Vistaの地平
第13回 Windows Vista SP1

3.Windows Vista SP1の機能強化ポイント

デジタルアドバンテージ 打越 浩幸
2008/03/17
2008/06/06更新

Vista SP1における変更/機能強化ポイント

 Vista SP1における変更点などの一覧情報は、以下のドキュメントにまとめられている。

 以下では、主要な変更点について、いくつか取り上げてみる。

Vista SP1における修正プログラムの一覧

 Vista SP1に含まれている修正プログラムや(月例でリリースされている)セキュリティ更新プログラム一覧は、以下のページにまとめられている。

 このリストには、全部で572個の修正項目(およびそれに対するサポート技術情報へのリンク)が列挙されている(2008年3月14日現在)。このうち、549個が「Hotfix(不具合の修正プログラム)」で、23個が「Security(MS07-017といった、すでにリリース済みのセキュリティ修正プログラム)」となっている。これから分かるように、Vista SP1のほとんどはシステムの不具合を修正するための修正プログラムで構成されている。セキュリティ修正プログラムは、MS07-016〜MS08-001(Windows Vista向けのみ)が含まれている。

 またVista SP1において、すでに分かっている不具合や操作方法の変更などの情報は、サポート技術情報によってフォローされている。Vista SP1に関する最新のサポート技術情報は以下のリンクで検索していただきたい。

グループ・ポリシー管理コンソール(GPMC)の削除

 これはVista SP1のリリース・ノートに記述されていることであるが、Vista SP1をインストールすると、グループ・ポリシー管理コンソール(GPMC)がWindows Vistaシステムから削除される(Windows Vista Business、Windows Vista Enterprise、Windows Vista Ultimateの場合)。その結果、Vista SP1を実行しているコンピュータからグループ・ポリシーを編集することができなくなる。ただしこれは互換性の問題のためであり、将来Windows Server 2008がリリースされたときに、Vista SP1用のグループ・ポリシー管理コンソールが新たに用意される(ダウンロードできる)ことになっている。

【2008/06/06追記】
 Vista SP1向けのGPMCは、2008年4月下旬に、Windows Server 2008のリモート・サーバ管理ツール(RSAT)に含まれる形でリリースされた。単独では提供されていない。RSATツールの内容やインストール方法などについては、TIPS「RSATツールでWindows Server 2008をリモート管理する」を参照していただきたい。

exFATによる4Gbytes超のファイル・サポート

 FAT32ファイル・システムは、Windows 9xやUSBメモリ、メモリ・カード、外付けハードディスクなどでよく使われているFATファイル・システムの一種であるが、最大ファイル・サイズが4Gbytesまでという制約がある。FAT32では、ファイル長を表すフィールドが32bitしかないためだ。詳細についてはTIPS「ファイル・システムの制限(2G/4GBytes超のファイルに注意)」を参照していただきたい。ディスク・サイズとしては、(理論上)最大2Tbytesまでサポートされているのに(Windows OSでは、32Gbytes以上のメディアではNTFSを推奨している)、これではすぐに大きくなりがちなビデオや高精細オーディオ、データベース・ファイル、バックアップ・ファイルなどを扱うことができない。

 この問題を解決するため、Vista SP1では新しくexFAT(Extended FAT)というファイル・システムがサポートされる。これはもともとはWindows Embeddedで導入されたファイル・システムであり、NTFSよりも軽いながらも、従来のFAT32の欠点を大幅に改善したものである。最大で2の64乗(264)bytesまで可能なファイル・サイズ、64Kbytesを超える(最大32Mbytesまで)クラスタ・サイズのサポート、トランザクション処理による信頼性の向上、パフォーマンスの改善などを特徴とする。ただしVista SP1では、外部接続のドライブやメディアでしか利用できないし、従来OSとの互換性もないので(従来のOSではアクセスできない)、利用できる場面は限られるが、将来は旧OS向けにもドライバが提供される予定になっている。

exFATの使用例
これはUSB接続された6Gbytesのハードディスク・ドライブを、exFATファイル・システムでフォーマットしようとしているところ。なおformatコマンドもexFATが扱えるように拡張されている。
6Gbytesの外付けハードディスク。
exFATファイル・システムを選択する。
クラスタ・サイズを256Kbytesにして、大きなファイルに対するオーバーヘッドを減少させてみる。バックアップとか巨大な写真データなど、大きなファイルした扱わないなら、これでもよい。
これをクリックすると、ディスクがフォーマットされる。

 このディスク・ドライブ上に大きなファイルを作成してみると、次のようになる(fsutilコマンドの使い方はTIPS「巨大なサイズのファイルを簡単に作る方法」参照)。

