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| Microsoftの新時代戦略を語るビル・ゲイツ氏 |
| インターネットのインパクトは現在においてもめざましいものだが、これから先5年のペースはさらに加速される。目標は、現在はそれぞれ独立しているWebサイトを、必要に応じてさまざまに活用可能な情報コンポーネントとし、TPOに応じてユーザーがこれを活用できるようにすることだという。 |
2000年6月22日、米Microsoftは、ワシントン州レドモンドで開催したForum 2000において、同社の新世代ソフトウェアやサービスに関するビジョンとロードマップについて発表した。この新戦略はこれまで「NGWS:Next Generation Windows Services」と呼ばれていたもので、今回の発表によって、新戦略の正式名がMicrosoft .NET(マイクロソフト・ドット・ネット)であることが明らかになった(米Microsoftのニュースリリース[米Microsofのニュースリリースの和訳])。
Microsoft .NETは、特定の製品を指すものではなく、同社が手がけるOSからビジネス アプリケーション、開発者向けソフトウェア、サーバ製品群、ゲーム ソフトウェアなどのホーム プロダクツ、MSNなどのオンライン サービスに至るまで、今後Microsoft社が進むべき方向性を示したビジョンである。キーノート スピーチにおいてビル・ゲイツ氏は、「.NETはMicrosoftの次世代のプラットフォームであり、DOSからWindowsに全面的に移行したのと同じように、すべてがこれに移行することになる。.NETと無関係なMicrosoft製品は1つもない」と述べた。(ビル・ゲイツ氏のスピーチ内容)
1995年12月7日、それまでインターネットには無関心を装っていたMicrosoftは(当時Microsoftは、自前のパソコン通信サービスを持っていた)、「Internet Strategy Day」と呼ばれるカンフェンスを急遽開催し、ここで「今後はすべてのMicrosoft製品をインターネット対応にする」と発表して業界に大きな衝撃を与えた。しかも話だけではなく、同社は本当にすべての製品をインターネット対応にし、結果的にはインターネット上においても強い影響力を持つに至ったことは周知のとおりだ。これほどのインパクトはないにしても、今回の発表を指してビル・ゲイツ氏は、「Internet Strategy Dayでの発表と、その後のWindowsの劇的な方向転換を彷彿とするもの」と述べた。
.NETプラットフォームのテクニカル ハイライト
.NETプラットフォームを実現する際の技術的なハイライトとしては、次の4つがある。
■.NET User Experience
「ユーザー インターフェイス」よりもさらに広義という意味を込めて「User Experience(ユーザー体験)」と呼んでいるようだが、分かりやすくいえば「使い勝手」ということになるだろうか。すなわちこれは、ユーザーが直接触れることになる機能性や使いやすさに注目する技術分野である。具体的には、「Universal Canvas」と呼ばれるXMLベースの複合情報アーキテクチャ、より自然なユーザー インターフェイス、デジタル メディア サポート、個人情報を管理するためのプライバシー保護技術、ソフトウェアのインストールや更新、ローミングやオフライン処理を安全かつ透過的に実現するためのDynamic Deliveryシステムが含まれる。
■.NETインフラストラクチャ/ツール
前述しているとおり、.NETプラットフォームを支える大きな要素の1つはXMLテクノロジである。現在のWebページ情報は、文書の構造化よりもビジュアライズに重きを置いたHTMLによって記述されているため、それをブラウザで表示することはできても、Webページとして記述された情報から必要な部分だけを取り出し、それらをソフトウェアで自動処理するというようなことは困難である。これに対し.NETでは、Webページ情報のXML化を進めると同時に、それらを情報コンポーネントとして扱えるようにするためのXML対応機能をソフトウェアに組み込む。こうして.NETプラットフォームでは、Webページ内に記述されたさまざまな情報がソフトウェアで自在に加工できる情報単位となることから、これらを情報のビルディング ブロック(building block、構成ブロック)と呼んでいる。
このためのWebサービスを構築し、配信し、統合化を進めるために、開発者を支援するXMLベースの新しいプログラミング モデルが導入される。統合開発環境であるVisual Studioの新バージョンとなる7.0では、XMLベースのWebサービスを開発するための機能がサポートされる予定だ。現時点のロードマップでは、Visual Studio 7.0は2000年中にプレビューを開始する予定だという。またVisual Basicにおいても、同様のサポートがなされる予定とのことだ。
また先ごろ発表されたBizTalkのオーケストレーション(orchestration)機能により、ビジネス プロセスのインターネットへの統合が極めて容易になるとしている。
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| 韓Samsungとの共同開発中の携帯電話機 |
| 何の情報も記録されていない使い始めの携帯電話機に対し、Passportシステムを使って、ネットワークから電話帳やスケジュール帳、電子メールなどがダウンロードされるというデモが行われた。 |
■.NETビルディング ブロック サービス
すでにMicrosoftは、インターネット上の情報サービスとしてMSNを運営しているが、.NETプラットフォームでは、これらのサービスが情報ビルディング ブロック化をリードすることになる。具体的には、Webサイトへの集中認証などを可能にするPassport、無償メール サービスのMSN HotMail、インスタント メッセージングのMSN Messenger、MSN Communitiesといった既存サービスのビルディング ブロック化を進める。これによりプログラマは、ユーザーIDやメッセージング、パーソナライズ、ストレージ、カレンダー、ディレクトリ、検索、ソフトウェア配信などを.NETビルディング ブロック サービスとして利用可能になる。
こうしたビルディング ブロック サービスは、インターネット/イントラネットに接続されたオンラインの状態ばかりでなく、オフラインの状態でも活用可能なメカニズムが提供される。
■.NETデバイス ソフトウェア
.NETプラットフォームを利用するためのコンピュータは、何もフルスペックのデスクトップPCやノートPCばかりではない。パームトップ型のPocket PCやセット トップ ボックス、携帯電話機、ゲーム機に至るまで、場面場面に応じて最適な情報機器を利用して.NETプラットフォームにアクセス可能にするために、これらの機器向けにXML対応を施したソフトウェアの開発を進める。
Windows Whistler=Windows.NET Version.1?
