トラブル発生、やはり原因は人だった……(第10話)目指せ!シスアドの達人(10)(1/4 ページ)

» 2006年03月23日 12時00分 公開
[大空ひろし,@IT]

前回までのあらすじ

前回システム開発が終了し、稼働を始めた「新営業支援システム」。システムはトラブルも発生せず、順調に動き始めたかに見えたが……。今回は、システム稼働から2週間経過した時点でトラブルが発生する。果たして原因は? また、坂口の三角関係もついに壊れる事態に……。



ついに発生してしまったトラブル

 月曜の朝、坂口は出社するやいなや、不具合対応に追われた。

 坂口の出社を待つかのように、本社から岸谷が来ていたのだ。ドアから入ってくる岸谷の顔を見た坂口は、何かあったのだと直感的に感じた。

坂口 「あっ、岸谷さん、おはようございます!」

岸谷 「坂口君、おはよう」

坂口 「月曜朝から……。その顔は何かありましたね?」

岸谷 「あぁ少しな。まだはっきりしてないんだが、どうも計算が合わないんだ」

坂口 「何の計算ですか。システム導入から2週間は、いろんなものを何回も計算して確認しましたが」

岸谷 「そうなんだよ。配送センターでも、この2週間まったく異常はなかった。だが、どう考えても、在庫が合わない。少な過ぎるんだ」

坂口 「えっ? 在庫が少ないんですか?」

岸谷 「そう、出荷が多いんだよ」

坂口 「出荷が多いかぁ……。売れないよりは良いですけど……」

岸谷 「そう、売れないよりは良い」

坂口 「でも、なぜでしょうか?」

岸谷 「それを調べてほしいんだ」

坂口 「分かりました。そのほかにも、何かありましたか?」

岸谷 「サンドラフトでもうわさになってるぞ、サポートが何かやり出したってな。悪いうわさでないから安心しな。だから頑張れよ!」

坂口 「ありがとうございます!」

 なぜ、いまごろ不具合が発生したのだろうか。坂口たちは仕事の手順を分析し、検討・分析した。外回りの営業担当者からのデータやそれを収めるデータベースも。最近になってやっと、チーム以外の人もそれなりに評価し始めてくれた矢先の出来事だった。

 坂口はすぐに椎名に相談し、原因にまったく手掛かりがない現状では、全員に原因究明を手伝ってもらうことにした。そして翌日、坂口の声掛けでプロジェクトチームの面々が集まった。トラブルへの対応策を検討するためだ。部長ほか、管理職にはまだ連絡していない。

坂口 「昨日、岸谷さんから計算が合わなくなっているという連絡をいただきました。すぐに椎名さんに話して、今日こうしてみんなに集まっていただいた……という次第です。いまはまだ何も分かっていません」

松下 「何の計算が合わないの?」

坂口 「在庫量です。センターは、稼働当初はシステムを疑って監視していたらしいですが、2週間たってみて、出荷連絡表や従来の出荷量などと比べて、それほど違いのない日々が続いたそうです。それでうちからのデータを信用し始めてくれました。しかし、なぜか最近になって出荷量が多くなっているそうなんです」

松下 「つまり、売れ過ぎてるってこと?」

坂口 「そうです。いつもよりたくさん出荷しているんです……売れているのかな?」

谷田 「じゃあ、むしろ良いことですね」

坂口 「そうだけど……。でも、なぜ合わないのかが問題なんです」

椎名 「最終段階でデータの整合性を検証したのは、松下さんと谷田さんだったよね」

両者 「はい。初日から2週間過ぎまで、営業から出された依頼表を『紙』と『データ』の両方で計算して、チェックしました」

椎名 「それで、問題はなかった?」

松下 「ええ」

椎名 「うーん。ここまでは岸谷さんの話と合ってるな……」

坂口 「取りあえず、開始当初の2週間はOKだとしましょう。それ以降に何があったのかですね。これを機会にもう1度見直してみようと思います。松下さんと谷田さんは最初に戻ってもう1度確認してください。氷室さんはその計算を基に、岸谷さんからデータを借りて比較チェックをお願いします。福山さんは、システムとセキュリティを含めて再度チェックをお願いできますか。深田さんは取扱説明書をもう1度確認してください。椎名さんと私は全体を見直しましょう、報告は取りあえず部長にしときますか」

氷室 「え? 報告するんですか?」

坂口 「ええ、事実は事実として、記録もしましょう。これが、その後に役立つこともあるかもしれません。締め切りは、忙しいですが水曜の午前中です。午後ここに集合でどうでしょうか?」

一同 「きついけど、頑張ろう!」

坂口 「じゃあ、皆さんお願いします!」

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