| [Network] | ||||||||||||
Wake On LANでコンピュータを起動する
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| 解説 |
リモート・デスクトップでログオンしたいコンピュータや自動更新を有効にしていて[更新をインストールしてシャットダウン]を実行してしまったコンピュータなど、さまざまな要因で意図せず電源オフになってしまい、困ることがある。
手元で操作しているコンピュータであればすぐに電源ボタンを押せばよいが、遠隔地やサーバ・ファームの中など、自由にアクセスできない場所にコンピュータを設置している場合には、リモートで電源を投入できれば便利である。
ネットワークがつながっていれば、このような場合にはWake On LAN機能(以下WOL)を使ってリモートで電源投入できる可能性がある。ただし、WOLはハードウェアやOSなどのさまざまな条件が揃っていないとうまく機能しない。だが、現在では多くのコンピュータがWOLに対応しているので、仕組みを理解して簡単な設定を行えば利用できることが多い。本稿ではWOLと呼ぶが、メーカーによっては(インテルなど)WOLではなくリモート・ウェイクアップと呼ぶこともある。
WOLの仕様
WOLは、LAN経由でコンピュータの電源を投入するための機能である。当初はサポートするハードウェアが少なかったり、ハードウェア構成によってはうまく動作しなかったりしたが、現在では発表当初とは状況が異なり、多くのコンピュータがWOLに対応している。
WOLの動作の仕組みは、次のようなものだ。WOL対象となるコンピュータ(ネットワーク・アダプタ)に対して特殊なパケットを送出する。すると、WOL対象コンピュータのネットワーク・アダプタがパケットを受け取り、電源投入する。WOLのパケットにはいくつかの方式があるが、一般的なMagic Packet方式では、IPヘッダに続いて、0xffffffffffff(6bytes)と、WOL対象コンピュータのネットワーク・アダプタのMACアドレス(6bytes)が16回連続する102bytesのデータを持つUDPデータグラムとなっており、宛先のUDPポートは任意である。
WOLに対応するための主な条件は以下のとおりである。
- 電源やマザーボード、OSがACPI機能に対応している(ACPI 2.0x仕様)
- PCIバスからの電源投入にチップセットやバスが対応している(PCI 2.2仕様)
- ネットワーク・アダプタがMagic Packetを解釈できる
ACPIのパワー・ステートと対応OS
電源やマザーボードなどのパーツ類が、電源に関する仕様であるAdvanced Configuration and Power Interface(ACPI)2.0に対応していることが、WOL利用における実用上の条件のひとつである。
| 電源レベル | 内容 |
| S0 | 完全な電源オン |
| S1 | スリープ状態。CPUクロックが停止し、CPUおよびRAMの電源がオン、リフレッシュ動作を行っている |
| S2 | スリープ状態。CPUクロックが停止し電源もオフ。RAMの電源はオンで、リフレッシュ動作を行っている |
| S3 | Suspend to RAMであるスタンバイ状態。RAM以外のほとんどのハードウェア・コンポーネントは電源オフ |
| S4 | Suspend to Diskであるハイバネーション状態。メモリの内容はHDDに保存される |
| S5 | 完全な電源オフ。ただし、マザーボードを経由してデバイスへの給電は行われている |
| ACPIのパワー・ステート | |
Windows 98/Me、Windows 2000/XP/Server 2003は、ACPIをサポートしている。これらのうち、Windows 2000/XP/Server 2003は、WOLでS1〜S4からS0(電源オン)に移行する機能をサポートしている。ただし、Windows OSレベルでは対応していなくても、一部ハードウェアではS5からS0(電源オン)への移行をサポートするものもある。
特殊な例と例外
ACPIパワー・ステートとWindows OSのサポート状況は上述したが、ネットワーク・アダプタの実装により、現在ではS5の状態からWOLで電源投入が可能なネットワーク・アダプタが大半である。ただしハードウェアがWOLに対応していても、一部マザーボードでは特定のPCIスロット以外ではS5パワー・ステートからのWOLに対応していないこともある。例えばインテル製マザーボード「D815EPEA2」では、2番のPCIスロットにWOL対応ネットワーク・アダプタをインストールする必要がある(S3からS0への移行はどのPCIスロットでも可能)。現在販売されているほとんどのコンピュータが採用しているオンボード用のネットワーク・チップ、統合チップセット、i82559以上のチップを搭載したインテル製のネットワーク・アダプタなどは、S5からのWOLもほぼ可能と考えてよい。
古いネットワーク・アダプタとマザーボードの組み合わせでは、WOLを利用するためには3ピンの専用ケーブルで結線する必要があったりするが、本稿では、現在標準的に使用されている、統合チップセットのネットワーク・アダプタを利用するコンピュータを対象とする。ただし、独自方式でリモート起動するためのファームウェアやハードウェア・コンポーネントを持っているサーバもある。あるいは最新のマザーボードとBIOSが特殊な方法でリモート起動をサポートしていることもある。このような、ハードウェア由来の特殊な状況については本稿では扱わないので、ハードウェアに付属するマニュアルを調べてほしい。
