製品レビュー
Internet Explorer 6 Public Previewファーストインプレッション

4.エラーの報告と、関連情報の提供を自動化する「エラー情報の収集機能」

デジタルアドバンテージ
2001/04/05

 初期のWindowsには、「ワトソン博士(Dr.Watson)」というプログラムが用意されており、Windowsアプリケーションが致命的なエラー(当時はUAE:Unrecoverable Application Errorと呼んでいた)が発生すると、やにわにこのワトソン博士が起動し、その時点でのメモリの状態などをトレースして、エラー時の状況をファイルに記録できるようになっていた。

 このワトソン博士は、Windows 2000でもこっそりとシステム・フォルダに配置されており、エラーの発生時にメモリ・ダンプなどの情報をファイルに書き出すようになっている(%SystemRoot%\system32\drwtsn32.exe)。かつてWindows 2000でアプリケーションを使っていて、突然アプリケーションが使用不能になると同時に、ハードディスクへのアクセスが一定時間発生した経験があるなら、このワトソン博士によってログが記録されている可能性がある。ワトソン博士によって書き出された最新のログに対するショートカットは、“Documents and Settings”フォルダの各ユーザーごとのフォルダの直下にdrwtsn32.logとして生成される。このファイルがあるなら、ダブルクリックして内容を表示してみよう。

 話をIE 6に戻そう。従来、このような障害ログは、主に開発者がバグレポート用としてマイクロソフトなどに連絡するためのものだった。障害報告のメールにこれを添付するなどして、詳しい障害発生時の状態を通知するわけだ。

 IE 6では、この障害情報の収集と、情報のインターネット経由の通知機能が組み込まれた。すぐ次で述べるとおり、障害情報をマイクロソフトに送るかどうかはユーザーが選択できる。この機能により、マイクロソフトはIE 6の障害情報を自動的に収集できるようになり、以後のバグ・フィックスを効率よく行えるようになる。一方、発生した障害が既知のもので、たとえばService Packを組み込むことで修正されたり、対応するサポート技術情報(マイクロソフトが提供しているWeb上のサポート情報。サポート技術情報の検索ページ)が存在したりするときには、ユーザーにその旨の情報が表示される。従来、こうした問題に関する情報を求めるには、自分でマイクロソフトのWebサイトなどを検索する必要があったが、(運がよければ)これからは自動的に情報へのリンクが得られるようになるわけだ。

 それでは、実際に障害を発生させて、処理の流れを確認してみよう。まずIE 6でアプリケーション・エラーが発生すると、次のダイアログが表示される。

アプリケーション・エラーの発生時に表示されるダイアログ
IE6がアプリケーション・エラーを発生すると、このダイアログが表示される。ここでは、エラー情報送信の実行有無などを指定できる。
  エラー情報を送信した後、自動的にIEを再起動する場合にはこのチェックボックスをオンにする。
  Visual Studioなどの開発環境がインストールされているときには、このボタンが表示される。このボタンをクリックすると、デバッガを起動することができる。
  収集したエラー情報をインターネット経由でマイクロソフトに通知する。
  情報の送信は行わずにIEを終了する。
  収集されたエラー情報の内容を確認する。→

 ここで[送信しない]ボタンをクリックすれば、エラー情報は送信されず、IEが終了する。[エラー情報に含まれるデータの参照]の右にある[ここをクリックしてください]という文字列をクリックすると、収集されたエラー情報の内容が表示される。

収集されたエラー情報の内容
ここでは、どのようなエラーが発生したのか([エラーの詳細]部分)、エラーが発生したDLLはどれで、バージョンは何か([エラーの署名]部分)などを確認できる。
  報告される詳細なログ情報を確認したければ、この文字列をクリックする。→
  このウィンドウを閉じる。

 ここでは、エラーの内容と、エラーが発生したモジュール(DLL)やバージョン番号などを確認できる。さらに詳細なログ情報を見たければ、の部分をクリックする。

詳細なエラー情報を確認する
ここでは、マイクロソフトに送信される詳細なエラー情報を確認できる。
  エラー情報の詳細。ワトソン博士が出力するログ情報と同じく、CPUのタイプや障害発生時に起動されていたプログラムなどが表示される。
  このウィンドウを閉じる。

 収集・送信される情報の確認を終えたら、エラー発生時に表示されたダイアログボックスで、[エラー報告を送信する]ボタンをクリックする。すると情報がインターネット経由でマイクロソフトに通知される。

エラー情報の送信
[エラー報告を送信する]ボタンをクリックすると、情報の送信処理が開始される。

 なお、このIE 6と同等のエラー情報収集・送信機能は、まもなく発売が予定されているOffice XPにも搭載される予定である。

  関連リンク
  Internet Explorer 6 Public Previewのホームページ(マイクロソフト)
  Internet Explorer 6 Public Previewのハイライト(米Microsoft)
  Internet Explorer 6 Public Previewのプライバシ機能(米Microsoft)
  サポート技術情報の検索ページ(マイクロソフト)
     

 INDEX
  [製品レビュー]Internet Explorer 6 Public Preview ファーストインプレッション
    1.IE 6 PPの入手とインストール
    2.UIの改良はわずか。興味深いのはプライバシ管理機能の追加
    3.Webページ上の画像処理を簡略化するイメージ・ツール・バー
  4.エラーの報告と、関連情報の提供を自動化する「エラー情報の収集機能」
    5.Cookieファイルの削除用ボタンを標準で用意
        コラム:P3Pとは何か?
    6.IE 6におけるCookieフィルタの基礎知識
 
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