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DHCPのスコープを分割して冗長構成にする(Windows Server 2008 R2編)

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デジタルアドバンテージ 打越 浩幸
2011/09/02
対象OS
Windows Server 2008 R2
DHCPサービスの耐障害性を向上させるには、1つのスコープを2台のDHCPサーバで補完しながら運用させるとよい。
Windows Server 2008 R2にはDHCPのスコープの分割機能がある。
スコープを分割すると、自動的にDHCPサーバの情報が別のDHCPサーバへコピーされ、さらにリースするIPアドレス範囲が両方のサーバ間で重複しないように除外範囲が設定される。

解説

 ネットワーク機器に対してIPアドレスを配布/管理するためには、現在ではDHCPサービスを利用するのが一般的である。そのため、DHCPサーバが故障すると、すべてのネットワーク・クライアントで通信ができなくなるなど、その影響は非常に大きい。DHCPサーバは通常は1つのネットワーク上に1台しか設置しないが、可能ならば2台用意して、耐障害性を向上させたいところだ。TIPS「DHCPサーバを冗長構成で運用する方法」では、DHCPのスコープを2つに分割して、2台のDHCPサーバでDHCPサービスを提供する方法を紹介した。

 Windows Server 2008 R2には、このような運用をサポートするために、DHCPサービス(「DHCP サーバー」役割)において、「スコープの分割」機能が用意されている。分割を行うと、別のDHCPサーバ上にスコープ情報をコピーし、さらに2台のDHCPサーバ上で、割り当てるIPアドレスの範囲が重複しないようにスコープの除外範囲を自動的に設定してくれる。本TIPSではこの設定方法を解説する。

 なお、このスコープの分割ができるのは、コピー元もコピー先もWindows 2008 R2のDHCPサービスのときだけである。Windows Server 2008やそれ以前のServer OSのDHCPサービスに対してスコープの分割操作を行うことはできないし、分割されたスコープのコピー先にもできない。それらのDHCPサービスを利用している場合は、手動で設定してただきたい。

  操作方法

手順1――承認された追加のDHCPサーバを用意する

 DHCPサーバでスコープの分割を行うには、すでに存在するコピー元のDHCPサーバのほかにもう1台、Active Directoryに承認されたDHCPサーバが必要である(いずれもWindows Server 2008 R2のDHCPサーバでなければならない)。Active Directoryドメインに参加しているWindows Server 2008 R2上でサーバ・マネージャを起動し、[役割の追加]で[DHCP サーバー]役割を追加すると、ウィザードの途中で「DHCP サーバーの承認」というステップがあるので、そこでドメイン管理者のアカウントを指定し、承認させておく(この段階で承認させず、後でDHCPの管理ツールでActive Directoryに承認させることもできる)。ただし、DHCPのスコープは何も定義しておく必要はない。これは次の分割の段階で自動的に作成されるからだ。もし同じ範囲のスコープがあれば分割処理がエラーになるので、必要なら手動で削除しておくこと。

手順2――コピー元のDHCPサーバでスコープを分割する

 コピー先のDHCPサーバの準備ができたら、次は元のDHCPサーバをDHCP管理ツールで開き、スコープ情報を右クリックする(念のために、作業前にスコープを「非アクティブ」状態にしておいてもよいだろう)。そしてポップアップ・メニューから[分割スコープ]を実行する。

スコープの分割
アドレス・プールの内容を2台のDHCPサーバに分割して割り当て、冗長性を向上させることができる。
冗長性を向上させたい、コピー元のDHCPサーバをDHCP管理ツールで開く。
スコープを分割できるのはIPv4に限られる。
分割したいスコープの情報。念のために、作業前に非アクティブ化しておくとよい。これを右クリックする。
ポップアップ・メニューから[詳細設定]−[分割スコープ]を選択する。Windows Server 2008 R2より前のDHCPサーバでもこのメニューは表示されるが、実行するとエラーになる。

 すると「DHCP 分割スコープ構成ウィザード」が起動するので、[次へ]を押して先へ進む。最初の画面では、分割したスコープを格納する追加のDHCPサーバを指定する。すでに同一のスコープが含まれるDHCPサーバやWindows Server 2008 R2よりも古いOSのDHCPサーバを指定するとエラーとなる。

追加のDHCPサーバの指定
Active Directoryに承認された、追加のDHCPサーバを指定する。
ここに追加のDHCPサーバ名を指定する。
これをクリックすると、承認されたDHCPサーバの一覧から選ぶことができる。
元のDHCPサーバ。
元のDHCPサーバのIPアドレス。

 次の画面がメインの設定画面である。スコープに割り当てられているIPアドレスのうち、どのような割合で2台のDHCPサーバに割り当てるかを設定する。デフォルトでは8:2の比率で元のDHCPサーバと、新しいDHCPサーバに分配するようになっている。基本的には、元のDHCPサーバがメインであり、それが利用できないような非常時には新しいDHCPサーバから割り当てる、という運用が想定されている。だから、メインのDHCPサーバ側の方に多く割り当てている(メインのDHCPサーバが故障した場合は、速やかに復旧することが求められている)。つまり、2台のDHCPサーバは負荷分散ではなく、冗長性の確保のために使うことが想定されている。

