Vistaの地平

第12回 機能性/実用性がさらに強化されたオフライン・ファイル

1.オフライン・ファイルとは

Microsoft MVP
Windows Server - Networking
小野 雄太郎
2007/08/29

「Vistaの地平」は、Windowsベースの情報システムを管理するIT Proを対象に、Windows Vistaの注目機能について解説するコーナーです。
Index
Windows Vistaとは何か?
Windows Vistaのユーザー・インターフェイス
カーネルの改良とフォント、セキュリティ機能の強化
TCO抑制に向けた各種運用管理機能が強化されたVista
Vistaのハードウェア要件
より高機能になったVistaのバックアップ機能
管理者権限での実行を制限するユーザー・アカウント制御UAC(前編)
管理者権限での実行を制限するユーザー・アカウント制御UAC(後編)
スパイウェアからコンピュータを保護するWindows Defender
IPv6を取り込んだVistaのネットワーク機能
機能が向上したWindows Vistaのグループ・ポリシー
機能性/実用性がさらに強化されたオフライン・ファイル
Windows Vista SP1
セキュリティが強化されたWindowsファイアウォールの概要
セキュリティが強化されたWindowsファイアウォールの管理

 Windows Vistaでは、モビリティ機能*1の改善/拡張が広く行われている。この記事では、Windows Vistaに搭載されたモビリティ機能の1つとして、オフライン・ファイルを紹介する。

*1ノートPCなど、移動しながら利用が可能なコンピュータを想定した機能

1.オフライン・ファイルとは

  Windows Vistaに搭載されたオフライン・ファイルは、もともと Windows XP Professionalに搭載されていたオフライン・フォルダをさらに発展させ、機能強化したものである。オフライン・ファイルを使うことで、ネットワーク共有フォルダにある共有ファイルをローカル・ストレージにキャッシュし、ネットワークから切断された環境でも、そのキャッシュにある共有ファイルの利用が可能になるというものだ。

 さらにネットワークへ再接続した際には、自動的にそのキャッシュしていた共有ファイルをネットワーク上の共有フォルダにあるファイルと同期し、常に最新の状態に更新・維持することができる。オフライン・ファイルでは、ネットワーク接続の状態をモニタし、自動的にファイルの同期を行うため、ユーザーは共有ファイルの更新状態を気にする必要がなくなる。


オフライン・ファイルの機能
オフライン・ファイルは、共有ファイルをローカル・ストレージにキャッシュすることで、ネットワークが切断された状態でも利用可能にする機能である。ネットワークに接続されると、自動的にファイルの同期が実行される。これにより、ユーザーはネットワークの状態にかかわらずに作業が行えることになる。

 Windows Vistaでは、Home Basic/Home Premiumを除くBusiness/Enterprise/Ultimateの各エディションでオフライン・ファイルがサポートされる。なお、後述する「同期センター」は、Windows Vistaの全エディションに搭載されている。

 オフライン・ファイルを使うには、ノートPCなどからオフラインで使いたい共有フォルダのファイル/フォルダを右クリックし、ポップアップ・メニューから[常にオフラインで使用する]を選択すればよい。

Windows Vistaのオフライン・ファイルの設定方法
オフラインで利用したい共有ファイル名を右クリックし、ポップアップ・メニューから[常にオフラインで使用する]を選択する。これで、このファイルはオフライン・ファイルとして設定され、ネットワークに接続されていない環境においても閲覧や編集が可能になる。
  これを選択する。

 これでオフライン・ファイルが利用可能になり、ネットワーク接続のない外出先でも、あたかもネットワークに接続しており、共有フォルダにあるファイルがそこにあるように使えるようになる。また、外出先から戻りネットワーク接続が回復すると、オンライン状態になったことが自動的に検出され、変更されたファイルの情報が共有フォルダとの間で自動的に同期されるため、常に最新の状態でファイルが利用可能だ。なおローカルとサーバの両方で共有ファイルが更新されている場合は、サーバ側のファイルが更新されている旨の警告が表示される。ユーザーは、その警告に従って更新を止めるか、そのままファイルを更新するかの選択ができる。

2.Windows XPのオフライン・フォルダとの違い

 Windows XPで搭載されたオフライン・フォルダは、Windows 95から搭載されていたブリーフケースを完全に置き換え、モバイル環境におけるファイル同期機能を改善するものとして導入された。オフライン・フォルダは、旧来のブリーフケースが抱えていた問題からユーザーを解放し、オンライン/オフラインの状態を問わずに同じファイル・パス(ネットワーク共有パス)によるファイル・アクセスを実現した。また、ネットワーク接続状態を検出してファイルを自動的に同期する機能を持ったものであった。これによってWindows XPでのモバイル環境は大きく改善した。

 しかし、このオフライン・フォルダにも課題があった。オフライン・フォルダを利用中にオフライン状態からネットワークに接続されオンラインの状態になり、ファイルを同期しようとすると、手動でオフライン・フォルダの同期をする必要があった。また、ログオンとログオフ時にファイル同期が実行され時間がかかるなど、いくつかの制約が存在していた。

 これに対しWindows Vistaでは、自動的なネットワーク接続状態の検出や差分同期機能によって、これらの不満点が大きく改善されている。次ページから、Windows Vistaで追加された新機能について紹介しよう。


 INDEX
  Vistaの地平
  第12回 機能性/実用性がさらに強化されたオフライン・ファイル
  1.オフライン・ファイルとは
    2.オフライン・ファイルの新機能

 「 Vistaの地平 」


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