運用
Windowsでイントラ・ブログを構築する(後編)

1.DotNetNukeの入手とインストール方法

山田 祥寛(http://www.wings.msn.to/
2005/08/11

 DNNを利用するに当たっては、Community Server同様、「.NET Framework 1.1」「Internet Information Services 5.x以降」「MSDE(SQL Server 2000)」が必要となる(MSDE使用時の制約については最後に掲載したコラム「サイト運用とスケールアップを予測しよう」を参照)。前編でご紹介したサイトなどを参考に、あらかじめインストールを済ませておいていただきたい。

1.インストール・ファイルを入手、展開する

 DNNをダウンロードするには、以下の公式サイトからユーザー登録を行う必要がある。

DNN公式サイト
DNNをダウンロードするには、公式サイトでユーザー登録を行う必要がある。

 サイト右上の[Register]ボタンから、ユーザー登録を開始できる。

 ユーザー登録を完了すると、数分ほどで折り返し登録完了メールが届くので、このメールに書かれたURLにアクセスしてみよう。登録したユーザー情報でログインの後、[Downloads]ボタンからダウンロード・ページにアクセスすることで、インストール・ファイルをダウンロード可能だ。ダウンロードしたDotNetNuke_3.1.0_Source.zipは、任意のフォルダ(本稿では「d:\DotNetNuke」)に展開する。

コラム
ダウンロード可能な2つのパッケージ

ダウンロード・ページでは、「Install w/Source」版(“w/”はwithの略号)と「Install Package」版とが提供されている。前者はソース・コードやドキュメントなどをすべて含むフルパッケージ、後者はインストールに必要なファイルだけを含んだ最小パッケージだ。自分の必要に応じて、適当なパッケージをダウンロードしていただきたい。本稿では「Install w/Source」版を利用している。

2.データベースを作成する

 DNNは、MSDE(または、SQL Server)上で一連のデータを管理する。必要なデータベース・オブジェクトは後述するインストール・ウィザードが自動生成してくれるが、ウィザードの起動に先立って、器となるデータベースを生成しておく必要がある。データベース名も自由に決めて構わないが、本稿では「DotNetNuke」としておこう。もちろん、別の用途で利用しているなどで、設定済みのデータベースがすでに存在するならば、それを利用することも可能だ。

 データベースの作成には、osqlコマンドから以下のようなコマンドを入力すればよい。

> osql -h(local) -Usa …saはデータベース接続用アカウント。環境に合わせて変更すること
パスワード : **  …データベース接続用パスワード
1> CREATE DATABASE DotNetNuke
2> GO

3.仮想ディレクトリを設定する

 次に、1.で作成した「d:\DotNetNuke」フォルダに対して、IISの管理コンソールから以下の要領で仮想ディレクトリを設定しておこう。もちろん、エイリアスやディレクトリなどの設定は、適宜、自身の環境に応じて変更していただきたい。

項目 概要 設定値
エイリアス 仮想ディレクトリを呼び出す名前 DotNetNuke
ディレクトリ 仮想ディレクトリに関連付ける物理パス d:\DotNetNuke
読み取り ファイルの読み込みを許可
ASPなどのスクリプト実行 スクリプトの実行を許可
ISAPIアプリケーションやCGIなどの実行 「.dll」「.exe」ファイルの実行を許可 ×
書き込み ファイルの書き込みを許可 ×
参照 ファイル一覧の参照を許可 ×
DNNを利用するための仮想ディレクトリの設定(例)
IIS 6.0の管理ツールを使って、仮想ディレクトリの作成とセキュリティ設定を行っておく。

 また、「d:\DotNetNuke」フォルダに対し、[Network Service]ユーザー(IIS 6の場合。IIS 5の場合には[ASPNET]ユーザー)に対して、[読み取り][書き込み]の権限を付与しておくこと。セキュリティ権限の変更は、エクスプローラの該当フォルダからプロパティ・シートを開き、[セキュリティ]タブから行うことができる。

4.web.configを編集する

 インストール・ウィザードを起動するに当たって、2.で作成したデータベースへの接続情報をweb.configに登録しておく必要がある。DNN 3.1.0ではweb.configのテンプレートとして、「release.config」というファイルが用意されているので、これをリネームしたうえで、22行目付近の1行を以下のように書き換えてほしい。なお、本稿では、データベース名が「DotNetNuke」、ユーザーID/パスワードはともに「sa」であるものとする(もちろん、実運用上のパスワードは第三者が想定しにくい値に設定するのが好ましい)。

(変更前)
<add key="SiteSqlServer"  
value="Server=(local);Database=DotNetNuke;uid=;pwd=;" />

