2004年1月14日、マイクロソフトは、ISA Server 2000向けの「緊急」レベルの脆弱性1つを含む、全部で3つの脆弱性を報告し、それらを修正するための修正プログラムを公開した。ISA
Server 2000(Internet Security and Acceleration Server 2000)は、インターネットからの攻撃や侵入を阻止するためのサーバ・ソフトウェアであるが、攻撃者によってコンピュータの完全な制御が奪われてしまう危険があるという。今回発表されたセキュリティ・ホールは以下のとおりである。
ISA Server 2000
Small Business Server 2000
Small Business Server 2003
セキュリティ・ホールの概要と影響度
ファイアウォール・ソフトウェアであるISA Server 2000のH.323フィルタにバッファ・オーバーランの脆弱性が存在し、攻撃によりコンピュータの制御が完全に奪われる危険性のあることが明らかになった。H323は、VoIP(Voice
over IP。インターネットなどのIPネットワークで音声電話を実現するための技術)やインターネット・テレビ会議システムなどのマルチメディア・データをリアルタイムに扱うプロトコルとして多くのアプリケーションがサポートしている。今回のH323フィルタは、H.323によるトラフィックを制御するためのもので、ISA
Server 2000をファイアウォールとしてインストールした場合はデフォルトで有効化される。
ISA Server 2000は、外部からの不正な攻撃などから社内を守るために利用するファイアウォール・ソフトウェアで、インターネットに直接接続されることが多い。脆弱性を攻撃され、コンピュータの制御が奪われてしまうと、そこから社内のネットワーク全体に攻撃を加えることも可能になってしまう。ISA
Server 2000の利用者は、今回提供された修正プログラムをできるだけ早く適用すべきである。すぐに修正プログラムを適用できない場合は、H.323フィルタを無効化することで攻撃回避が可能だが、この場合はH.323プロトコルを使用するアプリケーションは使用できなくなるので注意が必要だ。なおSmall
Business Server 2000/2003には、ISA Server 2000が含まれているため、対象プラットフォームとなっている(SBS 2003日本語版はまだ未発売だが、マイクロソフトの情報ページによれば、今回提供される修正プログラムはSBS
2003日本語版にも対応しているとされている)。
負荷分散などの理由から、フロントエンドとバックエンドに分けてExchange Server 2003を稼働させている環境で、WebブラウザでExchangeデータにアクセス可能にするOutlook
Web Access(OWA)を使用する際の、Exchange Server 2003間での認証処理に脆弱性が存在することが明らかになった。この脆弱性により、OWAでアクセスしたユーザーが、他人のメール・ボックスに接続してしまう危険がある。
この脆弱性の影響が及ぶのは、フロントエンドとバックエンドに分けてExchange Server 2003を構成しており、かつOWAを使用している場合に限られる。また前述したとおり、特定ユーザーの情報にアクセスするのは容易ではない。この脆弱性が悪用される危険はそれほど高くないと推測されるが、Exchange
Server 2003の管理者は、定期メンテナンス時など適当なタイミングで修正プログラムを適用する必要があるだろう。
対象プラットフォーム
今回報告されたセキュリティ・ホールの影響を受ける環境は以下のとおりである。
影響を受けるソフトウェア
対象プラットフォーム
Exchange Server 2003
Exchange Server 2003 Enterprise Edition / Standard
Edition
適用に関する注意点
■適用後のシステムの再起動は不要
MS04-002の修正プログラム適用後、システムの再起動は不要である。ただし修正プログラムを適用すると、IISのサービスやそのほか関連するサービスが再起動される。このためExchange
Server 2003によるメッセージ・ルーティングは一時停止するので注意が必要である。
MDAC(Microsoft Data Access Components)に未チェック・バッファがあり、ユーザー・アカウントの権限で、攻撃者による任意のプログラム実行を許してしまう脆弱性が存在することが明らかになった。ただし今回の脆弱性を攻撃するには、攻撃対象とするコンピュータと同一のサブネット上でSQL
Serverをシミュレートする必要がある。このため、外部のインターネットから攻撃を加えるのは困難である。
とはいえMDACは、Windows 2000やWindows XP、Windows Server 2003、SQL Server 2000の一部としてインストールされるなどOSの一部としてデフォルトでインストールされていることから、ほとんどのコンピュータが脆弱性の影響を受ける。なるべく早期に修正プログラムの適用作業を開始すべきである。
■サービスパックの適用で修正プログラムの再適用が必要
MDACは、Windows 2000/XPやSQL Server 2000のサービスパックにも含まれている。このためいったん修正プログラムを適用しても、サービスパックの適用によってMDACのバージョンが更新されてしまう場合がある。サービスパックの適用によってMDACのバージョンが変更になった場合(MDAC単体版をインストールした場合も同じ)、MS04-003の修正プログラムの再適用が必要である。各サービスパックに含まれるMDACのバージョンは以下のようになっている。