Insider's Eye

Windows Meの全貌

―― Windows 9xコアを持つラストバッターは、コンシューマ用途に特化されたごく一部の機能を強化。ビジネス ユーザーは眼中になし ――

1.Windows MeはWindows 98 TE(Third Edition)

デジタルアドバンテージ 小川 誉久
2000/05/31

 2000年5月23日、マイクロソフトは、Windows 98 Second Edition(以下Windows 98 SE)の後継として現在開発を進めているWindows Millennium Edition(以下Windows Me)に関するプレス関係者向けセミナーを開催した。以下本稿では、このセミナーでの発表内容を基に、ビジネス ユーザーの視点から見たWindows Meについてまとめていくことにしよう。

結論:ビジネス ユーザーはノーマークでよし

 説明にあたったマイクロソフト プラットフォームマーケティング グループ、グループマネージャの御代茂樹氏のプレゼンテーションは、Windowsの新バージョンを発表するにしては異例の「Windows MeとWindows 2000の棲み分け」に関する話題から始まった。これによれば、Windows Meは「家庭用に特化したシンプルな機能と操作性を提供」するOSであり、Windows 2000は「ビジネスとハイレベルなパソコンライフを求めるユーザーのための上位OS」だと位置付ける。より具体的には、Windows Meは「インターネット、メール、ゲームを中心とした初級、中級ユーザー」に向けた製品であり、店頭販売されるPCを含め、これ以外の「あらゆるビジネスシーンにはWindows 2000を」推奨するという(いずれも「」内は発表資料より引用したもの)。もはや謙虚さをとおり越して、まるで「Windows Meにはそれほど注目しないでほしい」と言わんばかりだ。結論から言ってしまえば、少なくともビジネス ユーザーは、特別な理由がないかぎり(Windows 2000ではデバイス サポートが受けられない、など)、既存のWindows 9xをWindows Meにアップグレードしたり、新規にWindows Meを導入する必要性はまったくないと考えてよいだろう。

OEMベンダへの提供開始は7月中旬、パッケージ販売は秋に

 Windows Meは、現行のWindows 98 SE同様、OEMベンダのPCにプレインストールされて販売されると同時に、パッケージも販売される。このパッケージとしては、新規ユーザーを対象とする「スタンダード版」と、Windows 95、Windows 98、Windows 98 SEユーザーを対象とする「アップグレード版」が用意される。

 Windows Me日本語版の今後のスケジュールとしては、製品前の最終ベータ版(RC版)を5月下旬に開発者などに配布し、製品版(RTM版)を7月中旬に完成させる。パッケージ販売は秋を予定しているとのことだ。2000年4月末に開催されたWinHEC 2000において、米Microsoft社幹部のカール・ストーク氏は、Windows Meを「基本的にクリスマス商戦のコンシューマ向けPCにプレインストールすることを想定している」と紹介した(WinHEC 2000での発表内容の詳細は別稿の「Insider's Eye:ベールを脱いだWhistler」を参照)。今回発表されたスケジュールは、この言葉を裏付けるものとなった。

Windows MeのハードルはWindows 2000よりも高い?

 開発途中のベータ3の段階におけるWindows Meの必要システム構成は次のとおりである。

  ムービー メーカー未使用時 ムービー メーカー使用時
CPU Pentium 150MHz以上
または相当の互換プロセッサ)
Pentium II 300MHz以上のプロセッサ(または相当の互換プロセッサ)
メモリ 32Mbytes以上 64Mbytes以上
ハードディスク 700Mbytes以上 700Mbytes以上
ディスプレイ VGA以上 VGA以上
リムーバブルストレージ CD-ROMドライブまたはDVD-ROMドライブ CD-ROMドライブまたはDVD-ROMドライブ
その他 マウスなどのポインティング デバイス マウスなどのポインティング デバイス
ベータ3時点におけるWindows Meの必要システム構成

 Windows Meには、Windowsムービー メーカーと呼ばれるデジタル ビデオの編集ソフトウェアが標準添付されており、この利用有無によって必要システム構成は2つに分かれる(ムービー メーカーの詳細は後述)。まずはムービー メーカーを使わない場合。Pentium-150MHz+32Mbytesメモリといえば、2年ほど前のエントリモデルというところだろうか。このスペックをWindows 2000 Professionalのそれと比較すると面白い(別稿「特集:Windows 2000とは何か?(改訂新版) 1.イントロダクション」)。Windows 2000の必要最低スペックは、Pentium-133MHz+32Mbytesメモリであるから、スペック上はWindows Meのほうが若干ハードルが高いことになる。OSのアップグレードを検討しているユーザーにとっては、両者の実質的な負荷が気にかかるところだが、これについてはWindows Meの製品版登場後のベンチマーク テストを待つ必要があるだろう。