| 操作方法 |
まず、Wake On LANのUDPデータグラムを送出するためのツールを入手しよう。現在はメニューが消えてしまったが、AMDが提供している「Magic Packet Utility」がAMDのサイトから入手できるので、本稿ではこのツールを使用することにする。
ダウンロードしたファイルは自己解凍形式の実行ファイルなので、任意のフォルダに伸張する。伸張してできたファイルのうち、MAGPAC.EXEがMagic Packet Utilityの実行ファイルである。このツールは、Magic Packetを特定のネットワーク・セグメントにブロードキャストするツールなので、あらかじめWOL対象のコンピュータに到達するブロードキャスト・アドレスを調べておくとよいだろう。ここでは、WOL対象のコンピュータが次のようなアダプタ設定になっているとする。
| 項目 | 設定値 |
| IPアドレス | 192.168.0.117 |
| サブネットマスク | 255.255.255.0 |
| MACアドレス | 00 11 D8 E5 DD 9D |
| WOL対象コンピュータのアダプタ構成 | |
| これらの情報から算出できるブロードキャスト・アドレスは、「192.168.0.255」である。 | |
もし入手できない場合には、フリーでMagic Packetを送出できるツールや、ヤマハ製ルータの上位モデルなどではMagic Packetを送出するコマンドを持つものがあるので、そちらを利用してもよいだろう。
ツールを入手したら、Windows OSの設定、BIOS設定の確認を行う。アダプタのドライバ、BIOSによる用語などの若干の違いについては、製品に付属するマニュアルなどを参照してほしい。
Windows 2000の場合
まず、WOLのUDPデータグラムを受け取れるよう、ネットワーク・アダプタを構成する必要がある。ここでは、Broadcom製ネットワーク・チップ「NetXtreme」のギガビット・イーサネット対応モデルを例として扱う。
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| ネットワーク・アダプタのプロパティを開く | ||||||
| [コンピュータの管理]−[デバイス マネージャ]を起動し、[ネットワーク アダプタ]の項目から、WOLに利用するアダプタを選択し、[プロパティ]を開く。 | ||||||
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ネットワーク・アダプタのプロパティが開いたら、Wake On LANに関する項目を[詳細設定]から設定する。
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| [詳細設定]のプロパティから、WOLに関する設定を行う。 | |||||||||
| Broadcom製ネットワーク・チップ「NetXtreme」のギガビット・イーサネット対応モデルのドライバでは、詳細設定はこのような構成になっている。詳細設定で構成できる項目については、ネットワーク・アダプタのチップやドライバのバージョンに依存する。ドライバをバージョンアップすることで項目が変化する場合もある。 | |||||||||
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ハードウェアの構成によっては、[電源の管理]タブで[このデバイスで、コンピュータのスタンバイ状態を解除できるようにする]を有効に設定する必要がある。ここまで設定できたら、コンピュータを再起動して、BIOS設定を行う。
Windows XP/Server 2003の場合
WOLのUDPデータグラムを受け取るためには、ネットワーク・アダプタを構成する必要がある。ここでは、ネットワーク機能を統合したi865Gチップセット上の「PRO/100 VE」を例として扱う。まず、デバイス・マネージャからネットワーク・アダプタのプロパティを開き、Magic PacketによるWOLを有効に設定する。
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| ネットワーク・アダプタのプロパティを開く | ||||||
| [コンピュータの管理]から[デバイス マネージャ]を起動し、[ネットワーク アダプタ]の項目から、WOLに利用するアダプタを選択し、[プロパティ]を開く。 | ||||||
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ネットワーク・アダプタのプロパティが開いたら、Wake On LANに関する項目を[詳細設定]から設定する。
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| [詳細設定]のプロパティから、WOLに関する設定を行う。 | |||||||||
| インテル製i865Gチップセットの「PRO/100 VE」のドライバでは、詳細設定はこのような構成になっている。詳細設定で構成できる項目については、ネットワーク・アダプタのチップやドライバのバージョンに依存する。ドライバをバージョンアップすることで項目が変化する場合もある。 | |||||||||
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次に、i865Gチップセット上の「PRO/100 VE」の場合は、PMEについての設定項目があるので、念のため、設定しておく。PMEとはPower Management Eventのことで、PCI 2.2に準拠したデバイスからの起動信号をPCIバス経由で受け取れるようにする機能である。ここでは、PRO/100 VEがMagic PacketをLANケーブルから受け取り、PCIバス経由でシステムに対して起動するよう要求できるようになる(システム構成によってはPMEの設定は不要となることもある)。
