特集
Windows 2000とは何か?(改訂新版)

1.イントロダクション

デジタルアドバンテージ
2000/05/25


 Windows 2000は、主にビジネスユーザー向けのフル32bitオペレーティングシステムであるWindows NT 4.0の後継として、マイクロソフトが2000年2月18日より発売を開始したOSである。このWindows 2000の開発にあたっては、早期体験プログラムとして、開発途中バージョンであるベータ3を公募したユーザー向けに広く実費配布したり、続くRC2版を、早期体験プログラムとしてコンピュータ関連雑誌の付録CD-ROMとして約200万コピーも配布したりと、規模・内容ともに、従来にはなかったマーケティング施策が展開された(1999年11月末時点でのWindows 2000のマーケティング プランについては、別稿の「Insider's Eye:マイクロソフト、日本語版Windows 2000の発売日、価格、マーケティングプランを正式発表」を参照)。特に、2000年8月までの期間限定とはいえ、この付録CD-ROMとして配布されたRC2版のユーザーには、通常よりも安価にWindows 2000 Professionalを購入できる特典が与えられ、話題を呼んだ(特典の詳細については、「Insider's Eye:マイクロソフト、RC2登録特典を利用したWindows 2000 Professionalの購入方法を公開」を参照)。

Windows 2000のデスクトップ
Windows 2000 Professionalのデスクトップ。この画面を一見しただけでは、Windows 98や前バージョンのNT 4.0との違いは分からない。しかしWindows 2000では、細かな部分まで含めると、多くの点で新機能の追加や機能の改良、機能拡張などが行われている。

 この画面を見ただけでは、既存のWindows 98(Second Edition)や前バージョンのNT 4.0との違いは分からないだろう。しかしこのWindows 2000には、マイクロソフトの新世代オペレーティングシステムとして、数々の機能追加や改良が行われている。以下本稿では、Windows 2000で改良された機能や、新たに追加された機能の中から、主立ったものを個別にご紹介していくことになるが、ここではその第一歩として、Windows 2000のパッケージ構成と、Windows OSの今後のロードマップなどについて簡単にまとめておこう。

Windows 2000のパッケージ構成

 従来のWindows NT 4.0では、デスクトップ向けのパッケージとしてはWindows NT Workstation 4.0が、部門レベルの比較的小規模なサーバ用途向けとしてはWindows NT Server 4.0が、さらに大規模なネットワーク サーバ向けとしてはWindows NT Server 4.0 Enterprise Editionがそれぞれ提供されていた。これに対しWindows 2000では、それぞれに対応するパッケージとして、Windows 2000 Professional、Server、Advanced Serverが提供される。さらにWindows 2000では、より大規模なデータウェア ハウスや計量経済分析、エンジニアリング用のサーバ向けとして、Windows 2000 Datacenter Serverが2000年夏に出荷される予定である。これらの関係をまとめると次のようになる(Windows 2000の製品概要については、マイクロソフトのWebページを参照)。

Windows 2000 Professional のパッケージ
Windows 2000 Professionalは、NT 4.0 Workstationに相当するクライアント向けのパッケージである。写真はWindows NT 4.0 Workstationからのアップグレード用となるバージョン アップグレード パッケージ(推定小売価格1万6800円)。ほかに完全版(同3万8800円)とWindows 9xからのアップグレード用の「プロダクト アップグレード」パッケージ(同2万7400円)もある。



NT 4.0パッケージ Windows 2000パッケージ 主な用途
Windows NT Workstation 4.0 Windows 2000 Professional デスクトップクライアント、ごく小規模なワークグループ サーバ
Windows NT Server 4.0 Windows 2000 Server 部門サーバ、小規模〜中規模サーバ
Windows NT Server 4.0 Enterprise Edition Windows 2000 Advanced Server より強力な中規模、大規模サーバ向け。各種インターネットサービス(WWWサーバなど)を統合的に実現することが可能
該当なし Windows 2000 Datacenter Server データウェアハウス、経済分析、各種エンジニアリング用途などに使用する大規模サーバ向け
Windows NT 4.0とWindows 2000パッケージの対応関係

 各Windows 2000パッケージの主要スペックと必要システム要件などは次のとおりである。ただしこれらは、PC/AT互換機およびNEC PC-9800シリーズのものである。ほかにも、COMPAQ Alphaシステム向けのWindows 2000の各パッケージがある。

