ソフトウェアの開発プロセスとしてXPが注目を集めています。多くの開発者が現在のヘビーウェイトな開発プロセスに疑問を感じており、その結果XPの持つ軽量でアジャイルなプロセスに興味を持ったのでしょう。すでにXPの舞台は興味・注目のフェイズから、部分的導入・実践のフェイズに移りつつあります。筆者もXPを実際に体験してみて、XPが先進的企業や開発者だけの興味にとどまらず、これからのソフトウェア開発のスタンダードな考え方になると確信しています。
本連載ではXPを中心に、XPを快適にドライビングするためのツールにフォーカスを合わせていきます。アジャイル宣言(メタボリックス山田正樹氏による日本語訳)にあるように、
「私たちは、プロセスとツールよりも……個人と対話に(中略)価値を置く」
ということで、XP自体は特定のツールにフォーカスするということはありません(ホワイトボードとカードは別ですが)。しかし、実際にXP開発を行うとなると、各プラクティスで効果的にツールを利用することが必要になってきます。適切なツールを選択することで、プロジェクトのスピードを落とさず、ギアをハイにしたまま、プラクティスを実行していくことができます。
本連載がXPを実践するうえで、よい「ドライビングマニュアル」になれば本望です。
まず連載第1回の今回は、XPな開発者の1日をモノローグ風にご紹介します。XP開発で開発者がどう行動し、各プラクティスを実践するうえでツールをどう利用しているのか、全体の雰囲気が伝わればと思います。連載第2回以降で、軽量かつテスト駆動型のXPに向いたツールや技術を実践的に紹介していきます。XPにはプラクティスが12(あるいは14)ありますが、そのうちの、「コードの共同所有」「テスティング」「リファクタリング」「継続した結合」「コーディング標準」を中心に解説を行うつもりです。
本記事は、主に以下の項目に当てはまる開発者・チームを想定しています。
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