Windows Q&A 64bitプロセッサ(3)デジタルアドバンテージ 小林 章彦2008/07/17 |
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またアドビシステムズのIllustrator 8.0Jなどの古いアプリケーションでは、インストーラが16bitバイナリなので実行できず、事実上、利用できないものもある。困るのは、Windows 3.xベースのプログラム(16bitバイナリ)は、32bit版のWindows XPでも正常に動作するため、現在利用しているアプリケーションが16bitバイナリなのか、32bitバイナリなのか判断しにくいことだ。16bitバイナリかどうかを判断する材料としては、プログラムの実行ファイルを右クリックして、[プロパティ]ダイアログを表示させ、[バージョン]タブがあるかどうかを確認する。このタブが存在しなければ16bitバイナリである。なおIllustrator 8.0Jなどのようにインストーラなどが16bitバイナリの場合もあるので、setup.exeなどについても確認が必要だ。 x64版Windows OSは、WOW64によって高い互換性を実現しているとはいえ、上記のように動作しない32bitアプリケーションも存在する。このような場合、x64版Windows OSでVirtual PCやVirtual Serverなどの仮想化技術ソフトウェアを実行し、その上で32bit版Windows OSと32bitアプリケーションを実行するという手もある。 Itaniumプロセッサにおいても、IA-32ELと呼ばれるソフトウェアによるx86エミュレーション環境が用意されており、Itanium向けWindows OS(IPF版Windows OS)上でx86アプリケーションを動作させることが可能だ。ただし、まったく異なる命令セット・アーキテクチャに対するソフトウェア・エミュレーション機能であることから、性能的にはPentium III程度にとどまるようだ。そのため、マイクロソフトもインテルも、管理ツールやシステム・モニタなど、パフォーマンスをそれほど要求しないアプリケーション向けの機能であるとしている。 |
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まずx64版Windows OSに対応した64bit対応のデバイス・ドライバが必要となり、ユーザーが必要とするデバイスの動作が必ずしも保証されないことだ。x64版Windows OSは、32bitアプリケーションとの互換性を持つが、デバイス・ドライバに関してはバイナリ・レベルでの互換性がない。そのためデバイス・ベンダは、x64版Windows OSに対応したデバイス・ドライバを用意しなければならない。x64版Windows OSに対応しているデバイスは増えつつあるが、すべてが対応しているわけではない。例えば、現時点でも一部のプリンタでは、x64版Windows OSに対応したプリンタ・ドライバが提供されていないため、x64版Windows OSからは印刷できない。このように32bit版Windows OSに比べて、利用できる拡張カードや周辺機器などに制限がある点に、x64版Windows OSが利用されない理由の1つがある。 また、64bitアプリケーションの数が限られていることも理由に挙げられる。サーバ向けには、Exchange Server 2007やSQL Server 2005など64bitに対応したアプリケーションも登場してきているが、Microsoft Officeが32bit版しか提供されていないことからも分かるように、全体としては64bitネイティブ・アプリケーションの数はそれほど多くない。そのため、64bit版Windows OSに移行しても、64bit化のメリットを十分に生かせない状態にある。 特にクライアントPC用途では必要性が高いFlash Playerの64bit版Internet Explorer(IE)向けがまだに提供されていない(64bit版Windows OS上の32bit互換IEでは、32bit版Flash Playerを動かすことが可能)、JREの64bit版もJava Plug-inが未サポートのため64bit版IEではJavaアプレットが動かせないといった点も、実際に活用する上での障害となる。 さらに「Q:64bit版Windows OS上で32bitアプリケーションは実行可能か?」で述べたように、x64版Windows OSでも、既存の32bitアプリケーションを実行することが可能だが、すべてのアプリケーションが動作するわけではない。またアドビシステムズのCreative Suite 3や弥生の弥生シリーズのように。x64版Windows OS上での動作を保証していないアプリケーションもあり、たとえ動作したとしても何らかのトラブルが発生した場合には保証の対象外となってしまう点も企業で利用する上では障害となる。
タマゴとニワトリの関係ではないが、x64版Windows OSに対応するアプリケーションやデバイスが限定的であるために普及が進まず、普及が進まないためにベンダが積極的にx64版Windows OSへの対応を行わない、という悪循環にあるのが現状だ。それでも、ファイル/プリント・サーバやドメイン・コントローラといった用途ならば、ほとんどOS標準のコンポーネントだけでサービスの提供が可能だし、Exchange Server 2007などの64bitアプリケーションが登場してきていることから、サーバにおいては徐々にではあるがx64版Windows OSへの移行が進みつつある。 |
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まず、サーバ向けとしては、そろそろ64bit版Windows OSの導入を検討してよいだろう。例えば、データベース・サーバやメール・サーバなど、大量のデータや多数のトランザクションを扱う用途では、メモリ容量が性能に大きなインパクトを与える可能性がある。64bit環境は、物理的にも論理的にも、32bit環境に比較してより多くのメモリに効率よくアクセスできるので、必要に応じてメモリを増設するなどして、拡大するパフォーマンス要求にスケーラブルに対応できる。実際に、Exchange Server 2007などは、基本的に64bit版Windows OSのみを対象としたアプリケーションとなっている。 また仮想化技術の登場によってサーバ統合が推進されると、1つの物理サーバ上で多くの仮想マシンが動作することになるため、必要とされる物理メモリ容量も増加することになる。そのため仮想化技術の利用では、大容量のメモリがサポート可能な64bit版Windows OSが標準になっていくものと思われる。すでにWindows Server 2008に標準搭載される仮想マシン・モニタであるHyper-Vは、64bit版Windows Server 2008上でしか動作しない。 一方、クライアントPCにおいては、「Q:64bitプロセッサでなぜx64版Windows OSが利用されないのか?」で述べているように、デバイス・ドライバやアプリケーションの対応状況は改善されつつあるものの、まだ十分に環境が整ったとはいえない状況だ。そもそもクライアントPCでは、アプリケーションのワーキングセットが4Gbytesを超える物理メモリを必要としていないケースも多く、x64版Windows OS利用の必要性がそれほど大きくない。正直なところ、特別な理由がないなら、32bit環境を使い続けても問題はない。 とはいえ大きな流れとしては、クライアントPCでもより多くのメモリが必要になるのは必定であり、一方でハードウェア環境はすでに64bit対応になっている。今後ソフトウェア・サポートが拡充すれば、クライアント向けでも64bit環境が常識になるのは時間の問題だろう。 |
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