分割の割合の設定
1つのスコープを2つに分けて2台のDHCPサーバで分散して運用する。デフォルトでは8:2の比率でIPアドレスのプールを分割する。分割といっても、実際には、同じIPアドレス・プールを定義しておき、除外する範囲を変更して、擬似的にスコープを分割している。
スコープの先頭のリースIPアドレス。
スコープの末尾のリースIPアドレス。
%表示。実際には200個のIPアドレスがある。
スライダ。これを左右に移動させて割合を設定する。デフォルトでは80%の位置にセットされている。
ホスト側(元のDHCPサーバ)の割合(%)。スライダを移動させると数値が変わる。
追加するDHCPサーバ側の割合。
ホスト側で、除外するIPアドレスの先頭。
追加側で、除外するIPアドレスの先頭。
ホスト側で、除外するIPアドレスの末尾。
追加側で、除外するIPアドレスの末尾。

 次の画面では遅延時間を設定する。これはDHCPクライアントからのDHCP要求に対する応答をすぐに返さず、ここに指定した遅延時間(単位はミリ秒)待つことによって、どちらかのDHCPサーバを優先して利用させるための設定である。ここで設定した値は、スコープのプロパティ画面にある[詳細設定]タブで確認できる(このスコープごとの遅延時間設定は、Windows Server 2008 R2のDHCPにおける拡張機能)。

 メインとなるDHCPサーバでは0ミリ秒、追加するDHCPサーバでは、例えば500ミリ秒から1000ミリ秒(=1秒)程度に設定することにより、ほとんどの場合はメインのDHCPサーバが優先して使われるようになる。このため、追加するDHCPサーバにおけるIPプールの個数は、メインのDHCPサーバよりも少なくしておくことができる。

 どちらも同じ時間(例えば0ミリ秒)にすると、どちらのDHCPサーバも同じ程度に使われることになるので、プールしておくIPアドレスの個数もほぼ同じになるように設定しておく必要がある(リースするIPアドレスが枯渇すると、もう一方のDHCPサーバが使われるが、これではあまり冗長性の向上にはならない)。

遅延時間の設定
補助的な役割のDHCPサーバでは、DHCP OFFER(DHCP要求に対する応答)を返す時間をメインのDHCPサーバよりも長くしておく。DHCPのスコープのプロパティ画面では、「サブネット遅延」時間と表記されている。
メインのDHCPサーバにおける応答時間。デフォルトは0ミリ秒。
追加するDHCPサーバにおける応答時間。デフォルトは0ミリ秒だが、500とか1000など、少し長めにしておくこと。

 以上で設定は終わりである。ウィザードを進めて完了させると、追加のDHCPサーバへのスコープ情報の作成とコピー、除外するIPアドレスの範囲の設定などが行われる。また除外範囲にリース済みのIPアドレスが含まれていた場合は、サーバ側ではすでに解放された状態になる。

分割結果の確認

 分割後のスコープ情報は次のようになる。まずは元のDHCPサーバの方である。

元のDHCPサーバにおけるスコープ情報
元のDHCPサーバでは、スコープ情報はそのままで、除外するIPアドレスの範囲が追加されている。
アドレス・プールの内容を確認してみる。
これが追加された除外情報。元の範囲のうち、末尾の20%(40個分)が除外され、先頭の80%(160個分)のみが有効となっている。
元のスコープの範囲。全部で200個のIPアドレスが含まれていた。

 次は、追加されたDHCPサーバ側の状態である。新しくスコープ情報が定義されているが、まだアクティブにはなっていないので、手動でアクティブにすること。

追加されたDHCPサーバにおけるスコープ情報
追加されたDHCPサーバでは、元のDHCPサーバで除外されたIPアドレスの範囲が使われるようになっている。
追加されたDHCPサーバ。スコープのオプションやサーバのオプションなどは元のDHCPサーバからコピーされている。
スコープが新しく作成されている。すでに存在していた場合は分割のウィザードでエラーとなり、上書きされることはない。もう一度実行したければ、このスコープ情報を手動で削除してから行うこと。
アドレス・プールの内容を確認してみる。
先の例とは逆に、IPアドレス範囲の先頭の80%が除外されている。利用可能なのは末尾の20%(40個)だけである。
元のスコープのアドレス範囲。

 なおこの分割機能では、分割を実行した時点でのデータがコピーされるだけで、2台のDHCPサーバが動的に連携しながら動作するわけではない。例えばどちらかのDHCPサーバ上でIPアドレスの除外範囲を変更したり、オプションの設定を変更したりしても、もう1台のDHCPサーバへ反映されることはない。分割範囲(除外する範囲)を最初に静的に設定するだけである。

 また、すでに同じスコープが定義されているDHCPサーバへ分割/コピーさせることもできないので、再設定したい場合は、コピー先のスコープをすべて削除してから再設定すること。End of Article

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