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ネットワークのバインド順序を制御する方法

デジタルアドバンテージ
2000/04/18

 Windowsネットワーク環境で、ファイル共有やプリンタ共有サービスを提供したり(サーバ側)、それらのサービスを利用したりする場合(クライアント側)、SMB(Server Message Block)というネットワーク サービス プロトコルが利用されている。これはアプリケーション層レベルのプロトコルであるが、その下位のトランスポート層のプロトコルとしては、NBT(NetBIOS over TCP/IP)、NetBEUI、IPX/SPXの3つのうちのいずれかを利用することができる。ユーザーはそれぞれのネットワーク環境に応じて、適切なトランスポート層プロトコルを1つか2つ組み合わせて使うことになるだろう。Windows NTやWindows 9xを使ったネットワークではNetBEUIを使うことも多かったが、インターネットが普及するにつれ、これにNBTを組み合わせたり、もしくはNBTだけを使ったりすることが増えてきた。NetWareサーバが使われている環境では、IPX/SPXだけを使うか、IPX/SPXとNBT(およびNetBEUI)を組み合わせて使うのが一般的である。

 NetBEUIを使ったネットワークは、TCP/IPのようなIPアドレスの割り当て作業などが不要なので、小規模なネットワーク(ワークグループ ネットワーク)では有用であったが、インターネット(TCP/IPネットワーク)が普及した現在となっては、あまり必然性はないだろう。特にWindows 2000のネットワーク機能は全面的にTCP/IPをベースに設計されており(Active Directoryなど)、新規インストール時のデフォルト設定では、TCP/IPしかインストールされないようになっている。しかし、ユーザー環境によっては(例:NBTを使ったWindows NTサーバなどが稼動しているなど)、まだNetBEUIを使っているユーザーもいるだろう。またNetWareサーバを使っている環境では、TCP/IPだけに一本化するわけにはいかないかもしれない。

 このような需要もあるため、Windows 2000でも従来のWindows NTと同様に、同時に複数のトランスポート層プロトコルを組み込んで利用できるようになっている。新規イントールのデフォルトではNBT(TCP/IP)しかインストールされないが、既存のWindows環境からアップグレード インストールした場合や、Windows NTサーバやNetWareサーバなどが混在している環境では、このようなインストール方法は一般的であろう。このようにプロトコルを複数インストールする場合、それらの優先順序について注意を払っておく必要がある。というのは、優先順位によってサーバとクライアント間の接続が確立されるまでの時間や、ネットワークのトラフィックなどに影響が及ぶからだ。通常の通信では、まず最優先のプロトコルで相手先ノードの検索が行われ、それが失敗してから、別のプロトコルで検索が行われる。いったん接続が確立すれば、以後はそのプロトコルを使って通信が行われるが、その前の検索などの段階では、一致しないプロトコルでの試行は、時間の無駄でもあるし、無用なトラフィックを増やすことにもなってしまう。そのため、ネットワーク内で複数のプロトコルを利用する場合、それらのプロトコルの優先順序はなるべく一致させておくことが望ましい。

 Windows NTでは、ネットワーク プロトコルの優先順序の設定は、コントロール パネルのネットワーク アプレット中で設定することができたが、Windows 2000では[スタート]メニュー−[設定]から起動される[ネットワークとダイヤルアップ接続]という設定ウィンドウ内で行うように変更されている。

ネットワークとダイヤルアップ接続

ネットワークの接続先を簡単に切り替えたり、その設定を行ったりするためのツール。LANとダイヤルアップ接続を統合的に管理することができる。[スタート]メニューの[設定]から起動する。
  接続先ごとにそのネットワーク設定をまとめたアイコンが作成される。「ローカルエリア接続」は、いちばん最初に作られるLAN向けの設定情報のアイコン。
  複数のネットワークプロトコルを導入するためには、このアイコンを右クリックして、プロパティ メニューを起動する。→へ。
  プロトコルの優先順序を制御するにはこれを実行する。→へ。

 2つ以上のネットワーク プロトコルを導入したい場合や、逆に、(アップグレード後の)不要なプロトコルを削除してNBT(TCP/IP)だけにしたい場合は、各ネットワーク接続アイコンのプロパティを表示させて、必要なプロトコルのインストールや削除を行う。

ネットワーク接続のプロパティ

ネットワークの接続先ごとにその設定状況をすべてまとめたアイコンが1つ作成される。最初にLANを導入すると、その名前は「ローカル エリア接続」となっている。
  現在インストールされているプロトコルやサービスがここに一覧表示される。不要なプロトコルを削除したい場合は、プロトコルを1つ選択して、下の[削除]ボタンをクリックする。
  新しいプロトコルやサービスをインストールしたい場合はこれをクリックする。

 ネットワーク プロトコルの優先順序を変更するには、「ネットワークとダイヤルアップ接続」の[詳細設定]メニューから[詳細設定]を実行する。するとネットワーク アダプタとそのバインド順序を変更するダイアログ ボックスが表示され、ここでバインド(アダプタとプロトコルの「関連付け」のこと)の順序を変更することができる。Windows 2000を中心にしたネットワーク システムを構築している場合は、各サーバ、クライアントともに、NBTの優先度を最優先(一番上)にしておけばよいであろう。NetBEUIを優先的に使っている(従来からの)Windows NTネットワークなどでは、NetBEUIの方を優先させておけばよいだろう。いずれにしろ同一ネットワーク内では、こうしたプロトコルの優先順位を揃えておく方が望ましい。End of Article

ネットワーク プロトコルの優先順序の設定

使用するネットワークプロトコルを変更したり、プロトコルの優先順序を制御したりするには、このダイアログ ボックスを使う。リスト ボックスに一覧表示されたプロトコルでは、上側にあるプロトコルの方が優先される(最初に試行される)。優先順序は、ファイル/プリンタの共有/公開サービスと、クライアント サービスごとに指定することができる。
  優先順序を指定する接続形態をこの中から選択する。
  こちらは、ファイルやプリンタを公開するサービスにおける優先順序を設定する。
  各プロトコルの左側にあるチェック ボックスをオンにすると、そのプロトコルが有効になる。
  こちらは、ファイルやプリンタを利用するサービス(ネットワーク クライアント サービス)における優先順序を設定する。
  左側で選んだプロトコルを、この矢印で上下させると優先度が変わる。上側にあるほど優先度が高くなる。
 
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