「SharePointを使えばいろんなことができる」とは聞いているが、具体的に自社ではどんなことができるのか? 興味を持ちながらも活用イメージが持てず、二の足を踏んできたユーザー企業の皆さんに向けて、“いまからできるSharePointの身近な活用事例”を1つずつ伝授していきます。
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マイクロソフトはこの1年ほど、急速にサーバ商品の改訂を進めてきた。その中でも「Microsoft Office SharePoint Server」(以降、SharePoint)は従来の「Microsoft Office PerformancePoint Server」の機能を取り込むなど、製品としての位置付けを大きく変化させ、いまやOfficeシリーズの中でも“目玉”と呼んで差し支えないほどのポジションを与えられている。
しかし、米国ではSharePointが普及し活用事例も豊富にあるのに対し、日本での導入・活用事例数はいまひとつ伸び悩んでいるようだ。これは導入事例がまだ少ないうえ、データベースサーバのような“分かりやすい”サーバでもないことから、多くの企業が「自社ではどう活用できるのか」を具体的にイメージできないことが原因なのではないだろうか。
そこで本連載では、技術的な視点からではなく、「SharePointとは何か?」「どんなことができるのか」を紹介していきたいと思う。しかし、ただ純粋に機能を説明するだけなら、マイクロソフトのホームページが用意されている。よって、ここではひとひねりして、多くの読者にとって身近でイメージしやすい視点??“Microsoft Office Excelとの連携”にフォーカスして、「現状の業務の延長ではこんな使い方ができる」といった具体的な活用イメージを中心に紹介していきたい。
なお、対象とするソフトウェアのバージョンは、特に断りがない限り、SharePoint 2007、Office 2007を想定している。
では早速、本論に入ろう。まず押さえておきたいのはSharePointの位置付けだ。周知のとおり、2010年5月、Officeシリーズは3年ぶりのモデルチェンジを行い、「Microsoft Office 2010」として、ExcelやPowerPointといったおなじみのオフィスアプリケーションが軒並み機能強化された。
前のバージョンであるOffice 2007が世に出た際は、見た目や使い勝手がそれまでのOfficeシリーズと大きく変わったことから、メディアなどは「見た目」の変更点にフォーカスした報道を行い、利用者らも主に「使い慣れたUIが変更されたこと」に戸惑いの声を挙げていた。
しかし、ここで誤解してはならないのは「単に見た目や操作感の違いだけでなく、実際にはOfficeシリーズの位置付け自体が、Office 2007で大きく変わった」ということだ。それまでは「個人の仕事の生産性を上げるためのツール」であったが、「組織的な仕事の生産性を上げるツール」へとメインコンセプトを変更したのである。
セキュリティ面も大幅に見直され、企業における“基幹系システムの利用者側インターフェイス”としての位置付けが与えられたほか、バックグラウンドにあるさまざまなサーバ群との“連携を前提とした設計思想”に変わったことも注目に値する。
そして最も強調しておきたいことは、そうしたサーバ群の中でも、SharePointはOfficeアプリケーションとの“連携”を特に重視した存在となっていることだ。
ではOfficeアプリケーションとの“連携”で何ができるのか、これについては、実にさまざまなことができるため、一言では説明できない。よって以下ではSharePointが実現できる機能のうち、代表的なものだけを挙げてみよう。
以上のようにSharePointはさまざまなことができる。むろん、より複雑な使い方をしようとすれば、詳細な設定作業やコーディングが必要になる。また、事実上、ActiveDirectoryやSQL Serverと組み合わせて使うことが前提となっているし、メモリも最低でも4ギガバイト必要であり、64bit環境でないと構成することが難しいなど、動作環境の面でも制約が多い。
また、SharePointで「容易に実現できる」と言われているワークフローは、日本企業のようなボトムアップ型の業務フローを必ずしも意識しているわけではない。そのため「差し戻し」など、複雑な条件分岐を行うためには、SharePoint DesignerやVisual Studioなどのツールを使ってワークフローを設定する必要があるなど、“使いこなす”ためには、それなりの知識や手間を要する。
とはいえ、基本的なことであれば、以上のような機能をノンコーディングですぐに実現できることがSharePointの大きな魅力なのである。実際マイクロソフトも、「導入しただけですぐ活用できる」事例を製品ホームページなどでアピールしている。
では次のページでは、ファイルサーバとファイルコンバータ機能を使って、Microsoft Office Excel(以下、Excel)の機能を拡張するケースを紹介しよう。
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