Windows Server Insider、Insider.NET合同企画

編集会議メモ:TechEd Japan 2009取材戦略
―― 編集部の注目セッションはこれだ! ――

デジタルアドバンテージ
2009/07/23


 きたる2009年8月26日より、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で恒例のマイクロソフトのエンジニア向けイベント「TechEd」が開催される(正式名称はTechEd Japan 2009)。Windows Server InsiderとInsider.NETの両編集部では、毎年TechEdを取材するのが恒例になっている。例年は編集者個人がそれぞれ関心のあるセッションなどに自由に参加していたが、今回は事前にミーティングを開いて、注目のセッションなどについて編集者同士で意見交換してみた。この結果は読者の皆さんにも役立つのではと考え、記事として会議内容を公開することにした。ただし、以下はあくまで編集部の視点で独断的に語ったものであり、セッションなどの絶対的な価値を判断したものでは決してないことをあらかじめお断りしておく。

参加メンバ:

小川誉久(編集長)
打越浩幸(副編集長)
小林章彦(編集)
島田広道(編集)

遠藤孝信(編集長)
一色政彦(副編集長)

時期的に開発者向けの最新情報は少ない。システム管理者の注目はWindows Server 2008 R2

小川:全体を見渡して、今年のTechEdはどんな感じになりそうかな? まずは開発者視点で、Insider.NET編集部の意見は?

遠藤:開発者視点で見ると、新しい話題としては、先日正式版が公開されたSilverlight 3、クラウド技術のWindows Azure、開発環境の新版であるVisual Studio 2010(VS 2010)あたりでしょうね。

一色:ただしタイミング的には、2009年11月に米ロサンゼルスで開催されるPDC09(Professional Developers Conference)が控えており、新しい話題はPDC待ちという感がいなめない。Silverlight 3にせよ、Azureにせよ、VS 2010にせよ、テクニカル・セッションはあるものの、いずれも概要を紹介する内容のものが大半で、セッション数も少なく、踏み込んだ情報はもう少し待つ必要がありそう。

遠藤:確かに、開発者向けのセッション数は例年より少なめだと思う。でも逆にいえば、セッションの選択に迷うことなく聞けるってことでもあるね。

小川:では、今度はIT Pro(システム管理者)視点でみるとどうでしょう。Windows Server Insider編集部のみなさん。

打越:10月22日の発売が決定し、がぜん注目を集めるWindows 7、といいたいところだけれど、システム管理者としては、むしろ同日発売が予定されるサーバのWindows Server 2008 R2(以下2008 R2)の方がはるかに重要だと思う。2008 R2は、“R2”という名前から、以前のWindows Server 2003 R2を連想する人が多いかもしれない。この2003 R2は、Windows Server 2003に追加ソフトウェアがバンドルされただけで、OSカーネル自体は2003と何も変わらなかった。しかし今度の2008 R2はぜんぜん違う。実体はカーネルがWindows 7と同じになり、大幅に機能強化されている。

小林:それ以外の新しいところでは、コンプライアンス機能が大幅に強化された次期コミュニケーション・サーバのExchange Server 2010がある。

島田:地味ではあるけれど、Active Directoryの機能強化やSystem Center、Forefrontなど、情報システム基盤の運用管理を効率化、強化する技術や製品についても注目したい。

開発者向けの注目セッションは?

小川:開発者向けのセッションはTrack 2の「開発ツール&プラットフォーム」が中心になるね。

一色:注目のSilverlight 3に関するセッションは「Silverlight 3の新機能」(T2-305)くらいですか。恐らくオーバービュー的な内容になると思うので、すでにInsider.NETの記事などを読んで知っているならパスしてもかまいませんが、Silverlight 3をまだよく知らないというなら聞いておくとよいでしょう。

遠藤:.NET開発者としては、やはり「Visual Studio 2010 & .NET Framework 4.0概要」(T2-201)は聞いておくべきでしょう。VS 2010や.NET Framework 4.0は、Silverlight 3対応などが追加され、かなり大幅に機能強化されるので。

一色:業務アプリケーションというよりは、パッケージ系の開発者向けになるでしょうが、新しいタスクバーやマルチタッチなど、Windows 7の新機能を生かしたアプリケーション開発を考えるなら、「Windows 7のためのアプリケーション開発」(T2-308)がある。

遠藤:デバイス・ドライバなど低レベルなシステム制御が必要になる開発者で、64bit環境の準備に関心があるなら「64 ビット アプリケーション開発のポイント」(T2-311)が役に立つかもしれない。