I:\>fsutil file createnew largefile.data 5000000000 …5Gbytesのファイルの作成
ファイル I:\largefile.data が作成されました

I:\>dir …作成したファイルの確認
ドライブ I のボリューム ラベルは work6gb です
ボリューム シリアル番号は AE66-FC1B です

I:\ のディレクトリ

2008/03/04  12:27     5,000,000,000 largefile.data …巨大なファイル
               1 個のファイル       5,000,000,000 バイト
               0 個のディレクトリ   1,001,390,080 バイトの空き領域

I:\>chkdsk …ドライブのチェック
ファイル システムの種類は exFAT です。 …exFATファイル・システム
ボリューム シリアル番号は AE66-FC1B です
ファイルとフォルダを検査しています...
ボリューム ラベルは work6gb です。
ファイルとフォルダの検査を完了しました。
ファイル システムのチェックが終了しました。問題は見つかりませんでした。

   5861632 KB : 全ディスク領域
   4882944 KB : 1 個のファイル
       256 KB : 1 個のインデックス
         0 KB : 不良セクタ
       512 KB : システムで使用中
    977920 KB : 使用可能領域

    262144 バイト : アロケーション ユニット サイズ …クラスタ・サイズ
     22897 個     : 全アロケーション ユニット
      3820 個     : 利用可能アロケーション ユニット

検索エンジンの指定

 Vista SP1では、デスクトップの検索システムを変更して、他社製の検索エンジンも利用できるようになった(検索のためのAPIが用意された)。詳細については以下の情報を参照していただきたい。

検索エンジンの設定/変更
これは、[コントロール パネル]の[既定のプログラム]で表示される、検索エンジン(Windows サーチ エクスプローラ)の指定ダイアログ。他社製の検索エンジンに変更できる。
ここで検索エンジンを指定する。
デフォルトの検索エンジンの説明。
変更するにはこれをクリックする。

新しいハードウェアや標準規格のサポートの強化

 以下では、Vista SP1におけるハードウェアや標準規格サポートの強化点について、いくつか抜粋してまとめておく。

  • BitLockerによるデータ・ドライブの暗号化サポート
      BitLockerは、ドライブ上のデータを暗号化して保護する機能である。データを暗号化することにより、ドライブの内容をダンプしてデータを読み取るといった行為から保護できる。従来はシステム・ドライブしか暗号化できなかったが、Vista SP1ではD:やE:といったデータ・ドライブも暗号化できるようになった。

  • Direct3D 10.1のサポート
      グラフィックスAPIの最新版であるDirect3D 10.1に対応。

  • SSTPサポート
      SSTP(Secure Socket Tunneling Protocol)をサポート。これはSSL(HTTPS)上で動作するVPNトンネリング・プロトコルであり(HTTPS上でPPPを通す)、ほかのポートを使うVPNプロトコルよりも、ファイアウォールなどを越えて通信できる可能性が高い。

  • x64版のEFIブートのサポート
      x64版では、従来のBIOS経由のブートではなく、(先進的なシステムで広く使われている)EFIによるブートや、ネットワーク経由でのブート(インストール)に対応した。

  • デフラグ・ドライブの選択
      デフラグ・ツールでは、従来はすべてのドライブを対象にしていたが、Vista SP1ではデフラグ対象のドライブを選択できるようになった。

デフラグするドライブの選択画面
Vista SP1では、デフラグ対象のドライブを個別に指定できるようになった(Windows Vistaよりも前のOSでは可能だったのだが)。
デフラグ対象のドライブを選択できる。

信頼性/パフォーマンスの向上ポイント

 次は信頼性やパフォーマンスの向上ポイントについて見てみる。

  • ファイルのコピー処理などの効率化
      ファイル共有プロトコルの処理の見直しにより、ネットワーク経由でのコピーやアクセスのパフォーマンスを向上させている。

  • 休止/復帰処理の高速化
      システムの休止(スタンバイ)や復帰の処理を高速化している。

  • ノートPCにおける描画の効率化
      ノートPCにおいて、再描画の回数を低減することにより、バッテリによる稼働時間を向上させた。

 以上のほかにも改良/改善点があるが、それらについては前出のドキュメントや修正点の一覧などを参照していただきたい。End of Article


 INDEX
  Vistaの地平
  第13回 Windows Vista SP1
    1.Windows Vista SP1の概要
    2.Windows Vista SP1のインストール
  3.Windows Vista SP1の機能強化ポイント

更新履歴
【2008/06/06】Vista SP1向けのGPMCに関する記述を追加しました。GPMCは、Windows Server 2008向けのリモート管理ツールに含まれる形でリリースされています。

 「 Vistaの地平 」

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