|
Active Directory導入時には相当なコストを覚悟してほしい。一般的なコストには以下のようなものがある。
1.ネットワーク・インフラ
TCP/IPを標準とし、社内用のDNSサーバを設定する必要がある。社内用DNSサーバはActive Directoryドメイン・コントローラと兼任させるのが最も簡単である。
2.サーバPC
拠点ごとに1台、全社で(1ドメインあたり)2台以上のサーバが必要である(Active Directoryのドメイン・コントローラ1台と、可用性向上のための1台以上の追加ドメイン・コントローラ)。
3.ソフトウェア・ライセンス
Windows 2000 Serverライセンスがサーバ数だけ必要なほか、ログオン・ユーザー数だけのクライアント・ライセンスが必要である。Windows NTでは、認証のためにはクライアント・ライセンスは不要であったが、Windows 2000では認証のためのライセンスも必要である。
4.移行コスト
Windows NTドメインから移行する場合、移行コストを計上する必要がある。移行コストは、移行パターンによって大きく異なるので、以下にケース別の例を示す。
5.アプリケーション・コスト
使用中のアプリケーションがWindows 2000に対応していない場合、対応するバージョンにアップグレードする必要がある。また、動作テストも行う必要がある。
■移行コストの例
Active Directoryへの移行コストは、移行に使用する技術によって大きく変化する。ここでは、移行コストの安い順に紹介しよう。
1.インプレース・アップグレード
稼働中のWindows NT PDCをWindows 2000にアップグレードすると、自動的にActive Directoryが構成される。これを「インプレース・アップグレード」という。インプレース・アップグレードの場合、特別な移行コストはかからない。半日から1日もあれば移行は完了するし、2台以上のドメイン・コントローラがあれば、移行中にネットワークを停止させる必要もない。
 |
| Active Directoryへの移行例:インプレース・アップグレード |
| インプレース・アップグレードでは、既存のWindows NT 4.0 PDCをWindows 2000にアップグレードし、順次、Windows NTを減らしていく。 |
2.パラレル・インストール
稼動中のWindows NTをそのままにして、新たにActive Directoryを新規構築し、その後、Windows NTユーザーをActive Directoryに移行することができる。このような方法を「パラレル・インストール」という。パラレル・インストールの場合、少なくとも1台のPCを新規に用意する必要がある。そのため、ハードウェア・コストが若干増加する。
 |
| Active Directoryへの移行:パラレル・インストール |
| パラレル・インストールでは、既存のWindows NTシステムはそのままにして、新たにWindows 2000からなるActive Directory環境を構築し、その後ユーザー情報などを新しい環境に移行させる。 |
3.パラレル・インストール後のユーザー移行
■無償ツールの利用
ユーザーの移行には、マイクロソフトが無償で配布しているADMT(Active Directory Migration Tool)や各種のスクリプトが使える。これらのツールを使う場合には追加コストはかからない。小規模なサイトの移行にはこれで十分だろう。ただし、ADMTは多くの機能を持つため、付属するドキュメントだけでは使い方がよく理解できないかもしれない。直接的な移行コストではないが、ADMTの使い方を含め、Active Directoryドメインへの移行の詳細を学習するには、マイクロソフト公式教育カリキュラム「Microsoft Windows 2000マイグレーション設計(#2010)」などを受講するとよい。受講料は提供会社によって若干異なるが、おおむね10万円程度である。
■NetIQ社のツールを利用
NetIQ社の移行ツール「Domain Migration Administrator(DMA)」を使う方法もある。もともとADMTはNetIQの技術を使っているが、DMAに比べると機能が制限されている。例えば、ADMTにはパスワード移行の機能がないが、DMAはパスワードもそのまま移行できる。また、段階的な移行プロジェクトをサポートする機能を持つなど、大規模環境での移行を支援する。ただし、DMAはADMT以上に多くの機能を持っているため、非常に複雑である。しかも、ほとんどの場合、移行は1回限りの作業であり、製品技術の修得にかけたコストを回収するのは難しいかもしれない。適切なコンサルティング・サービスを購入することも検討したい。マイクロソフト社は「Speed Migrationサービス」として、DMAを使った移行サービスプログラムを支援している。詳細はこの件に関するマイクロソフトのページを参照してほしい。
|