XML関連仕様の動向を毎月お届け!
W3C/XML Watch - 7月版

「XMLBase、XML Linkが勧告に」

加山恵美
2001/7/12

 XMLとその関連仕様などを制定しているW3CのWebサイトには、さまざまな仕様が提案され、変更され、そして勧告へと前進していく様子が報告されています。しかもその種類は非常に多く、動きも活発で、XML関連の技術だけでもその流れを追っていくのは一大事です。そこで、今月からこのコラムでは、W3Cが発表するXML関連の情報をまとめてお送りする予定です。

W3Cって何?

XMLの総本山、W3Cのホームページ
http://www.w3c.org

 今月は何はともあれ、まずW3Cについて紹介しておきましょう。W3Cは、World Wide Web Consortiumの略で、日本では「ダブリュさんシー」「ダブリュスリーシー」などと呼ばれています。World Wide Web(以下WWW)で扱われるさまざまな仕様、例えばHTML、HTTPはもちろん、XML、MathML、XMILなどの仕様を制定する組織です。

 インターネット上の標準を定める組織としては、W3C以外にもIETF(The Internet Engineering Task Force)があります。こちらは主にTCP/IPなどインターネットそのもののインフラとなる規定を中心に扱っており、RFC(Request for Comments)という一連の文書を発行しています。W3Cはそのインフラの上で利用されるWWWに関連する規定を中心に扱うというように、大まかな役割分担ができています。

 W3Cの運営は、米国MIT(マサチューセッツ工科大学)、フランスのINRIA(国立情報処理自動化研究所)、日本の慶應義塾大学などが中心になっているほか、米国、日本などの大手コンピュータメーカーも会員として参加しており、企業組織の枠を超えた標準化活動の場となっています。

今月の勧告 XML Base、XLink

 さて、この1カ月で勧告化されたXML関連の仕様には、6月27日勧告のXML BaseXML Linking Language (XLink) Version 1.0があります。それぞれ、XLinkはXML文書から内部、外部の区別内拡張リンクを指定します。XML Baseは相対リンクを実現するときに基底となるURIを指定するためのものです。これらはHTMLでいうハイパーリンクに近い機能で、さらに強化された機能だと考えればいいでしょう。日本語のリリースには、これらの簡単な説明が載っています。

 これで晴れて、XML文書から外部へ飛び立つ情報を記述する技術が勧告になったことになります。リンク関係で残るのは、まだ勧告になっていないXPointerです。これはXML文書内へのリンクのための仕様。現時点ではドラフトの状態ですが、ラストコールは過ぎているので問題なく進めばもう少しで勧告候補へとステータスが進むでしょう。

今月のドラフト DOM3関連、暗号化・復号化など

 ドラフト類では、DOM3に関してDocument Object Model (DOM) Level 3 Core Specificationのドラフトが6月5日に改訂され、新たにDocument Object Model (DOM) Level 3 XPath Specificationが追加になりました。また、XForm 1.0のワーキングドラフトが6月8日に発表されています。

 新たなドラフトとして、XMLに関する暗号化・復号化がセットとなって発行されています。XML Encryption Syntax and ProcessingDecryption Transform for XML Signatureです。

 また注目すべきところでは、6月11日にXML Query Working Groupが5つのワーキングドラフトを同時に公開しています。いずれもXML Query Languageに関するもので、XQuery 1.0: An XML Query Languageと、それに関連する XML Syntax for XQuery 1.0(X Query X)XML Query Use Cases。さらにXML Query Algebraの新仕様であるXQuery 1.0 Formal Semantics 、いままでのXML Query Data Modelに代わるXQuery 1.0 and XPath 2.0 Data Modelなどです。XQueryは、XMLデータを検索するための問い合わせ言語であり、リレーショナルデータベースのSQLのように、実用化されればその用途は多方面にわたるでしょう。

 そのほかにも、User AccessibilityのガイドラインUser Agent Accessibility Guidelines 1.0などが数点発行されています。これは障害者の方々でも不自由なく参照できるためのコンテンツ作りのためのドキュメントです。こうしたAccessibilityは日本ではあまり重要視されていないように見えるのですがが、海外では重要な項目となっているようです。近年Webのデザインは鮮やかなグラフィックス化に進みがちですが、テキスト情報のみに頼ってページを閲覧している人たちの存在も忘れてはならないでしょう。

