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ビジネスモデルからシステムを見いだす：実践！ UMLビジネスモデリング（6）（1/3 ページ）

To beビジネスモデルの定義が完了したら、これを基にビジネスモデルのシステム化を検討する。その際、具体的にどのようにしてシステムの機能や範囲を決定すればよいのか？前回までと同様、具体的なシナリオを用いて解説する。

» 2007年10月22日 12時00分公開

[内田功志，システムビューロ]

To beビジネスモデルを基にシステム化を検討

　前回までで、To beなビジネスモデルの定義が完了しました。今回はそれを基に、ビジネスにとって有効なシステムの機能・範囲について検討していきます。

　今回もいままでと同様に、洋菓子店のビジネスモデルを例に取って有効なシステムを見つけていきます（ただし、ここでは大まかな手順しか紹介できませんので、詳細な手法を知りたい方は下記書籍を参照してください）。

参考書籍
「戦略マップによるビジネスモデリング」内田功志、羽生田栄一＝著／翔泳社／2007年）

ビジネスユースケース「計画を立てる」のシステム化

　前回行ったAs isモデルからTo beモデルへの洗練で、「計画」に関する概念を導入しました。まずは、そのあたりを中心にシステム化を検討してみましょう。

　下図は、前回も紹介したビジネスユースケース「計画を立てる」のビジネス分析シーケンス図です。

図1　ビジネス分析シーケンス図：計画を立てる（クリック >> 拡大）

　お気付きの方もいらっしゃるかもしれませんが、前回掲載したものに若干の修正を加えています。実際に両者を見比べていただければお分かりになると思いますが、製造計画に含まれる洋菓子のレシピを参照して、使用される材料の量を計算して在庫を確認する処理を追加しました。さらに、販売状況のチェックや製造状況のチェックなどにも若干変更を加えました。

　では、この「計画を立てる」のシステム化を検討していきます。この洋菓子店のケースでは、販売および製造の予測と実績のチェックや状況の確認ができて、さらに計画を作成できるようなシステムが望まれるでしょう。また、仕入れに関してもある程度サポートできれば作業効率が向上するでしょう。

　そこで、「計画」に関係するシステムを「計画管理システム」、仕入れや在庫などを扱うシステムを「材料管理システム」として、それらがそれぞれどのような役割を担うべきか検討してみましょう。

　以下に、図1のビジネス分析シーケンス図に計画管理システムと材料管理システムを含めてビジネスの流れを定義したビジネス設計シーケンス図を示します。

図2　ビジネス設計シーケンス図：計画を立てる

　いくつかのビジネスオブジェクトが、システムに置き換えられた形になりました。「本日：販売計画」「本日：製造計画」「翌営業日：製造計画」が計画管理システムに、「レシピ」「在庫」「発注」「仕入れ担当者」が材料管理システムに置き換えられました。これらのビジネスオブジェクトはシステムの形にまとめられましたが、そのシステムを分析していく過程で同様の概念として識別されます。

　次に、このビジネス設計シーケンス図を基に、システムを導入した場合のクラス図を作成していきます。下図は、システム化を検討する前の「計画を立てる」のビジネス分析クラス図です。ビジネス分析シーケンス図と同様に、前回紹介したものに「レシピ」を加えています。