  Windows 2000 Professional Windows 2000 Server Windows 2000 Advanced Server
プロセッサ Pentium-133MHz以上(または互換プロセッサ) Pentium-133MHz以上(または互換プロセッサ) Pentium-133MHz以上(または互換プロセッサ)
SMPサポート 最大2プロセッサ 最大4プロセッサ 最大8プロセッサ
必要メモリ 32Mbytes以上 128Mbytes 128Mbytes
推奨メモリ 64Mbytes 256Mbytes 256Mbytes
最大メモリ 4Gbytes 4Gbytes 8Gbytes
ハードディスク容量 850Mbytes以上(全体として2Gbytes以上を推奨) 1Gbytes以上 1Gbytes以上
ディスプレイサブシステム VGA以上 VGA以上 VGA以上
その他のリムーバルストレージ CD-ROMドライブまたはDVD-ROMドライブ CD-ROMドライブまたはDVD-ROMドライブ CD-ROMドライブまたはDVD-ROMドライブ
その他のデバイス キーボード/マウス/その他のポインティング デバイス キーボード/マウス/その他のポインティング デバイス キーボード/マウス/その他のポインティング デバイス/ネットワークアダプタ(ネットワーク接続時)
アップグレード可能なOS Windows 95/Windows 98(SE)/Windows NT Workstation(3.51/ 4.0) Windows NT Server(3.51/4.0)/Windows NT Server 4.0 Terminal Edition Windows NT Server(3.51/4.0)/Windows NT Server 4.0 Terminal Edition/Windows NT Server 4.0 Enterprise Edition
出荷日 2000年2月18日 2000年2月18日 2000年3月3日
Windows 2000各パッケージの概要と必要システム構成

 なお、Windows 2000 Datacenter Serverは、最大32プロセッサまでのSMPサポート、最大メモリが64Gbytesであること以外はすべて未定である。

2000年内にはWindows 9xコアを持つ最後のOS、Windows MEが発売予定

 Windows 2000が登場したことにより、マイクロソフトのWindows OSラインアップは、Windows 98 Second Edtion(SE)とWindows 2000の2つになった。端的な分類としては、ゲームやマルチメディア用途など、ハードウェアの性能を最大限に引き出したい場合や、Windows 2000用のデバイス ドライバを入手不可能な一部のマルチメディア デバイスなどを使用する場合にはWindows 98 SEを、ワードプロセッサや表計算アプリケーション、電子メールなど、もっぱらビジネス アプリケーションを利用する場合ならWindows 2000をということになる。しかしPCショップなどでのソフトウェア販売コーナーを見ても、積まれているパッケージはWindows 2000(Professional)ばかりであり、コンシューマ用途としても、マイクロソフトがWindows 2000を押していることは明らかだ。

 こんな中マイクロソフトは、Windows 9xコアを持つ新しいWindows OS、Windows Millennium Edition(ME)の開発を進めている。マイクロソフトの発表によれば、このWindows MEこそが、Windows 9xコアを持つ最後の製品だとされ、出荷予定は2000年中とのことだ。

 このWindows MEでは、起動時間の大幅な短縮を始め、デジタル スチル カメラや携帯用オーディオ プレイヤーなどのコンシューマ機器に対するサポートが新たに追加される模様である。しかし全般的には、ごく部分的なマイナー バージョンアップであるといわれており、一部の関係者の間では「Windows 98 Third Edition」などと囁かれている。事実、2000年4月25日からハードウェア ベンダのエンジニアなどを対象として開催されたテクニカル カンファレンスのWinHEC 2000では、Windows MEが「クリスマス商戦向けプレインストールOS」として参加者に紹介された。マイクロソフトにとってのWindows MEの位置づけを端的に表した言葉と考えてよいだろう。

そしてWhistlerへ

 1999年末時点のロードマップでは、Windows MEの後継OSとして、Windows 2000コアを持つコンシューマ向けOSのNeptune(開発コード名)が開発される予定だったが、その後Microsoftは方針を変え、現行のWindows 2000のすべてのラインアップも含めて、バージョンアップが行われることになった。この方針転換により、開発コード名はNeptuneからWhistler(ウィスラー)に変更された。

 Whistlerについては、先に述べたWinHEC 2000において、ビル・ゲイツ氏を始めとする同社の幹部のスピーチで、現状と今後のロードマップが公表された。これによれば、クライアント向けのWhistlerには少なくとも2つの製品群があり、一方は現行のWindows 2000 Professionalの後継となるビジネス用途向けに最適化された製品、もう一方はWindows MEの後継となるコンシューマ用途向けに最適化された製品である。コードベースが共通化されることから、両者は同一のデバイス ドライバを使用可能であり、双方で完全なアプリケーションの互換性が保証されるとしている。

