と旧知の関係にあり、Cutler氏はマイクロソフト外部の人間としては異例の措置として、Solomon氏に対しWindows
2000のソース・コードを参照する許可を与えた。Solomon氏は、Russinovich氏から共同執筆者に加わりたいという申し出を受けたとき、「はたして、Russinovich氏のようなWindows
NTハッカーを執筆者に加えて、マイクロソフトとの良好な関係が維持できるか?」と心配したという。結果は杞憂に終わるのだが、ソース参照を許されたのはSolomon氏だけだったにもかかわらず、Russinovich氏はWindows
2000カーネルの逆アセンブルとデバッガを駆使して解析し、Solomon氏をして「どうしてそんなことを知っているのか?」と驚かせたという。
「強力なWindows NTハッカー」を新たに執筆者に加え、この第3版では、さらに多角的にWindows NT(Windows 2000)カーネルの内部解説を行っている。具体的には、第2版の内容に対し、「起動とシャットダウン」、「レジストリやサービスなどの管理メカニズム」、「ストレージ管理」、「Windows
2000のネットワーク機能」の章がRussinovich氏によって新たに書き加えられた。前版の第2版は、Windows 2000が開発の最終段階にあった時点で執筆されたもので(当時はまだWindows
NT 5.0と呼ばれていた)、その時点で明らかになっていたWindows 2000情報はコラムなどの形式で付記されていた。さらにこの第3版では、Windows
2000の製品バージョンを対象として、第2版での解説も細部にわたり改訂している。
Windowsプログラマはもちろん、OSの内部も理解したうえで、Windows 2000の管理を行いたいと考えるユーザーにとっては、他書では得られないWindows
2000の貴重な内部情報を得ることができる1冊である。
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