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| PMEを設定する | ||||||
| PME(Power Management Event)の設定を行う。PMEを有効にすると、PCI 2.2に準拠したデバイスからの起動要求をPCIバス経由でシステムに送れるようになる。 | ||||||
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ハードウェア構成よっては、[電源の管理]タブで[このデバイスで、コンピュータのスタンバイ状態を解除できるようにする]を有効に設定する必要がある。ここまで設定できたら、コンピュータを再起動してBIOSの設定を行う。
BIOS設定
BIOSでは、おおむねPCIを設定する項目でWOLに関する設定を行える。ただし、BIOSの設定によりコンピュータが起動しないといった事故を起こすことがある。以下の状況を考慮すると、すべてのシステムに共通したBIOS設定の解説は難しい。そこで、設定項目のうちチェックすべき項目を、個条書きで整理するにとどめる。
- BIOSには多くの種類があること
- コンピュータのハードウェア構成によりカスタマイズされたBIOSが搭載されていること
- メーカー製コンピュータのBIOSは設定項目がカスタムである場合が多いこと
設定項目のうち、以下のような項目をチェックし、以下の項目が有効に機能するよう適切に「Enable」に設定してほしい。設定が完了したら、BIOSの設定をCMOSに書き込むメニュー(「Save Changes & Exit」など)を選択して、コンピュータを再起動する。
| 設定内容 | 表示名 |
| Wake On LAN | WOL、Wake On LAN、Remote Wakeupなど |
| Power Management Event | PME、PCI Boot Device、APM Configuration、Power On by PCI Device、Power On By PCIE Deviceなど |
| BIOSで設定すべき項目例 | |
Magic Packetの送出
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ドライバの設定とBIOSの設定が完了したら、Magic Packetを送出してWOLを行う前に、WOLを行いたいコンピュータのMACアドレスを調べておく。MACアドレスを調べるには、ipconfigコマンドやgetmacコマンドを利用するとよいだろう。具体的な操作については、関連記事を参考にしていただきたい。
最初に入手して展開しておいたMagic Packet Utilityを起動する。このツールは、1台のコンピュータのリモート起動だけでなく、複数台のコンピュータを対象にリモートでの定時起動を行う機能も持っている。ここでは、1台のコンピュータを起動する方法を解説する。複数台のコンピュータに対するリモート起動については、インストール時に伸張された「Magic Packet Utility User Documentation Version 1.0」(MPUSER.DOC)を参考にしてほしい。
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| Magic Packet Utilityを起動する | ||||||
| AMDのサイトから入手した自己解凍形式のインストーラで伸張したファイル「MAGPAC.EXE」を起動する。 | ||||||
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1台のコンピュータに対してWOLを行う場合は、次のダイアログが表示される。
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| 1台のコンピュータにMagic Packetを送出する | |||||||||
| 先ほど調べておいたブロードキャスト・アドレスやMACアドレスを指定して、Magic Packetを送出する。 | |||||||||
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これで、スリープやスタンバイ、電源停止といった状態のコンピュータが起動するはずだ。一部ネットワーク・アダプタではMagic Packetでの起動ではなく、ARPやpingに反応するタイプも存在する(Realtek製RTL8169を採用しているアダプタなど)。解説で述べたような条件をクリアしていない場合には、WOLに失敗することもある。条件をクリアしていても、いわゆる相性などにより必ずしもうまくいかないこともある。WOLはコンピュータのさまざまなコンポーネントにわたる設定が必要な機能なので、実際に運用する前には必ず事前にテストしておいてほしい。![]()
| 関連記事(Windows Server Insider) | ||
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| 「Windows TIPS」 |
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