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Active DirectoryのFSMO役割をほかのDCへ転送する(GUI編)

解説をスキップして操作方法を読む

デジタルアドバンテージ 打越 浩幸
2009/06/05
対象OS
Windows 2000
Windows Server 2003
Windows Server 2008
Active Directoryのドメイン・コントローラ(DC)には、FSMOと呼ばれる5つの特別な役割がある。FSMOはドメインごとにどれか1台のDC上でのみ実行される。
サーバのリプレースや障害などにより、FSMOの役割をほかのDC上に移行/転送させたいことがある。
FSMOの転送作業はGUIツールでもntdsutilでも行える。

解説

 Active Directoryにおけるドメイン・コントローラ(以下DC)では、負荷分散や障害対策のために、複数台のDCで同じデータベースを共有し、それぞれが対等に機能している。しかし「FSMO:Flexible Single Master Operation」という、特別な5種類の用途(役割)に関しては、特定の1台のDCだけが処理を担当している(その役割を担当しているDCを操作マスタと呼ぶ)。現在どのDCがFSMOの各役割を担当しているかはActive Directoryの管理ツールで調査できる(TIPS「Active DirectoryのFSMO役割を担当するサーバを調査する(コマンド・プロンプト編)」参照)。

 DCとなるサーバをリプレースしたり、障害のためにドメインから削除したりした場合は(バックアップがないなどの理由でDCとして復旧できなければ、ドメインから削除するしかない)、FSMOの役割をほかのDCのどれかに移行させなければならない(これを、FSMOの役割をほかのDCへ「転送」するという)。FSMOの役割を転送するにはGUIのツールを使う方法とコマンド・プロンプト上で作業する方法があるが、本TIPSではまずGUIのツールを使って転送する方法を紹介する。

 ただしこのGUIを使った方法では、転送先のDCから現在のFSMOに対して通信できない場合は(障害で現在のFSMOがダウンしたような場合も含む)、FSMOの役割を転送することはできない(PDCマスタとインフラストラクチャ・マスタに限っては、強制的に転送することが可能)。このようなケースでは、転送ではなく、別のDCに新しく「割り当てる」必要がある。この方法についてはTIPS「Active DirectoryのFSMO役割をほかのDCへ強制的に割り当てる」を参照していただきたい。

操作方法

 FSMOの役割の移行(転送)作業は、5つの役割について、1つずつ個別に行う必要がある。たとえ転送先がすべて同じDCであっても、1つずつ転送を行う。

スキーマ・マスタの転送

 スキーマ・マスタはActive Directoryデータベースのスキーマの変更や更新を担当する役割である。これを担当するDCを変更するには、まず変更先となるDCにログオンし、[スタート]メニューの[ファイル名を指定して実行]で「regsvr32 schmmgmt.dll」を実行する。これにより、「Active Directoryスキーマ」管理スナップインが利用できるようになる。次に[ファイル名を指定して実行]で「mmc」を実行し、MSC管理コンソールを起動する。そして[ファイル]メニューの[スナップインの追加と削除]を実行して、「Active Directory スキーマ」スナップインを追加する。

Active Directoryスキーマ管理スナップインの追加
[ファイル名を指定して実行]で「regsvr32 schmmgmt.dll」を実行後、MMC管理コンソールを起動し(「mmc」コマンドを実行する)、Active Directoryスキーマ・スナップインを追加する。
管理コンソールを起動したら、[ファイル]−[スナップインの追加と削除]を実行して、このダイアログを表示させる。
これをクリックして、スナップインを追加する。
追加するスナップインを選択するダイアログ。
これを選択して、[追加]ボタンをクリックする。
これをクリックすると管理コンソールにスナップインが追加される。
追加後はこれをクリックして閉じる。

 Active Directoryスキーマ・スナップインを追加したら、次は接続先のDCを変更する。ただしすでに転送先のDCが選択されている場合はこの操作は不要なので、スキップしてよい。現在の接続先DCは「Active Directoryスキーマ [〜〜]」の部分に表示されているはずである。接続先DCを変更するには、「Active Directoryスキーマ」の部分を右クリックして、ポップアップ・メニューから[ドメイン コントローラの変更]を選択する。

接続先DCの変更(1)
スキーマ・マスタを変更するには、まず変更先のDCへ接続する。
この項目を右クリックする。
この部分に現在接続されているDC名が表示されている。これが転送先のDCでない場合は、まず接続先のDCを変更する。
「Active Directory スキーマ」の項目を右クリックして、これを選択する。

