面倒な事務作業もSharePointで効率化できる
2010/8/5
米国ではSharePointが普及し、活用事例も豊富にあるのに対し、日本での導入・活用事例数はいまひとつ伸び悩んでいる。これは導入事例がまだ少ないほか、多くの企業が活用パターンを具体的にイメージできていないためなのではないか――。
そうした考えから、「SharePointとは何か?」「どんなことができるのか」を紹介していこうと開始した本連載だが、第1回ではSharePointの最も基本的な活用例の1つとして、「ファイルサーバ機能」と「ファイルコンバータ機能」を使って、Microsoft Office Excel(以下、Excel)をWebブラウザ越しに使う方法を紹介した。
今回は、あらかじめ設定した人/組織に対して承認作業を発生させたり、承認/未承認といったステータスの一元管理などが行える「ワークフロー機能」を紹介しよう。
簡単な設定でワークフローを自動化できる
ワークフローを簡単に実現できるのは、SharePointの大きな特徴の1つだ。SharePointには、あらかじめ「申請〜承認」「フィードバック情報の収集」「3段階の状態管理」といったワークフローの「テンプレート」が何種類か用意されている。しかも、『サイトAにファイルが登録されたら、テンプレートAに従ってワークフローが開始される」といったように、慣れるとものの3分もあればできるようなシンプルな設定作業で、手軽にワークフローを定義することができる。
そうして1度設定しておけば、例えば以下のようなイメージで、「承認」のワークフローが使用可能となる(「サイト」という概念が登場するが、それについては後述するので、まずはイメージをつかんでほしい)。
- あるサイトにファイルを保存する(もしくは、「ファイルを選択」したうえで、そのファイルに適用したいワークフローを、テンプレートの中から選択、指定する)
- あらかじめ登録された承認者に対して、承認を求めるワークフローが自動的に開始される(電子メールが送信される)
- 承認者はメールを受信後、本文をクリックしてSharePointにアクセスする
- 承認を求められているファイルが表示される
- 承認者は内容を確認後、コメントを記入して承認/却下ボタンを押す
大まかな活用イメージはこれでつかめただろうか。ただ、前回で少し触れたとおり、実際の業務はこのように単純なワークフローでは遂行できないことが多い。SharePointは、「上長が指示・命令を出し、部下がそれを遂行して、結果の承認を求める」ことが当たり前である“米国の企業文化”なら、そのまま活用できるシーンが多いのだが、「部下が立案し、さまざまな利害関係者への調整のため稟議書を回し、調整が終わったら最後に上長が決断する」といった日本的な意思決定プロセスでは、発想そのものが米国企業とは逆になるため、SharePointもそのままでは適用できないことが多いのだ。
- - PR -
従って、冒頭で「SharePointで簡単にワークフローが実現できる」と述べたが、これは「日常業務のワークフローを、SharePointに簡単に置き換えられる」という意味ではない。
よって、SharePointの機能を有効に生かすためには、こうした日本企業独特の事情を考慮し、「一部の対応可能な業務から、少しずつ対象範囲を広げていく」発想が求められる。そこで以下では、単純なワークフローにちょっとした工夫をすることで、すぐに使えるワークフローの活用パターンを紹介しておこう(注)。
- 注: 本連載は「何ができるのか」「どう使えるのか」を紹介することが目的であり、具体的な「操作手順」を説くことが目的ではない。よって、以下では「こんな使い方ができる」ということを説明するために、その操作手順についても簡単に触れているが、より詳細な操作手順については「SharePoint ServerのヘルプとHow-to」(マイクロソフト)などの資料を参考にしてほしい
活用例A:任意のExcelファイルの内容を、承認者に承認してもらう
SharePointが「一種のファイルサーバ」的な存在であることは前回説明したが、ファイルサーバの「フォルダ(ディレクトリ)」に相当する概念が「サイト」である。テーマや部署ごとに「サイト」を設定し、その下位に「サブフォルダ」、同様に「サブサイト」を設定する。もちろん、「サイト」と表現していることから分かるように、一般のWebサイトと同様にブラウザで参照することになる。まずはそうした「サイト」と「サブサイト」を作り、それらに、例えば「申請書」など、承認作業が求められる各種ファイルを保存しておくわけだ。
では、承認してもらうためのワークフローはどのように使うのか? 例えば、業務に必要な備品などを購入する場合、まず申請書に備品の名称や価格などを書き込む――すなわち、ファイルを編集する必要がある。この場合、ファイルはExcelファイルが一般的だと思うので、「Excelファイルを編集する」という前提で説明しよう。
