
ITアーキテクトの専門分野を3つに整理
2006/7/26
◆ ITアーキテクト委員会の3つのWG
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「改善指摘WG」では、ITスキル標準がV2にバージョンアップされるのに伴い、ITアーキテクトの実像の明確化、専門分野区分改訂(後述)に伴う定義変更、全体構造変更に伴う定義変更を行った。
「参照アーキテクチャWG」は、ITアーキテクチャに関する技術研究を行う。最新の注目技術や事例収集を通じて、ITアーキテクチャ策定のためのガイドライン作成も行う。
そして、「メタモデル作成WG」は、アーキテクチャのメタモデルを作成することが任務である。ITアーキテクト委員会の主査を務める日本IBMの榊原彰氏によると、「最も進んでいないのがこのWG」だという。ITアーキテクチャのメタモデルを提示することで、ITアーキテクチャに対する見解のぶれを最小限に抑えることができる。あらかじめメタモデルを確立しておけば、「ITアーキテクチャというのはいったい何か?」という根本的な問いに対して、即座に明快な答えを出すことが可能となる。その意味で、「メタモデル作成WG」が担う任務はITアーキテクト委員会のWGの中でも重要度が高い。
◆ ITアーキテクトの専門分野の改訂
ITアーキテクト委員会ではITアーキテクトの専門分野を5つの職務で分類していた。「アプリケーション」「データ・サービス」「ネットワーク」「セキュリティ」「システムマネジメント」の5つだ。
同委員会が設置された時点では、ITアーキテクトの役割に関する議論が十分になされておらず、上記のような5つの仮分類が提示されたのだと推測できる。しかし、ITアーキテクトに関する議論が深まるにつれて、「5つの専門分野で重なるものが多くなることが明らかになり始めた」(榊原氏)。その結果、「アプリケーション・アーキテクチャ」「インテグレーション・アーキテクチャ」「インフラストラクチャ・アーキテクチャ」の3つの専門分野に改訂し、それぞれの職務要件を定義した。
「アプリケーション・アーキテクチャ」は、機能要件を実現するためのITアーキテクチャを設計する専門分野で、主な設計要素は業務機能やデータ、利用者の操作性などである。
「インテグレーション・アーキテクチャ」は、企業内および企業間における統合や連携要件を実現するためのITアーキテクチャを設計する分野だ。フレームワークやシステム間の相互接続性に関係する設計業務に責任を持つ。
「インフラストラクチャ・アーキテクチャ」は、システム基盤要件(主に非機能要件)を実現するためのITアーキテクチャを設計する。セキュリティ、プラットフォーム、システムマネジメントなどが主な設計要素だ。
これらの専門分野に対し、ITアーキテクトが負うべき共通の責務が存在する。キーワードで表現すれば「要件定義」「アーキテクチャ設計」「実現可能性の評価」の3つで、これらの3つの共通責務を、上記のように設計対象とする技術要素によって分類することで、さらに細かい技術要件が明確になる。以前のバージョンと比較すれば、専門分野が3つに圧縮されたため、(専門分野における)ITアーキテクトの責務はシンプルになった。
◆ ITアーキテクチャメタモデルの定義
ITアーキテクト委員会は、プロフェッショナルコミュニティの中でも「最も実態が把握しづらい」(榊原氏)という。職責の不明瞭さを補うこと、また「アーキテクチャ」という概念を明確にするためにも、アーキテクチャのメタモデルを作成する必要がある。アーキテクチャのメタモデルを提示することにより、アーキテクチャに関する見解のぶれを最小限に抑えることができる。アーキテクトが扱う分析・設計要素の明確化という目的もある。
メタモデルを確立するためのベース・コンセプトには「IEEE Std. 1471-2000 “Recommended Practice for Architecture Description of Software-Intensive Systems”を採用するが、いくつかの要素については同委員会独自の解釈を加える。すなわち、ビジネス・アーキテクチャについてもメタモデルを確立すること、Viewにも階層があると考え、View-Contextというレベルを追加すること。具体的には、メタモデルのビューごとにモデル内要素のセマンティクスをUMLと説明記述によって解説する。現在執筆中。
◆ 参照アーキテクチャの調査報告
参照アーキテクチャの調査について、2005年度はエンタープライズ・アーキテクチャ(EA)を基本としたアーキテクチャフレームワークを主な対象としたが、2006年度は具体的なアプローチに関するテーマを中心にして調査・情報収集活動を実施した。EAレベルの参照アーキテクチャは、内部統制(SOX法、COSO、ITILなど)に焦点を絞って情報を収集した。同時に、ソリューションレベルのアーキテクチャに関しても、ガイドラインの策定、評価技法、ITアーキテクチャに関連する注目すべき技術とベストプラクティスをまとめた。評価技法については、ATAM(Architecture Tradeoff Analysis Method)とCBAM(Cost Benefit Analysis Method)を参考にした。
◇
以上、ITアーキテクト委員会の活動内容を簡単に整理した。2003年11月の設立以来、ITアーキテクトの位置付けの明確化やITアーキテクトの責務と活動プロセスの明確化、ITアーキテクチャの明確化といった作業を経て、2006年はITアーキテクトのプレゼンスの向上を目標に活動してきた。2005年にコンサルタント委員会が発足し、その活動領域がITアーキテクト委員会と重複する部分が出てきている。今後さらにITアーキテクトの活動について細部の調整が必要になるだろう。
ITアーキテクト委員会ではITアーキテクトの専門分野を5つの職務で分類していた。「アプリケーション」「データ・サービス」「ネットワーク」「セキュリティ」「システムマネジメント」の5つだ。同委員会が設置された時点では、ITアーキテクトの役割に関する議論が十分になされておらず、上記のような5つの仮分類が提示されたのだと推測できる。しかし、ITアーキテクトに関する議論が深まるにつれて、「5つの専門分野で重なるものが多くなることが明らかになり始めた」(榊原氏)。その結果、「アプリケーション・アーキテクチャ」「インテグレーション・アーキテクチャ」「インフラストラクチャ・アーキテクチャ」の3つの専門分野に改訂し、それぞれの職務要件を定義した。
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- 第1回 ITアーキテクトが備えるべきスキル標準
- 第2回 ITアーキテクトとスーパーSEの違い
- 第3回 情報家電とITアーキテクト、その密接な関係
- 第4回 ITアーキテクトの仕事術:要求の「見える」化
- 第5回 ITアーキテクトはプロジェクトも設計する
- 第6回 わたしはビジネス寄りの技術者です
- 第7回 ITアーキテクトに必要な3つの視点
- 第8回 国のIT基盤を設計するITアーキテクト
- 第9回 ソニー生命保険が考えるITアーキテクト像
- 第10回 ソフトウェア開発の守・破・離
- 第11回 ITアーキテクトの専門分野を3つに整理
- 第12回 アーキテクトはコンポーネントをうまく使う
- 第13回 開発現場を3T(楽しい、定時に帰れる、高い給料)に
- 第14回 デスマーチの構造 Vol.1
- 第15回 デスマーチの構造 Vol.2
- 第16回 見えるビジネスモデリング
- 第17回 経営者はなぜソフトウェア開発環境展に足を運ぶのか
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