集中と分散を繰り返すクライアント環境の歴史21世紀はじめのWeb技術史(1)(1/2 ページ)

2000年以降のインターネット関連技術の動向と、それが企業向けシステム(ここでは主に中規模以上の企業における業務システム)の開発に及ぼした影響について概観する

» 2007年02月09日 12時00分 公開
[原 幹(NTTデータ ビジネスコンサルティング ),@IT]

伝統的なコンピュータアーキテクチャの終焉

 まずちょっとした昔話から。読者諸兄は2000年問題(通称Y2K問題)を覚えておいでだろうか。西暦の下2桁しか想定しない仕様でシステムを構築した結果、2000年になった途端にあらゆるコンピュータが誤動作を起こして世界的な大混乱を引き起こすと予想され、IT業界全体が大わらわになった問題である。結果的にこれらは社会インフラが停止するほどの危機的な事態には至らず、後で振り返るといたずらに騒がれ過ぎた感があったが、この一大イベントもその後のハイスピードな技術の変化に向けた壮大な打ち上げ花火であり、そして20世紀中盤から歴史を刻んできた伝統的なコンピュータアーキテクチャ(実装方式)の終焉と次世代技術の進化の始まりだったのかもしれない。

 筆者はクライアント/サーバアーキテクチャの時代からIT業界にいるが、その時期から2007年の現在に至る技術変化のスピードは目がくらむ思いだ。Y2K問題もわずか7年前の出来事なのだがはるか大昔のように感じられる。新しい技術も現在も日進月歩を遂げ、さらには秒進分歩の勢いで進化を遂げている。

 Windows 95(およびWindows 2000)が広く普及し、インターネット関連技術が企業向けシステムにも広く導入されるようになった2000年以降、企業システム開発の在り方にはさまざまな影響が起きている。この世界では「半年先の予想は不可能」といわれ(ドッグイヤーと呼ばれるゆえんだ)、それだけ技術革新のスピードが速く、進化する技術を追いかけるのに大きな時間と労力を割かなければならない非常に慌ただしい状況にある。

 本連載においては、2000年以降に起きたインターネット関連技術の動向と、それが企業向けシステム(ここでは主に中規模以上の企業における業務システム)の開発に及ぼした影響について概観したい。

 今回は、業務システムにおけるクライアントアプリケーションの実行環境(以下、クライアント環境)の推移を振り返る。

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