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FAT→NTFSにファイル・システムを変換する

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デジタルアドバンテージ
2003/10/18
 
対象OS
Windows 2000
Windows XP
Windows Server 2003
Windows NT系列のOSでは、アクセス制御機能を強化したNTFSファイル・システムを利用可能である。
しかし古いコンピュータでは、従来ソフトウェアとの互換性のために、わざとFATボリュームが使われている場合がある。
このような場合には、convertコマンドを使って、既存のファイルをそのままNTFSボリュームに変換することができる。
 
解説

 FATファイル・システムは、MS-DOSにおけるファイル管理方式として広く普及したものだ。Windows 9x系列のWindows(Windows 95/Windows 98 SE/Windows Me)までは、ファイル・システムとしてこのFATのみが利用可能であった(MS-DOSの時代に開発されたFATから比べると、大容量ディスクへの対応やロング・ファイル名への対応など加えられているが、基本的な構成は変わらない)。

 これに対しWindows NTでは、FATに代わる新しいファイル・システムとしてNTFSが開発された。個人利用を前提として設計されたFATに比較し、NTFSでは、よりミッション・クリティカルな用途にも耐えるように、セキュリティの強化や信頼性の向上などを目的とした数々の新機能が追加されている。

 特に重要なのはアクセス制御機能である。FATファイル・システムは、集中管理を前提とする企業用途に耐えるアクセス制御機能を持っていない。これに対しNTFSでは、完全な強制力を持ったファイル・アクセス制御機能が提供されており、ドメインなどを単位として、ファイル・アクセスを中央で集中的に管理することができる。

 NTFSは、Windows NT、Windows 2000、Windows XP、Windows Server 2003で利用可能である。これらのOSを搭載した業務用途のコンピュータなら、特別な理由がないかぎり、通常はNTFSファイル・システムを利用すべきだ(必要なら、これらのOSでFATボリュームを利用することは可能)。

 しかしWindows NTやWindows 2000などをプリインストールした以前のコンピュータでは、Windows 9x対応アプリケーションとの互換性を重視して、意図的にFATボリュームを使用したものがあった。こうしたコンピュータを導入した企業では、FATボリュームのまま使い続けているというケースもある。

 このような場合でも、NTFSが利用可能なOSなら、ディスクの再フォーマットなどを実行しなくても、「convert」コマンドを利用することで、現在FATボリュームに存在するファイルをそのままにして、NTFSボリュームに変換することができる。

変換前の注意

 既存のFATボリューム(FAT16またはFAT32ボリューム)をNTFSボリュームに変換するには、コマンド・プロンプトを開き、convert.exeを実行すればよい。ただしボリュームの変換にあたっては、次の点に注意する必要がある。

■FATに戻すコマンドはない
 いったんNTFSボリュームに変換した後で、FATに戻したいと思っても、そのようなコマンドは存在しない。現在利用されているアプリケーションの多くはNTFSで問題なく使えると思われるが、FATファイル・システムの構造に依存するようなプログラムはNTFSでは実行できなくなってしまう。FATボリュームに戻すときには、ディスクを再フォーマットしなければならない。

■ボリュームに一定の空き領域が必要
 convertコマンドでボリュームを変換するには、一定の作業領域がボリュームに必要になる。空き領域が不足している場合には、作業は実行できない。

■Windows NT 4.0では、アクセスが一部制限される場合がある
 Service Pack 4(SP4)以降を適用したWindows NT 4.0ならNTFSボリューム上のファイルにアクセスできる。ただし、NTFS 5.0(Windows 2000に搭載)など、NTFSの最新機能を使用して格納されたファイルに対しては、アクセスが一部制限される場合がある。

■パフォーマンスの低下を招く場合がある
 NTFSでは、MFT(Master File Table)という、一種のルートとなるインデックス領域が必要になる。このMFTがフラグメント(断片化)を起こしていると、NTFSのパフォーマンスを最大限に発揮することができない(詳細は別稿の「NTFSではフラグメントは発生しにくい?―NTFS基礎のキソ」参照)。最初からNTFSとして作成されたボリュームならばMFTがフラグメントを起こす心配はないが、FAT32から変換したボリュームでは、場合によっては(空き領域が少ないと)フラグメントを起こす可能性がある。これによりファイル・アクセス性能が低下する可能性がある。

 なおWindows XP/Windows Server 2003に付属のconvertコマンドでは、MFTに割り当てるための領域をあらかじめユーザーが用意しておけるようになった(「/CvtArea」オプション)。詳細については別稿「特集:Windows XPとは何か? ファイル・システム関連の強化点」を参照されたい。

■重要なファイルのバックアップ
 ファイル・システムの変更はかなり重大な処理なので、万一に備えて重要なファイルのバックアップをとっておいた方がよいだろう。


操作方法

 convertコマンドを実行するには、コマンド・プロンプトで次のようにコマンドを実行する。

convert ドライブ文字: /fs:ntfs

 ここで、「ドライブ文字」には変換したいドライブ文字を指定する。例えば変換するドライブがE:ドライブなら次のようにする。

convert e: /fs:ntfs

 変換が完了すると、「変換は完了しました」というメッセージが表示される。

■使用中のファイルが存在する場合
 変換しようとしているボリューム中に、別のアプリケーションで使用中のファイルがあったり、ネットワーク経由で使用中のファイルがあったりすると、次のようなメッセージが表示される。

ボリュームが別のプロセスによって使用されているため、変換を実行できません。このボリュームのマウントを解除すると、変換が実行できる可能性があります。この場合、このボリュームへ開かれたハンドルはすべて無効になります。このボリュームのマウントを強制的に解除しますか?(Y/N)

 この場合には、別のアプリケーションで使用中のファイルを閉じてから、convertコマンドに戻って「y」と入力する。ファイルに排他的なアクセスが可能になっていれば、変換処理が続行される。

■システム・ボリュームを変換する場合
 システム・ボリュームなど、使用中のファイルが存在するボリュームに対してconvertコマンドを実行した場合には、次のエラー・メッセージが表示される。

CONVERTで「ドライブ文字」ドライブへの排他的アクセスを実行できないため、現時点では変換できません。次回のシステム再起動時にドライブの変換をスケジュールしますか(Y/N)?

 この場合には「y」を指定すれば、次にコンピュータが起動したときに(Windowsシステムが起動する直前に)convertコマンドが実行されるようになる。End of Article

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