 「ドメイン コントローラの変更」ダイアログが表示されるので、スキーマ・マスタの役割を転送したいDC名を入力する。

接続先DCの変更(2)
ここではスキーマ・マスタの役割を転送したいDCを指定する。
現在Active Directoryスキーマ・スナップインが接続しているDC名。
これを選択する。
転送したい先のDC名をここに入力して[OK]をクリックする。

 転送先のDCに接続できたら、次はActive Directoryのスキーマ・マスタの転送を行う。[Active Directoryスキーマ]を右クリックして、ポップアップ・メニューから[操作マスタ]を選択する。

Active Directoryスキーマ・マスタの転送(1)
転送先のDCに接続できたら、次は実際の転送作業を行う。
転送先DCに接続していることを確認し、右クリックする。
これを選択する。

 [操作マスタ]メニューを実行すると次のような画面が表示されるので、内容を確認後、[変更]をクリックする。

Active Directoryスキーマ・マスタの転送(2)
この画面で実際の転送作業を行う。
現在のスキーマ・マスタを担当しているDC。
スキーマ・マスタを転送したい先のDC。
これをクリックすると確認画面が表示され、許可すると、実際の転送作業が行われる。

 [変更]ボタンをクリックすると「操作マスタを変更しますか?」という確認画面が表示され、[はい]を押すと、実際の転送作業が行われる。

ドメイン名前付けマスタの転送

 ドメイン名前付けマスタは、フォレストに対するドメインの追加や削除を担当する役割を持つ。これを担当するDCを変更するには、まず変更先となるDCにログオンし、[管理ツール]の[Active Directory ドメインと信頼関係]ツールを起動する。別のDCにログオンして作業してもよいが、その場合は、最初に転送先のDCに接続しておく必要がある。ツールを起動後、[Active Directory ドメインと信頼関係]項目を右クリックして、ポップアップ・メニューから[操作マスタ]を選択する。

ドメイン名前付けマスタ・マスタの転送(1)
転送先のDCに接続後、転送作業を行う。
これを右クリックする。
転送先DCに接続しているかどうかは、これをクリックすると表示されるダイアログで確認できる。目的のDCに接続していない場合は、転送先DCを選んでおく。
これを選択すると、転送ダイアログが表示される。

 すると確認ダイアログが表示されるので、転送元と転送先DCを確認して転送する。

ドメイン名前付けマスタ・マスタの転送(2)
この画面で実際の転送作業を行う。
現在のスキーマ・マスタを担当しているDC。
スキーマ・マスタを転送したい先のDC。
これをクリックすると確認画面が表示され、許可すると、実際の転送作業が行われる。

 [変更]ボタンをクリックすると「操作マスタを変更しますか?」という確認画面が表示され、[はい]を押すと、実際の転送作業が行われる。

RIDマスタ/PDCマスタ/インフラストラクチャ・マスタの転送

 RIDマスタはユーザー・アカウントなどで使用されるSID(TIPS「オブジェクトを識別するSIDとは?」参照)の生成に使われる。PDCマスタはNTドメインのPDCの役割のエミュレーション、インフラストラクチャ・マスタはグループ・アカウントのメンバーの割り当てにそれぞれ利用される。これら3つの役割の転送作業は1つのツールで行える。

 まず変更先となるDCにログオンし、[管理ツール]の[Active Directory ドメインと信頼関係]ツールを起動する。ツールを起動後、接続先のDC名を確認する。転送先DCに接続していなければ、まず接続先DCを変更してから、[Active Directory ユーザーとコンピュータ]項目を右クリックして、ポップアップ・メニューから[操作マスタ]を選択する。

RID/PDC/インフラストラクチャ・マスタの転送(1)
転送先のDCに接続後、転送作業を行う。
転送先DCに接続していることを確認する。
転送先DCを変更するにはこれを選択して、正しいDCに接続する。
これを選択して転送作業を行う。

 すると確認ダイアログが表示されるので、転送元と転送先DCを確認して転送する。

RID/PDC/インフラストラクチャ・マスタの転送(2)
この画面で実際の転送作業を行う。このダイアログでは3つの役割を変更できる。
RIDマスタの転送。
PDCマスタの転送。
インフラストラクチャ・マスタの転送。
現在の操作マスタを担当しているDC。
操作マスタを転送したい先のDC。
これをクリックすると確認画面が表示され、許可すると、実際の転送作業が行われる。

 [変更]ボタンをクリックすると「操作マスタを変更しますか?」という確認画面が表示され、[はい]を押すと、実際の転送作業が行われる。PDCマスタやインフラストラクチャ・マスタの転送についても、タブを使って画面を切り替え、同様に行う。End of Article

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