 ではまた来月。


バックナンバー

2001年
 ・ 7月版 「XMLBase、XML Linkが勧告に」
 ・ 8月版 「リファレンスブラウザAmaya 5.1が登場したけれど」
 ・ 9月版 「MITが停電! そしてマルチメディア言語SMIL」
 ・ 10月版 「XMLの改定仕様はブルーベリー」
 ・ 11月版 「W3C Dayが待ち遠しい」
 ・ 12月版 「慶應大学で次世代Webに触れる」
2002年
 ・ 1月版 「XML 1.1、XSLT 2.0のドラフトついに登場!」
 ・ 2月版 「Webサービスアクティビティが発足」
 ・ 3月版 「XMLが4歳の誕生日を迎えました」
 ・ 4月版 「XMLを作った人たちが殿堂入りの栄誉!」
 ・ 5月版 「P3Pが勧告、そして怒とうの文書公開」
 ・ 6月版 「XML文書の正規化新仕様と、W3Cインタロップツアー」
 ・ 7月版 「SOAP 1.2のドラフトが発表」
 ・ 8月版 「4つのXPointerのドラフト、WSDL 1.2も登場」
 ・ 9月版 「ロゼッタネットとUCCが合併、XMLマスターに上級資格」
 ・ 10月版 「具体的な技術論へ移るセマンティックWeb」
 ・ 11月版 「XML 1.1が勧告候補、特許問題はついに決着か」
 ・ 12月版 「DOM2関連がもうすぐ完結、Webアーキテクチャも登場」
2003年
 ・ 1月版 「この1年でW3C勧告になったのは7つの仕様」
 ・ 2月版 「Webサービスの『振り付けグループ』が発足」
 ・ 3月版 「旅行業界がXML化へ、MSからは『InfoPath』が登場」
 ・ 4月版 「混迷の続くXPointerはついに落着?」
 ・ 5月版 「Webサービスの実験成功。WS-Iからは互換性ツール」
 ・ 6月版 「あいまいな部分を排除したSOAP 1.2、PNGはISO標準へ」
 ・ 7月版 「MITのW3Cオフィスはもうすぐ引っ越し、国連がebXMLを承認」
 ・ 8月版 「Webサービスが日本のAmazonからも利用可能に」
 ・ 9月版 「IEの特許侵害判決でW3Cが緊急会合」
 ・ 10月版 「IEの特許侵害判決がWebに与える影響は?」
 ・ 11月版 「IE特許問題で、W3Cが米国特許庁へ再審査を請求」
 ・ 12月版 「OfficeのXMLスキーマ公開、XML 1.1は勧告間近」
2004年
 ・ 1月版 「セマンティックWebに向けた動きが活発に」
 ・ 2月版 「日本人による標準技術発信が進むOASIS」
 ・ 3月版 「ついにXML 1.1が勧告へ、影響を受けるのは?」
 ・ 4月版 「XML Schema、3年ぶりの改訂が迫る」
 ・ 5月版 「Webサービス・セキュリティ v1.0、待望のOASIS標準に」
 ・ 6月版 「TravelXMLのWebサービス実証実験デモが成功」
 ・ 8月版 「SOAPメッセージ最適化をめぐる仕様が活発化」
 ・ 10月版 「W3Cの設立10周年を祝う記念祝賀イベント開催」
 ・ 12月版 「年の瀬に、WebとW3Cの功績に思いを馳せる」
2005年
 ・ 2月版 「XMLマスター資格試験が6月にリニューアル」
 ・ 4月版 「WS-Security 2004の日本語訳をXMLコンソーシアムが公開」
 ・ 6月版 「“愛・地球博”でビュンビュンWebサービス」
 ・ 8月版 「XMLキー管理仕様(XKMS 2.0)が勧告に昇格」
 ・ 10月版 「QAフレームワーク:仕様ガイドラインが勧告に昇格」

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