[運用]

Windows 7システム導入のためのハードウェア・コンポーネント選択ガイド
―― Windows XP→Windows 7移行ガイド(ハードウェア編) ――

1.マルチコア化が進んだCPU

デジタルアドバンテージ 打越 浩幸
2011/11/10

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 Windows XPのサポート期限切れまでにあと2年ほどとなったが(Windows XP SP3の延長サポート期限は2014年4月8日)、まだWindows XPを現役で利用しているユーザーも多いと聞く。延長サポートの期限が切れてしまうとセキュリティ・パッチなどは提供されなくなるので、移行期間などを考えると、早急にOSのバージョンアップ、今ならWindows への移行を立案、計画する必要があるだろう。

 しかし現在利用しているシステムのOSがWindows XPというような場合、そのシステムは今から5年とか10年くらい前のハードウェアではないだろうか? このような場合、Windows 7への移行を機に新しいシステムに買い換えることになる(CPUが1GHz以下とか、メモリが512Mbytesしかない場合、Windows 7を利用するのは難しいだろう)。だが、最近のハードウェア事情にあまり精通しておらず、次々と発表、発売される製品(コンポーネント)の中から何を選んでよいか分からないという管理者も少なからずいるのではないだろうか。例えばメーカー製のBTOのPCを発注するにしても、現在どのようなハードウェアがあり、どのような違いがあるのかを知っていないと、どれを選択してよいかが分からないし、無駄にオーバースペックの製品を導入してしまうなどの失敗にもつながる。

 本記事では、Windows XP世代のシステムならばよく理解しているという管理者に向けて、主にWindows XPとWindows 7での対応などを中心にして、CPUやメモリ、ディスク、グラフィックス、ネットワークなど、最新のハードウェア選択のための情報をまとめておく。Windows XP → Windows 7移行におけるアプリケーションやユーザー設定の移行方法など、ITPro向けの情報については、以下のリンク先の記事を参照していただきたい。

マルチコア化が進んだ現在のCPU

CPUの例
これはIntel Core i7-2600と、そのソケットの例。ビジネス用途としては十分すぎるくらいの性能である。長く使うことを考えると、少し性能に余裕のあるくらいがよいだろう。なおCPUの形状は、昔のようなPGAタイプ(CPU側に接続用のピンがあるタイプ)ではなく、LGAタイプ(CPU側は接点しかなく、ソケット側に接続用のピンがあるタイプ)であるし、ピン数も非常に多い。だが、一般にビジネスPCでは将来CPUを取り替えることはないだろうから、CPUやソケットのタイプが何であるかを気にすることはないだろう。

基礎解説:
最新Intelプロセッサ「第2世代Core iシリーズ」は何が変わった?
用語解説:Core i5/i7

  この10年でPCの性能は飛躍的に向上したが、それに大きく寄与しているのがCPUの性能向上である。Windows XP世代のPCならば、搭載CPUはPentium IIIとかPentium 4あたりがメインであろうか(Intel CPUの場合)。技術が進歩し、より多くの回路やキャッシュなどを搭載できるようになった現在では、同程度の価格のCPUならば、コアあたりの性能は大雑把にいって性能は10倍から20倍以上向上しているし、2コアや4コアといったマルチ・コアCPUなら、トータルでの性能は100倍程度は高速化している(単純なDhrystone MIPS値比較)。そんな現在のCPUについて、いくつか補足しておく。

進化ポイント1―マルチコアによる高性能化

 半導体技術の進歩により、現在のCPUではマルチコア化(HTT:Hyper-Threading Technologyのようなマルチスレッド技術も含む)が進んでいる。現在のWindows OSでは、バックグラウンドでシステムの監視タスクやウイルス対策ソフトウェアが動作するのは当たり前である。マルチコア・システムでなければ、フォアグランドで動作しているアプリケーションがその影響を受けて動作速度が低下したり、操作がスムーズに行えなくなったりするので、マルチコアCPUは必須である。とはいえ、ビジネス用途ではせいぜい2コアから4コアあれば十分だ。

進化ポイント2―高機能化命令セット

 CPUの進化に伴い、次に示すような命令セットの高機能化も図られている。いずれも現在のビジネスPC(Windows 7)には必要な機能といえる。

  • 64bit命令セット――64bit版Windows 7を利用するためには必須。
  • 拡張SSE命令セット――主にマルチメディア処理や3Dグラフィックス描画などで利用されるが、暗号化処理などでも利用されているので、装備しているのが望ましい。
  • 仮想化支援機能――仮想マシンを実行するためには必須。Windows XP Modeや仮想化ソフトウェアで使用。
最近のCPUの例
これはIntelのCore i7-2600(Sandy Bridgeアーキテクチャ)の仕様の例。Windows XPが主流の頃のCPUと比較すると、マルチコア化や高速化、高機能化が図られている。
CPUの型番。
内部アーキテクチャ名。Sandy BridgeはIntelの最新マイクロ・アーキテクチャ。
消費電力(≒発熱量)。ハイエンド製品では100Wオーバーのものもあるが、ビジネス用なら100W以下の製品でも十分である。昔のPentium 4のように、常時大電力を消費するわけではなく、現在のCPUではアイドル時ははるかに少なくなる。
拡張機能リスト。MMXやSSE、AVXは(Intelの)マルチメディアや3Dグラフィックス処理、暗号化処理での高速化が期待できる。AESやAVXを備えていないCPUもまだ多い。AESはAES暗号化処理の高速化用命令。
動作クロック。このCPUのピーク・クロック周波数は3.4GHzだが、低負荷時はこのように低い周波数になり、消費電力を抑えている。
キャッシュ。現在のCPUでは、3次キャッシュを持つものが多い。L1とL2はコアごと、L3は全コアで共通のキャッシュ。
コア数。このCPUは4コア。
HTTをサポートしている場合は、1コアあたり2スレッド実行できるので、OSからは8コアに見える。

