プログラミングWindows 2000
−サービスによるサーバーアプリケーション開発−


Jeffrey Richter、Jason D. Clark 著
豊田孝 訳
560ページ
価格:5800円
ISBN4-89100-185-2
日経BPソフトプレス発行


出版社の解説ページ


 どれだけコンピュータ・システムの性能が向上し、アプリケーション環境が高度化したとしても、無駄な処理をいっさい省いて、ギリギリのところでシステムを使いこなす必要に迫られる場面は少なくない。本書は、機能的、性能的にWindows 2000の能力を最大限に引き出すサーバ・アプリケーションを開発するための技術解説書である。ただしここでいう「サーバ・アプリケーション」とは、Microsoft .NETでいうWebサービスのような抽象度の高いものではなく、Windows 2000の低レベルなシステム・サービスにアクセスするサービス・プログラム(ユーザー・インターフェイスを持たず、バックグラウンド・プロセスとして実行されるプログラム)のことを指す。つまり、管理ツールの[サービス]スナップインで表示されるような、Windows 2000システムと密接に結びついて、動作しているサービス・プログラムの作成方法に関する、数少ない貴重な解説書である。

 一般に低レベル・インターフェイスを使用するプログラムは、環境に依存した構成になりがちだが、本書では、デバイスとのI/O処理や、スレッド間通信といった低レベル・インターフェイスを活用しながらも、スケーラビリティを維持するテクニックの紹介に力点を置いている。事実、本書で紹介されているサンプル・コードは、マイクロソフトが現在開発を進めている64bit版Windowsを意識して作られており、再コンパイルするだけか、わずかな修正だけで64bit環境にも対応できるようになっている。

 全般にわたり本書では、適宜サンプル・コードを交えながら、Windows 2000で実行可能なサーバ・サービス開発の初歩から、サービスの制御方法、サービス・プログラムからレジストリやイベント・ログ、Windows 2000のパフォーマンス・モニタリング機能にアクセスする方法、コンピュータ・システムを統一的に管理するための仕様であるWMI(Windows Management Instrumentation)、各種セキュリティ機能の使い方など、クライアント・アプリケーション開発向けの解説書ではあまりにお目にかかれないWindows 2000のシステム・プログラミングの側面が詳しく解説されている。

 また付録CD-ROMには、ローカルやリモートにあるサービスを制御可能にするSuperSCP(SCP:Service Control Program)や、セキュリティで保護可能なオブジェクト(名前付きパイプやスレッド、プロセスなど)へのアクセス権限を修正可能なAccessMasterなど、実用レベルで利用可能なユーティリティがソース・コード付きで収録されていてたいへん参考になる。

 Windows 2000システムの能力を最大限に引き出すサービスを開発しようとするプログラマには必読の書といってよいだろう。

 

「Book Review」

各書評にあるボタンをクリックすると、オンライン書店で、その書籍を注文することができます。詳しくはクリックして表示されるページをご覧ください。


Windows Server Insider フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

Windows Server Insider 記事ランキング

本日 月間