Vistaの地平
第3回 カーネルの改良とフォント、セキュリティ機能の強化

2.新フォント「メイリオ」と新JIS標準対応

デジタルアドバンテージ 小川 誉久
2006/12/08

新日本語ClearTypeフォントとして「メイリオ」が追加

 従来のMS明朝、MSゴシックに加え、Vistaでは「メイリオ」と呼ばれる新しい日本語ClearTypeフォントが追加された。これはセリフのないゴシック系フォント(サンセリフ・フォント)で、次のようなデザインである。特に小さなポイント・サイズや液晶画面でも見やすくなるようにデザインされ、通常書体のほかに、ボールド(太字)書体も用意されている。

Vistaで追加された新フォント「メイリオ」
Vistaでは、「メイリオ」と呼ばれるサンセリフ・フォントが新たに追加された(1行目)。メイリオは、MSゴシック/MS明朝ではClearTypeによるスムージングが効かないサイズ(この例では10ポイント)でも、このようにアンチエリアスによるスムージングが実行される。この画面は、10ポイントの文字をキャプチャして拡大したもの。

 ClearTypeは、マイクロソフトが開発したフォント・スムージング技術で、解像度の低いディスプレイでも滑らかな文字表示を可能にしようとするものだ(ClearTypeの詳細については関連記事を参照)。

文字表示を滑らかにする新技術「ClearType」

 従来のMS明朝、MSゴシックもClearType対応フォントであるが、ブラウザなどで一般的に表示するサイズ(6〜14ポイント)ではスムージングは行われず、ビットマップ・フォントが使用されるようになっていた(この点についても、関連記事に詳述している)。しかしメイリオでは、英文字フォントと同様に、通常使用サイズにおいてもClearTypeによるスムージングが実行され、滑らかな文字表示が可能になっている。

MSゴシックによる表示(上)とメイリオによる表示(下)
IEでWebページを表示し、デフォルトのMSゴシックで表示したもの(上)と、フォントをメイリオに変更して表示したもの(下)。メイリオによる表示では、スムージングにより滑らかな表示になっていることが分かる。

最新の文字コード標準、JIS X 0213:2004に対応

 システム管理者にとって、新フォントの追加よりも重要なことは、Vistaに搭載されるフォント・セットでは、従来とは異なる文字コード標準が使われていることだ。従来のXPの日本語フォントでは、1990年に制定されたJIS規格(JIS第一水準、第二水準漢字、以下JIS90)をベースに、その後制定されたJIS補助漢字(5801文字)を加えた1万2156個の漢字がサポートされていた。ただし歴史的な経緯から、これらのフォントでは、一部の文字において、出版物などで使われるプロフェッショナル印刷用とは異なる略字形などが使われていた(字形の例については次の図を参照)。

 これに対しVistaで標準サポートされる日本語フォント(MS明朝、MSゴシック、メイリオ)は、最新の日本語文字コード体系であるJIS X 0213:2004(いわゆるJIS2004)に対応している。このJIS2004では、字形がプロフェッショナル印刷用字形と統一され、いくつかの文字が追加されている。XPのJIS90と、VistaのJIS2004で異なる字形の例は次のようなものだ。

JIS90(左)とJIS2004(右)での字形の違い
歴史的な経緯から、XP搭載のJIS90フォントでは、プロフェッショナル印刷用字形とは一部異なる字形が使われていた。これに対しVistaのJIS2004フォントでは、正式な字形に統一されている。

 VistaのJIS2004日本語フォント環境は、基本的には、より厳密な日本語文字環境だといえる。しかしVistaの導入期においては、JIS90ベースのXPと、JIS2004ベースのVistaが共存することになるので、場合によっては互換性問題が発生する可能性がある。通常のビジネス用途では、重大な問題が発生することは少ないと思われるが、人名や地名などの固有名詞を厳密に表記したり、集計したり(名寄せなど)する用途では、思わぬトラブルの元になる可能性があるので注意が必要だ。

 問題は大きく2つある。1つは、いま述べたように両者で一部の文字の字形が異なることだ(つまり同じ文字コードを使っていても、表示される文字の形が異なる)。JIS2004のVistaで正しい字形を入力してファイルに保存したとしても、JIS90のXPでこれを表示すると、略字などとして表示されてしまう(逆に、JIS90環境で略字入力しても、JIS2004環境では正式な字形で表示される)。

 第2の問題は、JIS2004ではJIS90には存在しない、いくつかの文字が追加されていることだ。JIS2004環境でこれらの文字が入力された文書を、JIS90環境で開くと、文字が表示されない可能性がある(「・」などが表示される)。

 こうした互換性問題を回避するために、マイクロソフトは、XPなどJIS90環境向けのJIS2004対応フォントと、Vista向けのJIS90互換フォントをいずれもインターネットで無償提供するとしている。

JIS2004(推奨) JIS90互換オプション
フォント・バージョン 5.0 2.5
提供方法 Windows Update ダウンロード・センター
提供されるタイプ・フェイス MSゴシック、MS明朝 MSゴシック、MS明朝
フォントの用途 システム・デフォルト・フォント システム・デフォルト・フォント
提供対象OS Windows XP SP2以上、Windows Server 2003 SP1以上 Windows Vista、Windows Server “Longhorn”
既定で表示される字形 JIS2004 JIS90
互換性問題を回避するために提供されるフォント・パッケージ

 このうちマイクロソフトが推奨するのは、新しいJIS2004対応フォント(Ver.5.0)を既存のXP/Windows Server 2003に適用し、フォント環境をJIS2004に統一することだ。アクセスがより簡単なWindows Updateから入手できるようになる予定である。ただし、新しいVer.5.0のフォントを追加インストールすると、従来のフォント・セットは上書きされるため、双方のバージョンを併存させることはできない。また表から分かるとおり、対象OSはWindows XP SP2以上、Windows Server 2003 SP1以上なので、Windows 2000以前のOSは統一できない。またXPやWindows Server 2003であっても、Service Packレベルが統一されていない場合には、Service Packの適用が必要になる。

 マイクロソフトは推奨しないが、VistaにJIS90互換フォントをインストールして、環境をJIS90フォントで統一する方法もある。バージョンを制御できない外部とのデータ交換を考えると、少なくとも当初はこちらの方が現実的な選択肢になる可能性が高い。

 もちろん、字形の違いやJIS90非サポート文字の影響がないなら、JIS90とJIS2004を共存させても構わない。多くの企業では、この対応でも問題はないだろう。ただしシステム管理者としては、Vista導入時の互換性問題の要因の1つとして、JIS漢字規格の違いがあることは心にとめておく必要がある。

 VistaのJIS2004対応と、企業などにおけるJIS2004環境への移行方法については、以下のページからダウンロードできるドキュメントが詳しいので参照されたい。


 INDEX
  Vistaの地平
  第3回 カーネルの改良とフォント、セキュリティ機能の強化
    1.カーネルの改良による性能とスケーラビリティの向上
  2.新フォント「メイリオ」と新JIS標準対応
    3.Vistaのセキュリティ機能
 
 「 Vistaの地平 」

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