(変更後)
<add key="SiteSqlServer"
  value="Server=(local);Database=DotNetNuke;uid=sa;pwd=sa;" />

5.日本語リソースを展開する

 DNNはデフォルト状態で英語環境になっているはずだ。もちろん、このままの状態でも利用には差し支えないが、使い勝手を考えれば、日本語環境にするための手続きを踏んでおくのが好ましい。

 現バージョンのDNNを日本語化するには、インストールの前後でそれぞれのステップを踏む必要がある。まず、ここではインストール前に行っておくべき処置を施しておこう。

 このページにある「Japanese (ja-JP) Language Pack」というリンクをクリックすると、DNNを日本語化するための2つのファイル(日本語化用のリソース・ファイルと、追加の言語パック・ファイル)をダウンロードすることができる。それぞれ[DOWNLOAD:]ボタンと[EXTRA RESOURCES:]ボタンをクリックしてダウンロードする。

 まず日本語リソースExtraResources_Ja.3.1.zipをダウンロードし、以下の要領でファイルを配置すること。

展開先 ファイル名
/Portals/_default DotNetNuke.template
Club or Organization Site.template
Personal Site.template
portal.template
Small Business Site.template
/Portals/_default/Logs/LogConfig LogConfigTemplate.xml.resources
日本語リソースの展開先とファイル
ダウンロードしたExtraResources_Ja.3.1.zipファイルを展開し、これらのファイルを指定したフォルダへコピーしておく。詳しくは.zipファイルに含まれているReadme_J.txtというファイルを参照のこと。

6.インストール・ウィザードを実行する

 以上でインストールを行うための準備は完了である。あとは、ブラウザから以下のURLにアクセスすることで、自動的にインストーラが起動する。

http://localhost/DotNetNuke/

 「Installation Complete」という文字列が表示されれば、インストールは完了だ。

DNN 3.1.0のインストール画面
インストールが正常に完了すると、「Installation Complete」という文字列が表示される。

 インストール完了画面末尾の「Click Here To Access Your Portal」リンクをクリックし、初期画面を表示させていただきたい。以下のような画面が表示されればインストールは成功している。

DNNのトップページ
この画面が表示されればインストールは成功である。

7.日本語リソースの設定、アップロードを行う

 日本語化作業の後半は、ユーザー“host”でDotNetNukeサイトにログインしたうえで行う必要がある。ユーザー“host”のデフォルト・パスワードは“host”だ。作業自体は大きく以下の3つのステップで行う。

7-1.ロケールの変更

 [Host]−[Languages]メニューより[Language]画面を開き、[Add New Locale]ブロックから次のとおり入力し、新しいロケール情報を追加する。

項目 設定値
Name Japanese
Key ja-JP
[Add New Locale]画面の設定

 上記表のように入力したら、[Add]ボタンをクリックする。

[Languages]画面
ここで、日本語のための新しいロケール情報を追加する。

7-2.日本語リソース・ファイルのアップロード

 [Languages]画面の左上のプルダウン・メニューから[Upload Language Pack]を選択する。[File Upload]という画面が開くので、手順5.のサイトからダウンロードした日本語化リソース・ファイル(ResourcePack.ja-JP.zip)をアップロードする。

日本語化リソース・ファイルのアップロード
[参照]ボタンをクリックして、先ほどのサイトからダウンロードしたResourcePack.ja-JP.zipファイルを指定する。

 [Upload New File]リンクをクリックすると、次のようにファイルがアップロードされる。

リソース・ファイルの組み込み

 前掲のサイトからダウンロードしたDNN_ResourcePack_Ja.3.1.zipを[追加]ボタンでアップロードした後、[新しいファイルのアップロード]ボタンをクリックすることで組み込みが開始される。

7-3.言語設定の変更

 ページ右上から[SuperUser Account]のリンクをクリックし、[Preferred Language]の欄を[日本語(日本)]に変更、また、そのほか必要なユーザー項目を入力する。[Update]ボタンをクリックすると、サイト全体の表示が日本語化されたことが確認できるはずだ。

日本語化を完了したDNN
日本語化リソースをアップロードし、必要なユーザー項目を入力してアップロードすることで、日本語化は完了する。
 

 INDEX
  [運用]Windowsでイントラ・ブログを構築する(前編)
    1.利用可能なブログ・アプリケーション
    2.Community Serverの入手とインストール
    3.Community Serverのブログ機能をセットアップする
 
  [運用]Windowsでイントラ・ブログを構築する(後編)
  1.DotNetNukeの入手とインストール方法
    2.ブログ・モジュールの追加
    3.外部ブログの情報をRSS経由で取得しよう
 
更新履歴
【2005/08/13】日本語化リソースに関する情報を一部変更しました。

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