進化ポイント3―消費電力の削減

 半導体の微細加工技術や省電力技術の進歩などにより、最新のコンピュータではシステム全体で必要とする消費電力も削減されている。ハイエンドのグラフィックス・カードなど、一部には何百Wも消費するものもあるが、標準的なビジネス向けPCの場合は、新しい製品の方が全体的なピーク消費電力が抑えられているだけでなく、アイドル時や低負荷時の下限も低くなっている。ただし、より効率的な省エネを求めるならば、OSはWindows XPよりも、Windows 7の方が望ましい。新しいOSの方が、より積極的にきめ細かい消費電力の抑制が行われているからだ。詳細については以下の記事などを参照していただきたいが、Windows 7の方が消費電力抑制のためのパラメータが多く、初期設定のままでも省エネ指向になっているし、CPUの消費電力の抑制制御も細かくなっている。

 現在のCPUはマルチスレッド/マルチコアが主流であるが、常に最大クロック周波数で稼働させると消費電力も増え無駄になる。Windows 7などの最新OSでは、CPUの負荷に応じて全体的なクロック周波数を低下させたり、場合によっては特定のコアを休止状態にして消費電力を抑えるようになっている。同じシステムであっても、より新しいOSの方が(少しではあるが)消費電力を抑制できるので、PCシステム全体での節電を考えるなら、いつまでも古いPCやOSを利用するのは望ましくない。

Windows 7におけるCPUのクロック/休止制御
これはWindows 7のタスクマネージャから起動できる「リソース モニタ」の画面。CPUが消費電力を抑制するために、動的にクロック周波数を抑制したり、選択的にコアを休止状態にしたりしていることが分かる。
CPUの状態を見るには、リソース・モニタを起動後、[CPU]タブを選択する。するとCPU全体および各コアの負荷率などがリアルタイムに表示される。
この青い線はCPUの現在のクロック周波数を表す。バーが一番上だとCPUが最大周波数で動作していることを表す。電源プランの設定にもよるが、Windows 7では低負荷時にはCPUの周波数を低減させて消費電力を抑制するようになっている。そして負荷が高くなればすぐに周波数を上昇させる。のCPUの負荷グラフと比例して、周波数が変わっていることが分かるだろう。
CPU全体の負荷率のグラフ。負荷が高くなるとCPUを休止から稼働状態に移行させ、さらにクロック周波数も上昇させる。
「CPU 0」や「CPU 1」はCPU内の各コアを表す。あるコアのCPU負荷が0%になって、さらにしばらくするとこのように「保留(Parked)」状態になる。これはコアが休止していることを表す。

 以下、CPU選択のポイントを挙げておく。

項目 説明
CPUベンダ 10年くらい前はIntelとAMD以外にもいくつかCPUベンダが存在したが、現在では、デスクトップ用途で利用されるCPUはほぼこの2社のみである(Intelの方が圧倒的シェアを持っている)
IntelのCPUブランド CPUのシリーズ(ブランド)は1〜2年ごとに大きく変わるが、現在のIntel CPUのメイン・ストリームはCore iシリーズ。Core 2 DuoやCeleron、Pentiumなどのブランドはローエンドもしくは古いシリーズであり、現在積極的に選ぶ理由はない。将来のこと(アプリケーションの負荷の増大など)を考えると、少しぐらい性能に余裕のあるCPUを選んでおくのがよい。大雑把に言って、Core i3は2コア4スレッド、i5は4コア4スレッド、i7は4コア8スレッドのCPUシリーズである(デスクトップCPUの場合)。ビジネス用途ならi3〜i5の中位ぐらいで十分である。詳細は「基礎解説:最新Intelプロセッサ「第2世代Core iシリーズ」は何が変わった?」などを参照のこと。低消費電力のAtomシリーズもあるが、性能や機能、拡張性などが不足しているので(昔のPentium 4相当)、ビジネス・デスクトップ用途にはあまり向いていない
AMDのCPUブランド Intel同様、CPUのブランドは数年で大きく変わるが、現在のAMD CPUのメイン・ストリームはPhenomおよびFXシリーズ。FXシリーズが最新(4コア、6コア、8コアの製品がある)。Intelほど種類が多くないので、AMD CPUを採用しているPCもあまり多くない
コア数 最近のCPUはほとんどの場合2コアかそれ以上のコアを持つ。バックグラウンドで動作するサービスも多いため、2コア以上が必要だろう。低価格化のためにシングルコアの製品もラインアップされているが、あえて選ぶ理由はない。
64bit対応 サーバOSはすでに64bitに移行し、今後はクライアントOSでも64bitが一般的になるので、64bit対応は必須。ただし64bit命令セットをサポートしていないCPUは現在ではほとんどない
AES命令セット Intelの最新CPUに搭載されている、AES暗号化処理を高速化する追加命令セット
仮想化支援機能 XP ModeやHyper-V(Windows 8ではクライアントでも利用可能)を活用するためには、Intel VTもしくはAMD-Vといった仮想化支援機能は必須
省電力対応 最近では、同じCPUブランドであっても、省電力タイプがラインナップされていることがある(例: Core i3-2120の省電力版はCore i3-2120Tなど)。消費電力や発熱が気になるのであれば、低消費電力モデルを選ぶとよい
CPU選択ガイド


 INDEX
  Windows 7システム導入のためのハードウェア・コンポーネント選択ガイド
  1.マルチコア化が進んだCPU
    2.大容量化と低価格化が進んだメモリと64bit Windows OS
    3.大容量化/低価格化が進んだハードディスクとSSD
    4.グラフィックス・カードとネットワーク・インターフェイス
 「運用」

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