一色:Windows 7に限らず、幅広い意味でのリッチ・インターフェイス・アプリケーション(RIA)について関心があるなら、「Silverlight、ASP.NET、.NET RIA Servicesによるデータ駆動アプリケーションの構築」(T2-403)は聞きたいところ。.NET RIA Servicesは、来年リリースが予定される注目すべき技術だから。

遠藤:業務アプリケーション開発という観点では、やはりデータベース・アクセス技術の知識は欠かせない。ADO.NET Entity FrameworkとLINQは、今後の.NETアプリにおけるデータ・アクセスの主流となっていく技術なので、まずはしっかり押さえておくべき。関連セッションは「ADO.NET Entity Framework and LINQデータ・アクセス開発」(T2-309)と「ADO.NET Entity Frameworkアーキテクチャ&ストラテジ」(T2-405)がある。

一色:Track 4のセッションだけれど、「SQL Server次期バージョン コード名 "Kilimanjaro" 概要」(T4-201)も気になる。データベースは業務アプリケーションの根幹なで、Kilimanjaroで何が変わるのか、ぐらいは押さえておきたい。SQL Server新版の最低限の知識は技術者として必要でしょう。

遠藤:Windows Azureは次々に新しい情報が出てきているので、クラウド開発に興味があるなら、「Azure開発概要」(T2-203)で最新の状況を聞けるでしょう。Azure関連はまだサービスや環境に動きがあるかもしれないが、将来的な対応を見据えて、クラウド化を考慮したアーキテクチャ設計がいまから必要。その点では、「クラウド コンピューティングでアーキテクチャ原則や開発パラダイムはどう変えるべきか?」(T2-402)も気になる。

環境構築が大変なテーマなら、Hands-on Labが有用

小川:トレーナーから直接トレーニングを受けられる、Hands-on Lab(以下HOL)があるのもTechEdの特徴だね。

打越:HOLはいいんだけれど、人気があるセッションはすぐに予約が一杯になってしまうようだから、早めの予約が必要。それから、HOLではテキストに従ってトレーナーの説明どおりに作業すればいいので、ラクといえばラクだけれど、受け身の気持ちで漫然とやっていると、あまり勉強にならない。

遠藤:それはそう。後は開発者として気になるHOLとしては、「Visual Studio Team System 2008による継続的インテグレーション」(H-304)がある。チーム開発ではTeam Systemは重要なんだけれど、環境構築とかルール作りとか、最初は何をやればいいか分からない。このトレーニングを学習のきっかけにできるでしょう。また、Expression Blendがピンとこない人は、「Visual Studio ユーザーに贈るExpression Blend 3を活用した魅惑のSilverlight 3開発」(H-303)もよさそう。Expression系ツールはなれるまで少々時間がかかるので、HOLが手っ取り早いと思う。

小林:システム管理者としてもHOLにはいくつか注目すべきセッションがある。システム管理関係だと、勉強のためのテスト環境を構築するのにひと苦労したりするけれど、HOLならそのあたりはすべて準備されているので便利。あと、障害対策では、障害を起こしてみるのが一番なんだけれど、これがまた簡単ではない。HOLならこの手の体験も手軽にできる。

島田:今回のTechEdの重点製品の1つがExchange Server 2010(以下Exchange 2010)ということで、Exchange 2010関係のHOLトレーニングが6個もある。ExchangeではActive Directory環境やDNS環境が前提になるので、テスト環境を作るのが簡単ではない。Exchange 2010の特長であるコンプライアンス機能の強化や、既存環境からの移行などを手早く体験したいならHOLが有効だ。

小林:テスト環境の構築が難しいという意味では、2008 R2の目玉機能であるHyper-V Live Migration機能を取り上げた「Windows Server 2008 R2 Hyper-V Live Migrationで実現する信頼性の高いサーバー プラットフォームの構築」(H-302)もよさそう。

盛りだくさんのIT Pro向けセッション

小川:では、IT Pro視点でテクニカル・セッションに話を戻そう。Windows 7/Windows Server 2008 R2など最新プラットフォームの情報はTrack 1の「次世代プラットフォーム」にまとまっている。

打越:Windows 7でまず注目されるのは、新しいUIなどだと思うけれど、これはセッションで聞くより、自分でRC版をインストールして使ってみるのが早いと思う。Windows 7はインストールもすごく簡単で短時間で終わるので。今回のテクニカル・セッションで私が一番にお勧めするのは、「Windows 7とWindows Server 2008 R2カーネル解説と基本機能の強化」(T1-401)。昔は新しいWindows OSが出るといえば、カーネルの内部技術から解説されたものだけれど、最近はこういう話があまり聞けなくなったのですごく貴重だと思う。

