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IPアドレスは32bitの数値であり、それぞれの値がユニークでありさえすれば、管理者が自由に好きな数値を選択して、各ホストに付けることができると思うかもしれない。だが、IPアドレスの付け方には幾つかの基本的なルールがあるので、ここではそれについてまとめておこう。
まず重要な概念として、IPアドレスの「アドレス・クラス(address class)」という分類方法がある。最近はサブネットやCIDR(後述)などにより、その重要性が薄れてきているが、それでもネットワークの設計などを行うときには、必ず考慮しなければならない重要な概念であるので(デフォルトのアドレス・クラスというものが存在するから)、ぜひ理解しておいていただきたい。具体的には、このデフォルトのアドレス・クラスを元にして、さらにサブネット化やCIDRへと、IPアドレスの意味付けが少しずつ変わってきている。
アドレス・クラスとは、IPアドレスの値によって、IPアドレスを幾つかのカテゴリに分類したものである。次の図に示すように、IPアドレスの最上位部分のビット・パターン(図中の赤い部分)の値によって、「クラスA」から「クラスE」までの5つに分類されている。
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| IPアドレス・クラス |
| IPアドレスには、そのアドレス値によって、アドレス・クラスという分類がある。IPアドレスの最上位(左端)の1〜4bitのパターンによって、クラスA〜クラスEに分類される。実際にはクラスDはマルチキャスト用の特別なアドレス、クラスEは未使用となっている。 |
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クラスA
最上位の1bitが「0」ならば、そのIPアドレスは「クラスA」になる。具体的には「0.0.0.0〜127.255.255.255」がこのクラスAに該当する。これは全IPアドレス空間(≒42億個)のうち、半分に相当する。 -
クラスB
最上位の2bitが「1−0」ならば、そのIPアドレスは「クラスB」になる。具体的には「128.0.0.0〜191.255.255.255」が該当する。これは全IPアドレス空間のうち、4分の1に相当する。 -
クラスC
最上位の3bitが「1−1−0」ならば、そのIPアドレスは「クラスC」になる。具体的には「192.0.0.0〜223.255.255.255」が該当する。これは全IPアドレス空間のうち、8分の1に相当する。 -
クラスD
最上位の4bitが「1−1−1−0」ならば、そのIPアドレスは「クラスD」になる。具体的には「224.0.0.0〜239.255.255.255」が該当する。クラスDは、マルチキャスト通信で使われる特別なIPアドレスであり、マルチキャスト通信を使ったマルチメディア・アプリケーションなどで使われる。例えば、同じ内容の音声や映像データなどをいっせいに「放送」するような用途で使われる。一般的なノードにクラスDのIPアドレスだけを付けることはない。 -
クラスE
最上位の4bitが「1−1−1−1」ならば、そのIPアドレスは「クラスE」になる。具体的には「240.0.0.0〜255.255.255.255」が該当する。ただし、このクラスは「実験的」な目的のためにTCP/IP(IPv4)の開発当初から予約されており、実際に使われることはない。
アドレス・クラスとデフォルト・ネットマスク
全部で5つあるクラスのうち、ネットワーク上の各ノードにはクラスA〜CのうちのどれかのIPアドレスを付ける必要がある(実際には後述するように、ブロードキャスト用のIPアドレスなどのために、幾つか利用できないIPアドレスがある)。
アドレス・クラスの違いは、デフォルトのネットマスクの違いとなって現れる。前回述べたように(「第7回 IPアドレスとネットマスク―1.IPアドレスとは」)、IPアドレスは「ネットワーク・アドレス部」と「ホスト・アドレス部」の2つから構成されている。ネットワーク・アドレス部を長くするとホスト・アドレス部が短くなり、逆にネットワーク・アドレス部を短くすると、ホスト・アドレス部が長くなる。ネットワーク・アドレス部が長くなるということは、表現できる(識別できる)ネットワークの数が多くなるが、その分、1つのネットワークに接続できるホストの総数が少なくなるということである。逆にネットワーク部を短くすると、表現できるネットワークの総数は少なくなるが、1つのネットワーク内に接続できるホストの総数は多くなる。
クラスAからクラスCまでのアドレス・クラスでは、それぞれ以下のようなデフォルトのネットマスクの値(=ネットワーク・アドレスとホスト・アドレスを分けるためのマスク値)が決まっている。
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クラスA
クラスAでは、ネットマスクの値は「255.0.0.0」となる。この結果IPアドレスは、1byteのネットワーク・アドレス部と3bytesのホスト・アドレス部に分けられることになる。クラスAでは、IPアドレスの最上位bitは常に「0」に固定なので、結局、ネットワーク・アドレスとしては、「0〜127」までの全部で128個が利用でき、それぞれのネットワーク内には最大でそれぞれ約1600万台(0.0.0〜255.255.255)のホストを収容できる。 -
クラスB
クラスBでは、ネットマスクの値は「255.255.0.0」となる。この結果IPアドレスは、2bytesのネットワーク・アドレス部と2bytesのホスト・アドレス部に分けられることになる。クラスBでは、IPアドレスの最上位の2bitは常に「1−0」に固定なので、結局、ネットワーク・アドレスとしては、「128.0〜191.255」までの全部で1万6384個が利用でき、それぞれのネットワーク内には最大でそれぞれ約6万5000台(0.0〜255.255)のホストを収容することができる。 -
クラスC
クラスCでは、ネットマスクの値は「255.255.255.0」となる。この結果IPアドレスは、3bytesのネットワーク・アドレス部と1byteのホスト・アドレス部に分けられることになる。クラスAでは、IPアドレスの最上位の3bitは常に「1−1−0」に固定なので、結局、ネットワーク・アドレスとしては、「192.0.0〜223.255.255」までの全部で約200万個が利用でき、それぞれのネットワーク内には最大でそれぞれ約250台(0〜255)のホストを収容することができる。
■クラスの使い分け
以上のように、クラスが変わると、表現できるネットワークの数もその中に収容できる最大ホスト数も変わることになる。そのため、実際にネットワーク・アドレスやホスト・アドレスをどのように割り振るかは、使用するネットワークの規模に応じて決めることになる。一般的には、イーサネットの1セグメントを1つのネットワーク・アドレスに対応させるのが普通なので(それぞれのセグメントをルータで接続して、全体的なネットワークを構築する)、それぞれのイーサネット・セグメントに何台のホストを接続するかによって、どのクラスを使用するかを選択するとよい。
例えば、1つのイーサネット・セグメントに接続するホストの数が最大でも200台程度ならば、クラスCのIPアドレスを使ってネットワークを構築すればよいだろう。つまり、各ネットワーク(=イーサネット・セグメント)には192.168.0〜239.255.255のいずれかを割り当て、それぞれのネットワーク内のホストには、1byteのホスト・アドレスを割り当てればよい。
1セグメントに接続するホストの数がもっと多い場合や、もしくは、管理の都合などでもっと大まかにホスト・アドレスを割り当てるのならば(例:ネットワーク機器のアドレスは10〜99、サーバ系は100〜199、クライアント系200〜などというように、識別しやすいように割り当てたいのならば)、クラスBを使うという方法もあるだろう。
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| 1.IPアドレスのクラス | ||
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