発表によれば、.NET対応を一部実装した次世代のWindowsとして、Windows.NET Ver.1が2001年にも出荷される予定だ。プレスリリースなどには何も記述はないが、タイミングから見れば、Windows WhistlerがこのWindows.NET Ver.1(以下、Windows.NETと略)ということになるのだろう(Windows Whistlerの詳細については別稿「Insider's Eye:ベールを脱いだWhistler」を参照)。なお、ビル・ゲイツ氏のスピーチによれば、「これは.NETを100%実装したものではない。完全なUser Experienceが実装されるには、少なくとも2年はかかるだろう」とのことである。
このWindows.NETでは、前出の「User Experience」の第一歩となるものが実装され、.NETアプリケーションが各種のネットワーク情報資源をビルディング ブロックとして利用するための機能が提供される予定である。
インターネット情報サービスとしてすでに稼働しているMSNは、次世代の.NETサービスを提供するMSN.NETに生まれ変わる。ここで現行のMSNサービスは、.NETプラットフォームのビルディング ブロック サービスとして機能するようになる。
これら以外のMicrosoft製品/サービスも、あらゆるものが.NET対応になる。今やビジネス アプリケーションの代表格となったOfficeは、インターネット/イントラネット環境を前提として、インターフェイスの改良やコラボレーション機能が強化されてOffice.NETに、プログラム開発環境のVisual Studioは、Visual Studio.NETに生まれ変わる。
インターネットの構造化は進むのか?
パターン認識に長けている人間は、サイトごとに異なるさまざまなデザインのWebページを目の前にしても、どこに必要な情報があるかを比較的簡単に見つけることができる。しかしコンピュータ プログラムではこうはいかない。残念なことに、現在ほとんどのWebページで使われているHTMLでは、徹底したドキュメントの構造化は行われていない。したがってプログラムでページ内の情報を見つけ出すには、難解なタグを自分でパース(解析)して、解釈しなければならない。これは事実上不可能だ。
すでにお分かりのとおり、Microsoft .NETが目指しているのは、パターン認識ができないコンピュータ プログラムでも、膨大なインターネットのWeb情報から必要なものを簡単に取り出し、ソフトウェアで処理できるようにすることだ。たとえば将来のWindows.NETには、現在の天気を調べるGetWether(パラメータには国や地域を指定することになるだろう)と、現在の株価を調べるGetStockPrice(こちらは証券市場と銘柄がパラメータになるだろう)というAPIが用意され、アプリケーションはWindows APIを通してインターネットから現在の天気や株価を取得できるようになるかもしれない。ここで仮に、台風がやってくると値上がりする株の銘柄があるとして、GetWetherで台風の接近を検出したアプリケーションは、GetStockPriceで株価を確認し、株の購入を勧めるメッセージ ボックスをユーザーに表示する、などということが可能になるわけだ(あるいは、PurchaseStock APIが用意されているのかもしれない)。
もちろん、これは筆者の想像である。しかしローカル マシンのメモリやファイル、共有プリンタや共有ディレクトリをアプリケーションから制御可能にしたのがこれまでのWindowsだとすれば、Windows.NETはその対象をインターネット/イントラネットにまで広げようとするものだと思える。もちろん、このMicrosoftの目論みが思惑どおりに進むかどうかは分からないが、いずれにしても、次世代の新しいコンピューティング競争が幕を開けたことは間違いないだろう。![]()
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| Microsoft .NET Webサイト(米Microsoft) | ||
| 米Microsoftのニュースリリース[米Microsofのニュースリリースの和訳](マイクロソフト) | ||
| ビル・ゲイツ氏のスピーチ内容(米Microsoft) | ||
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