島田:Windows 7とServer 2008 R2を組み合わせることで実現できる新機能に注目している。具体的には、ブランチ・オフィスからのネットワーク・アクセスを効率化するBranchCacheと、安全性を維持しながら、社外から社内へのネットワーク・アクセスを容易にするDirectAccess。「次世代インフラストラクチャBranchCache & DirectAccess徹底解剖」(T1-302)では、単なる機能紹介だけでなく、アーキテクチャ解説もしてくれるとのこと。ネットワーク設計にこれらの新機能を生かすなら、アーキテクチャへの理解が欠かせないので。

小林:HOLのところでも述べたが、Server 2008 R2といえば、Hyper-V 2.0での機能強化が注目ポイント。まずは基本を押さえるなら「Hyper-V 2.0 設計と構築のポイント」(T1-307)、タイトルからはちょっと分かりにくいけれど、Hyper-Vクラスタリング環境でサーバを停止せずにホストを移動できるLive Migrationの解説をする「Effective Hyper-V R2 - 仮想マシンはクラスタの夢を見るか?」(T1-402)はかなり踏み込んだ内容になりそう。

島田:地味ながら、2008 R2では、Active Directoryとグループポリシーが強化されており、さらにシステム管理を手軽かつ緻密にできるようになっている。現場のシステム管理者としては「待ちに待った機能が登場! Windows Server 2008 R2 Active Directoryとグループ ポリシーの新機能」(T1-305)を聞いてみたい。

小川:Track 3は、Exchange 2010とSharePoint Server 2007、Officeを組み合わせたユニファイド・コミュニケーションがテーマだね。

打越:Exchange 2010に関心があるなら、このトラックのセッションを集中的に聞くことになるでしょう。概要を知っておくという程度なら「Exchange Server 2010新機能とアーキテクチャ」(T3-201)を聞いておけばよい。Exchange 2010の注目機能はコンプライアンス機能強化ということなので、この点を知りたければ「Exchange Server 2010 のセキュリティ&コンプライアンス」(T3-301)、さらに具体的な環境構築のポイントを知りたければ「Exchange Server 2010システム構築のポイント」(T3-303)がある。

小林:次期OfficeのOffice 2010も気になるところ。まだ詳細な情報は出てこないでしょうが、「Office 2010概要」(T3-202)に興味がある。

小川:Track 4はSQL Server関連。

島田:基本的には、次期バージョンのKilimanjaroについて知りたいのか、既存のSQL Server 2008の実践的な情報を知りたいのかで聞きに行くセッションが分かれる。個人的には、SQL Serverの移行とトラブル・シューティング、チューニングに関するセッション(T4-302、T4-401、T4-402)は実践的ですぐ役立つ話が聞けそうで気になっている。

小川:Track 5は運用管理系セッション。

打越:システム管理者系の記事の担当者としては、このトラックのセッションはどれも気になるところ。仮想環境の実践的な展開運用管理に使えるSystem Center Virtual Machine Manager関連のセッション(T5-201、T5-301、T5-304)が個人的には注目。

島田:大規模システムを効率的に管理できるOperations Manager 2007 R2(以下OM 2007 R2)について勉強したいと思っている。OM 2007 R2はネットワーク内のLinux/UNIXサーバも管理できることは知っていたが、具体的などんなものなのか、「Operations Manager 2007 R2 による UNIX/Linux 監視」(T5-302)で勉強できそう。実践的な活用法は「Operations Manager 2007 R2によるシステム監視の Tips & Tricks」(T5-303)が役立つだろう。

小林:「Hyper-V 2.0のバックアップ -ベスト プラクティス」(T5-307)では、仮想環境の運用で不可欠なバックアップ・テクニックについて、各種手法の長所短所を説明するとのこと、面白そうだね。

 Tech Ed 2009 Japanのセッション予定を見ながら、編集部で気になるセッションについて話し合ってみた。全体的に見て、最新の話題を追求するというより、既存環境の有効な活用に重点があると思われる。Windows Vistaの導入を保留にしていたビジネス・ユーザーが多いようだが、いい換えれば、今年末に登場するWindows 7のタイミングは、デスクトップが一斉に置き換わる機会でもある。これをチャンスに、デスクトップ環境だけでなく、サーバサイドやネットワーク全体の運用管理の効率化、省力化、高機能化を図ってはどうだろうか。今回のTechEdには、そのための検討材料がたっぷり用意されている。End of Article

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