製品レビュー

デスクトップOSのマイグレーションを支援するVirtual PC 2004

―― 仮想PC構築ソフトで過去のソフトウェア資産をそのまま活用 ――

デジタルアドバンテージ
2004/06/25

 最新のテクノロジを活かしたハードウェアやOS、アプリケーションは、ITに新しい可能性をもたらしてくれる。コンピュータ・テクノロジに触れるユーザーの1人としては、最新ソフトウェアの登場を無責任に歓迎したいところだ。しかし現実には、管理者にしろ、開発者にしろ、ソフトウェアの新バージョン登場は、ユーザーにとって一方ではやっかいな影響をもたらす。

 最大の問題は互換性だ。Windowsの新バージョンを開発する上で、困難だが避けられない重要なポイントの1つは、既存のWindows OSで動いているアプリケーションを、新バージョンでも問題なく動かすことである。企業ユーザーにとっては、どれだけWindowsの新バージョンが魅力的であっても、仕事に必要な業務アプリケーションが動かなければ乗り換えるわけにはいかないからだ。

 マイクロソフトはこの問題をよく承知しており、互換性維持に努めている。マイクロソフトが正式に公開したAPIだけで動くアプリケーション(いわゆる「行儀のよいアプリケーション」)なら、Windowsの新バージョンでもまず問題なく動くはずだ。

 しかし現実のアプリケーションは、将来の環境変化などはあまり考慮せず、短絡的なバージョンチェックを行ったり(想定したWindowsバージョンでなければエラーで終了するなど)、Windowsの非公開APIを使ったり、Windowsのシステム・ファイルを直接制御したりしているものが少なくない。マイクロソフトが、これらのいわゆる「行儀の悪いアプリケーション」の互換性を保証するのは不可能である。不幸にも行儀の悪いアプリケーションを使っているユーザーは、魅力的なWindowsの新バージョンが登場しても、アプリケーションがこれに対応してくれるまで移行できないか、新旧複数のWindows PCを使い分けなければならない。

行儀のよいアプリケーションと行儀の悪いアプリケーション
公開APIだけで作成された行儀のよいアプリケーションは、次世代のWindows環境でも問題なく実行できる可能性が高い。しかし非公開APIをこっそり使っている行儀の悪いアプリケーションは、特定のWindows OSに依存しており、そのままでは移行できない。

 この問題を根本的に解決する技術の1つが仮想化テクノロジである。仮想化テクノロジとは、ソフトウェアでハードウェアの処理をエミュレーション(疑似化)し、仮想的なPC環境(仮想マシン)を構築するものだ。ソフトウェアによって構築された仮想PC環境は、上位ソフトウェアから見れば通常のPCハードウェアに見えるので、ここにOSをインストールし、アプリケーションをインストールして使うことができる。

 例えば前出の例なら、Windows XP(ホストOSと呼ぶ)上に仮想PCを構築し、そこに古いWindows 98(ゲストOSと呼ぶ)をインストールすれば、その内部で行儀の悪いアプリケーションを実行可能になる。Windows XPから見れば、仮想PCはあくまでアプリケーションの1つなので、ウィンドウの1つとしてWindows 98環境を実行できる。

仮想化テクノロジを活用して行儀の悪いアプリケーションを動かす
仮想マシン・ソフトウェアで仮想的なPC環境を構築し、その上に旧来のOSをインストールすれば、行儀の悪いアプリケーションも実行できる。
 
 

 INDEX
[製品レビュー]デスクトップOSのマイグレーションを支援するVirtual PC 2004 
    1.Virtual PC 2004とは
    2.VPC 2004のインストール
    3.VPC 2004で実現されるハードウェア・デバイス
    4.ゲストOSのインストールと実行
 
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