 一方、ムービー メーカーを使いたければ、大幅に高性能なマシンが必要である。といっても今やCeleron 500MHzクラスのPCが8万円前後で購入できる時代なので、新しいPCを購入するふんぎりをつければよいだけのことだ。Pentium II-300MHz+64Mbytesメモリといえば、1年前のエントリ〜ミドルレンジ クラスのPCである。したがって上のスペックの意味するところは、「あまり古いマシンでムービー メーカーを使うのは難しいですよ」ということだろう。

PC-9800シリーズ用Windows Meは提供されず

 Windows Meでは、かつては日本の「国民機」とまで呼ばれたNECのPC-9800シリーズのサポートがついに打ち切られる(Windows 2000 Professionalパッケージには、かろうじてPC-9800シリーズ版が同梱されている)。まだPC-9800が権勢を謳歌していた90年代初頭、マイクロソフトがPC/AT互換機向けWindows 3.1のパッケージを恐る恐る発表したことが今となっては夢のようである。

 もちろん、当のNEC自身が、すでにPC-9800シリーズ製品を積極的には販売しておらず、PC/AT互換機をベースとするPC98-NXシリーズを中心に据えていることから、このことが大きな問題になることはないだろう。しかしPC-9800の「栄光」を知る読者にとっては、一時代の終焉を感じさせるニュースではある。

Windows Me=Windows 98 TE(Third Edition)

 まずは、以下にWindows Meのデスクトップの画面を示そう。

クリックすると図が拡大表示されます

Windows Meのデスクトップ

目を懲らさなければ、これが最新Windows OSのデスクトップとは判別できないだろう。画面右にあるのは新しいヘルプシステムで、従来のヘルプ ドキュメントとサポート情報を統合化し、Webインターフェイスを大幅に取り入れている。

 セミナーの冒頭に御代氏は、Windows Meを指して「Windows 98 Third Edition」だと述べた。この言葉はWindows Meのすべてを物語っている。画面を見れば一目瞭然であるとおり、Windows Meのユーザーインターフェイスは、従来のWindows 98 SEやWindows 2000のそれとまったく変わりがない。これはOSカーネルについても同様だ。当初の計画では、Microsoftの次世代ユーザー インターフェイスがMillennium(Windows Meの開発コード名)に搭載されるとの情報もあったが、この計画は次のWhistler以降に延期されたようだ。

 前出の御代氏と、それに続きWindows Meの概要を紹介したマイクロソフトプラットフォーム製品マーケティンググループ プロダクトマネージャの佐藤秀一氏が使用したプレゼンテーション資料によれば、Windows Meの主要な特徴と新機能概要は次のようになる。

特徴・新機能 内容
よりやさしい操作性の追求

・Easy PCに対応した初めてのOS

・システムの復元ウィザード
・システム ファイルの保護機能
・ヘルプ センターの改良。従来のヘルプ インターフェイスから、よりWebインターフェイスに近いものに改良。ローカル/インターネットの区別をすることなく、ユーザーはここからオンライン ドキュメントやマイクロソフトや他のベンダのサポート情報にアクセスできるようにされた
・サポート自動化フレームワーク。ベンダのサポート情報をWindows Meのヘルプ センターに統合し、特定のベンダに依存することなく、透過的にこれらの情報にアクセスできるようにした
手軽に始めるデジタル メディア ・デジタル ビデオ編集ソフトウェアのWindowsムービー メーカーを標準で提供
・デジタル画像の自動取り込み。Windows Imaging Acquisition(WIA)を実装し、アプリケーションとデジタル スチル カメラなどのイメージ デバイスが透過的にやり取りできるようにした
・Windows Mediaプレーヤー7。音楽CDの内容をPCのハードディスクにコピーするなど、最新機能を多数盛り込んだMedia プレーヤーの最新版
より快適なインターネット環境 ・Internet Explorer 5.5。最新のDHTMLサポート、印刷プレビュー機能、128bit暗号化機能などを追加したIEの最新版
・Outlook Express 5.5。Outlook Express 5.01のバグフィックス版
・NetMeeting 3.1
・MSN Messenger
・ホームネットワーク ウィザード。インターネット接続共有やファイル/プリンタ共有を行うためのウィザードを追加
Windows Meの主要な特徴と新機能

 以下では、これらのポイントごとに、詳しく中身を見ていこう。

関連記事
  Insider's Eye:ベールを脱いだWhistler(Windows Server Insider)
  特集:Windows 2000とは何か?(改訂新版)(Windows Server Insider)
     
   
     
 INDEX
  [Insider's Eye]Windows Meの全貌
1. Windows MeはWindows 98 TE(Third Edition)
  2. Windows Meの3つのポイント
 
 「Insider's Eye」

@IT Special

- PR -

TechTargetジャパン

Windows Server Insider フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)
- PR -

イベントカレンダー

PickUpイベント

- PR -

アクセスランキング

もっと見る

ホワイトペーパーTechTargetジャパン

注目のテーマ

Windows Server Insider 記事ランキング

本日 月間
ソリューションFLASH