まず、当該ファイルが登録されている「サイト」を開き、当該ファイルを選択する。すると、ファイルの横に表示されるプルダウンメニューから「Microsoft Office Excelで編集」を選択する。そうするとExcelが起動する。
編集が終了したら、「オフィスボタン」から「ワークフロー」を選択する(Excel 2007の場合)。するとウィザードが起動するので、その案内に沿って「承認」作業を開始すると、編集したExcelファイルが自動的に保存されて、その承認のワークフローが開始される。
一方、内容を編集する必要のない、すでに保存してあるファイルの場合はどうするのか? こちらの場合は、そのファイルを表示しているブラウザのプルダウンメニューから「ワークフロー」を選択する。すると「どのワークフローか」を選択する画面が表れるので、そこで当該ファイルに適用するワークフローを選択する。そのうえで「承認」ボタンを押すと、ワークフローが開始される。
![]() |
| 図1 当該ファイルを表示しているブラウザのプルダウンメニューから「ワークフロー」を選択すると、以上のような「どのワークフローか」を選択する画面が表れる。ここで当該ファイルに適用するワークフローを選択する(クリックで拡大) |
これで、あらかじめ設定された承認者に対して、承認を促す電子メールが自動的に送られる。承認者は受け取った電子メールに記されたリンクをクリックしてSharePointにアクセスし、SharePoint上で当該ファイルの内容を確認後、必要ならコメントを記入して「承認」あるいは「却下」のボタンを押す。これでワークフローが完結する。
なお、ここでは詳しい説明は避けるが、一定の設定をしておくと、サイトに新たにファイルを登録(もしくは保存)した時点で、自動的にワークフローを開始させることも可能だ。
活用例B:ワークフローをカスタマイズする
活用例Aは「申請→承認」の2段階であった。では、稟議書を回すようなケースではどうするのか? そんなときには「SharePoint Designer」というツールが役に立つ。テンプレートが存在しないワークフローでも、GUIを使って、コーディングせずに追加定義できる。
例えば、「起票者から1次承認者にファイルを回し、それが承認されたら2次承認者へ回し、さらに3次承認者へ回す」といった標準ルールを作ることはもちろん、「1次承認者が却下した場合には、起票者に差し戻しを告げる電子メールを送る」といったように、一定の条件によってワークフローを分岐させられる。
ただ、条件分岐に求められるデータ項目とは、「作成者」「更新者」「更新日時」のように、ファイルのプロパティにデフォルトで含まれているようなものだけではない。そこでExcelの「カスタムプロパティ機能」を使うことで、「Excelの特定のセル値を条件分岐に使う」といったこともできる。例えば、あるファイルの「セル値の合計」をプロパティとして定義し、その値があらかじめ定めた「閾値より上か下か」によって、ワークフローを分岐させることも可能だ。
こうした「カスタムプロパティ機能」は、Excel 2007であれば、「オフィスボタン」→「配布準備」→「プロパティ」→「詳細プロパティ」を選択すると表れる「ユーザー設定」タブにおいて設定できる。なお、こうした「カスタムプロパティ機能」はWordファイルでも利用可能だ。
![]() |
| 図2 Excel 2007であれば、「オフィスボタン」→「配布準備」→「プロパティ」→「詳細プロパティ」を選択すると以上の画面が表れる。この「ユーザー設定」タブにおいて「カスタムプロパティ機能」を設定する。以上は、ファイルの「セル値の合計」をプロパティとして定義し、その値があらかじめ定めた「閾値(この場合1024)より上か下か」によって、ワークフローを分岐させるための設定イメージ |
なお、SharePoint Designerは独立したアプリケーションであり、SharePointとは別の操作を覚える必要があるが、特定のサーバの知識が必要とされるわけではない。よって、エンドユーザー自身に定義してもらうことも可能であろう。
| Page1 簡単な設定でワークフローを自動化できる 活用例A:任意のExcelファイルの内容を、承認者に承認してもらう 活用例B:ワークフローをカスタマイズする |
|
| Page2 活用例C:Excelファイルの特定のセルの値で、条件分岐させる SharePointだけで、すべての設定を完結しようとするから難しい |
ホワイトペーパー(TechTargetジャパン)
|
|
キャリアアップ
スポンサーからのお知らせ
- - PR -



