[運用]

Windows Thin PCで本格的なシンクライアントを実現する

第2回 Windows Thin PCを“本物の”シンクライアントに仕上げる

1.Windows Thin PCの本運用を考える

Microsoft MVP for Virtual Machine
日本ヒューレット・パッカード株式会社 小川 大地
2012/02/16


 前回はWindows Thin PC(以下WinTPC)の概要とライセンスの考え方、インストールや利用方法といった概要を紹介した。WinTPCはインストール直後から“疑似”シンクライアントとしてVDIなどに接続できる。簡単な評価であればこれで十分だろう。では、本格的な運用を考慮した場合、デフォルト設定のままで大丈夫だろうか?

 そこで今回は、WinTPCのデフォルト設定での挙動を確認してから、適切にカスタマイズすることで、本格運用に耐えうる“本物の”シンクライアント端末に仕上げるノウハウを解説する。WinTPCの標準機能ですべて実現するため、追加コストはかからないことにも注目していただきたい。

適切なカスタマイズの必要性

 WinTPCをデフォルト設定のまま利用する場合、エンドユーザーはその都度、次の操作でVDI環境に接続する必要がある。

  1. WinTPCがインストールされたFat PCの電源をオンにする
  2. WinTPCの認証画面でログオン情報を入力する
  3. WinTPCにインストールされているVDIの接続ツールを起動する
  4. VDIシステムへの認証画面でログオン情報を入力する
  5. ログオンしたい仮想PCを選択する
  6. 仮想PCの画面が表示され、ここでようやく業務を開始できる
電源ボタンを押す   WinTPCのログオン情報を入力   接続ツールを起動
       
業務開始   ログオンする仮想PCを選択   VDIのログオン情報を入力
デフォルト設定のWinTPCでVDIにアクセスするまでの操作手順
ここではMicrosoft VDIを例に挙げているが、VMwareやCitrixの製品でも流れは同じだ。エンドユーザーはアカウント認証を2回も行うのが手間に感じるだろう()。また、管理者としてはなどでエンドユーザーが接続ツール以外の機能にアクセスできてしまうため、接続元/接続先という1人あたり2台のPC環境をメンテナンスすることになってしまう。

 ここで、これまで通常の物理PCを使用していたエンドユーザーの視点に立って考えてみよう。まず、アカウント認証がの計2回、要求されている。また、WinTPCにログオン後、接続ツールは自分で起動しなければならない()。シンプルな使い勝手とはいい難く、エンドユーザーからは「シンクライアント・ソリューションを導入して使い勝手が悪くなった」と不満が上がるだろう。

 シンクライアント・ソリューションは操作と処理を分離しているところがキーである。そのため、接続元と接続先で計2回の認証を求められるのは技術的には納得できるが、エンドユーザーからすると少し違和感がある。

 また、デフォルトのままでは管理者にも負担を強いることになる。例えば、でエンドユーザーが接続ツールを立ち上げずにWinTPCの他の機能やアプリケーションにアクセスしてしまうかもしれない。さらには、正常なシャットダウンを行わず、電源ボタンの長押しで強制的に電源をオフにしてしまい、ファイル・システムの破損を引き起こしてしまうこともあるだろう。

 つまり、管理者はエンドユーザー1人に対して接続元と接続先の2台のPC環境を運用・管理・メンテナンスしていかなければならず、1人1台だった従来と比べて大きな負担増を強いられてしまう。

従来型PCと変わらない操作・運用管理を目指す

 従って、エンドユーザーや管理者の負担を増やさずにPCをシンクライアントへ移行するには、どのタイプの接続元端末を用いるにせよ、次の3つの課題を乗り越えなければならない。

  • エンドユーザーのアカウント認証は1回のみにする
  • エンドユーザーの操作ステップは増やさない(従来と同じ、電源投入と認証程度)
  • エンドユーザーは接続ツール以外にはアクセスできないようにする(管理者のメンテナンス・フリー)

 これらの課題に対し、WinTPCは次のようなカスタマイズで対応できる。

  • 2回の認証のうち、一方を自動認証されるように設定する
  • 接続ツールは自動的に起動されるように設定する
  • エンドユーザーは接続ツール以外にはエクスプローラを含めて一切アクセスできないよう、ロックダウンする
  • 接続対象が1台の場合など、選択が不要ならログオン先の仮想PCも自動選択されるように設定する

 つまり、WinTPCに「自動化」と「ロックダウン」の設定を行うことで、従来型PCの使い勝手や運用・管理を維持したまま、シンクライアントへの移行を安価に実現できる。

電源ボタンを押す   WinTPCのログオン情報を入力   接続ツールを起動
       
業務開始   ログオンする仮想PCを選択   VDIのログオン情報を入力
適切にカスタマイズしたWinTPCの利用手順
「自動化」と「ロックダウン」を適切に設定したWinTPCであれば、従来型PCの操作性や運用・管理を維持したまま、シンクライアントへの移行を安価に実現できる。


 INDEX
  [運用]Windows Thin PCで本格的なシンクライアントを実現する
  第2回 Windows Thin PCを“本物の”シンクライアントに仕上げる
  1.Windows Thin PCの本運用を考える
    2.Windows Thin PCをKIOSKモード化する手順
    3.KIOSKモード化したWindows Thin PCの利便性を向上する
    4.KIOSKモード化できないWindows Thin PCのセキュリティを強化する
    5.メンテナンス・フリーを強化する「EWF / FBWF」ライト・フィルタ

 「 Windows 運用 」

TechTargetジャパン

Windows Server Insider フォーラム 新着記事

@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

RSSフィード

キャリアアップ

- PR -
@IT Sepcial

イベントカレンダー

PickUpイベント

- PR -
もっと見る
- PR -

お勧め求人情報

ホワイトペーパーTechTargetジャパン

@IT Sepcial
ソリューションFLASH