 Windows MEユーザーにとって、Whistlerは、OSコアがWindows 9xからWindows 2000に変わる大幅なバージョンアップになるが、現行のWindows 2000ユーザーにとっては、Whislterはちょっとしたマイナー バージョンアップにとどまる模様である。Windows MeとWhistlerの今後のロードマップを図にすると次のようになる。

クリックすると図が拡大表示されます
クライアント向けWindows OSのロードマップ
2000年2月に発表されたWindows 2000に引き続き、Microsoftは、2000年中に現行のWindows 98 SEの後継となるWindows MEを出荷する予定だ。過去のソフトウェアとの互換性を維持することなどを目的として、綿々と続いてきたWindows 9xコードベース製品の歴史は、このWindows MEを最後に市場から消える。そして2001年には、ホーム ユースからビジネスまで、Windows 2000のコード ベースを持つWhistler(ウィスラー)に移行する。

 サーバ側製品としては、Windows 2000の最上位製品であるData Center Serverが2000年夏に出荷される予定だ(以下の図を参照)。このWindows 2000 Data Center Serverでは、32個までのマルチプロセッサ、および最大64Gbytesまでの物理メモリをサポートする。

 すでに述べたとおり、Whistlerはクライアント向け製品だけでなく、サーバ向け製品も出荷される。現行のWindows 2000 Professional、Server、Advanced Serverに加え、前出のData Center Serverに対応する製品が出荷される予定である。これらを図示すると次のようになる。

クリックすると図が拡大表示されます
サーバ向けWindows OSのロードマップ
夏までには、残されていたWindows 2000シリーズの最後の製品であるWindows 2000 Data Center Serverがリリースされる。またIntelの次世代64bitプロセッサであるItanium搭載システムの出荷に合わせ、64bit版のWindows 2000 Serverがリリースされる予定である。Whistlerはサーバ向け製品についても出荷される。基本的に、現行のWindows 2000 Professional、Server、Advanced Serverに加え、前出のData Center Serverに対応する製品が出荷される予定である。

 これら32bit版のWindows OSとは別に、2000年中にはIntel Itanium(アイテニアム)搭載システム向けの64bit版Windows 2000 Serverがリリースされる予定だ。Microsoftは、1999年8月にはItaniumシステム上で動作するWindows 2000を披露し、2000年2月にはIntelとともに共同開発した64bit版のSDK(Software Development Kit:ソフトウェア開発キット)を発表している。Microsoft社の幹部によれば、64bit版Windows 2000 Serverの出荷時期は、「Itanium搭載システムの発売に合わせる」とのことである。

 このほかMicrosoftは、PDA(Personal Digital Assistant)機器や専用機器向けの組み込み用OSとして、Windows CEと、Windows NT 4.0のテクノロジをベースとして、組み込み用途向けの変更を施したWindows NT 4 Embeddedの2つのラインアップを持っている。このうち後者のWindows NT 4 Embeddedの後継に位置づけられるものとして、Whistlerの組み込み版の開発も進めているという。

 WinHEC 2000で紹介されたWindows OSのロードマップについては、別稿「Insider's Eye:ベールを脱いだWhistler」で詳しく紹介しているので参照されたい。

関連記事(Windows Insider内)
Insider's Eye マイクロソフト、日本語版Windows 2000の発売日、価格、マーケティングプランを正式発表
Insider's Eye マイクロソフト、RC2登録特典を利用したWindows 2000 Professionalの購入方法を公開
Insider's Eye ベールを脱いだWhistler
 
関連リンク
米Microsoft WinHec 2000のホームページ
マイクロソフト Windows 2000の製品概要紹介のページ

 
     
 INDEX
  [特集]Windows 2000とは何か?(改訂新版)
1. イントロダクション
  2. マイクロソフトのWindows2000戦略
    コラム:Windows NTの歴史
  3. Windows 2000 Professionalの概要(1) インストール/セットアップ
  4. Windows 2000 Professionalの概要(2) ユーザーインターフェイスの改良
  5. Windows 2000 Professionalの概要(3) デバイスサポート/電源管理機能
  6. Windows 2000 Professionalの概要(4) システムの強化
  7. Windows 2000 Professionalの概要(5) ネットワーク機能の強化
  8. Windows 2000 Serverの概要(1) 管理ツールとActive Directoryサービス
  9. Windows 2000 Serverの概要(2) ファイル/プリンタ共有サービス
  10. Windows 2000 Serverの概要(3) ネットワークとリモートアクセスサービス
  11. Windows 2000 Serverの概要(4) アプリケーションサービスとAdvanced Server
 
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