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Windows 2000 Insider 編集後記 2000年6月 |
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PointCastよ安らかに2000年5月31日、ひっそりと1つのWebサービスが姿を消していった。PointCastである。
少なくとも3年程度のインターネット キャリアがある人なら、PointCastの名前くらいは聞いたことがあるだろうし、実際に使ってみた経験を持つ人も少なくないだろう。ご存じない方に簡単に説明すると、PointCastは、今から4年ほど前に彗星のごとくインターネットに登場し、当時のネット ユーザーを夢中にしたサービスである。PointCastをパソコンにインストールすると、このソフトウェアが定期的に、インターネットのPointCastサーバにアクセスして(手動設定にすることも可)、朝日新聞や日経BP Biztechのニュース、スポーツ・芸能ニュース、テレビ番組表、天気情報、株価情報などなど、およそ個人が毎日の生活に必要となるほとんどの最新情報がダウンロードされる。これでPointCastユーザーは、重いビットマップ データがダウンロードされるのを辛抱強く待つ必要もなく、ローカル ディスクに保存された情報を次々と素早く読めるようになるわけだ。しかもインターネットではすっかりお馴染みの無料サービスだから、すべての情報はタダで読むことができる。 このようにPointCastは、実際には内部のタイマに従って、定期的にサーバから情報を取り出しているのだが、ユーザーから見れば、情報がサーバ側から勝手にやってくるように見える。このため、PointCastのような技術は一般に「Webプッシュ」などと呼ばれ、多くのコンピュータ雑誌などが「プッシュがWebに革命をもたらす」といった類の記事をこぞって企画し、おおいにもてはやした。当時はだれもがWebプッシュの明るい未来を信じていたわけだ。 民放テレビ局型ビジネスは広告の強制力がカギ?何を隠そう、筆者はPointCastの大ファンで、自宅がまだダイヤルアップ接続だったときから、朝起きたらノートPCを起動して、PointCastでニュースをダウンロードし、朝食をとりながらオフラインでニュースを読むというのを日課にしていた。また筆者はほんのわずかだが株を所有しており、この株価チェックももっぱらPointCastに頼っていた。 これだけ便利なものがタダで使えるのに、どうして普及しなかったのか? 1つは、情報のビジュアライズの点で発展著しいWebページに負けてしまったこと。私を始め技術者はとかく情報の論理的な価値にこだわりがちだが、それに勝るとも劣らず「見かけ」も重要だ。もう1つは、トラフィックの増大に悩むネットワーク管理者に敬遠されたこと。後にproxyソフトウェアを公開したが、落とした評判を取り返すのは難しかった。 しかし筆者が思うに、PointCastのビジネスが成功できなかった大きな理由は、民放テレビ局型のビジネスが、文字を主体とするインターネット上の情報サービスとして成立しなかったということではないかと考えている。PointCastのビジネスは、民放テレビ局型のビジネス、すなわち読者(視聴者)からは料金をとらず、代わりに企業の広告をプッシュして、その広告収入を当てにするというモデルだ。当初「Webプッシュ」を絶賛した人たちの多くは、既存の、大成功を収めている民放テレビ局のビジネスモデルに「Webプッシュ」をストレートにダブらせて「革命」だと騒いだ。しかし実際は、画面の片隅に表示される広告の強制力と影響力は、テレビCMのそれとは比較にならないほど小さかった(筆者もずいぶん長く使っていたが、記憶に残る広告というのは数えるほどしかない)。民放テレビ局方式では、広告が入らなければビジネスはじり貧である。結果、PointCastはいつの間にか表舞台から姿を消してしまった。 インターネットを使った情報サービス ビジネスというのは本当に難しい。「地道に良質なコンテンツを積み重ねていけば何とかなる」というのが、とりあえず正直な心情である。はてさて、本サイトの3年後の運命はいかに? それはともかくも、お世話になったお礼に、せめてPointCastを記憶の片隅に置いておくとしよう。 (Windows 2000 Insiderガイド 小川誉久) |
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編集後記 |
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