サービス内容を詳細化する手順Webビジネスの立ち上げ、ステップバイステップ(3)(1/3 ページ)

第2回「アイデアのシーズとニーズを探そう」では新規事業を考えるときのコツを検討した。今回はいよいよ事業内容の詳細に踏み込む。

» 2008年01月17日 12時00分 公開
[大川敏彦,ウルシステムズ]

(3)事業・サービス詳細の検討

 次の日、土曜日だということもあって北尾はつい寝過ごして、目が覚めたのは昼過ぎだった。この1週間、なんとか進めることできたが、来週の週末には、部長に対してこの企画の中間報告がある。それが気になって仕方なかった北尾は、食事をしに、近くのファミレスに行くのにも、PCを持っていき、作業しながらでも食べやすいようドリンクバー付きのフレンチトーストのセットを注文した。

 『さて、次は事業・サービスの詳細化だ。とはいえ、どういう風に詳細化すればいいのだろう』

 すぐに行き詰まった。ドリンクバーからダージリンティーを入れて戻ってきた北尾は仕方なく、平松にメールを書いた。


北尾 平松さん、ごめん、休みだけど、メールに気が付いたら、(3)事業・サービス詳細の検討のやり方をもう少し詳しく教えてほしいんだけど。まず、何をどうやって詳細化していったらいいのか全然見当がつかない。どうしたらいいだろう。


 駄目もとで書いたメールだったが、1枚目のフレンチトーストを食べ終わらないうちに答えが返ってきた。


平松 北尾さん、お疲れさま。こんなに早く返事をするとびっくりするかもしれないけど、コンサルの仕事って、見た目よりエレガントではなくて、結構労働集約的なんですよ。実はもう数カ月まともに休みも取れてなくて、土日でも普通に働いています。昨日は、うちのメンバは全員、オフィスにいすを並べて寝転がっていたぐらいです。

  さて、余談はさておき、(3)事業・サービス詳細の検討ですが、先日も書いたとおりなんだけど、そうだね、次の順番で考えてみてはどうですか。

1) サービスの詳細化

 (1)で考えたサービスイメージをさらに詳細にイメージ化していきます。個別のサービスについて、内容が具体的に分かるようになるまで記述していきます。例えば、今回では、先日いただいた資料を基にすると、予定の告知、理事会の議事録、ネット上の決済、意見や苦情や回覧板の公開などをそれぞれ詳細化していきます。システムで提供する場合、後でコストを算出するために、システムの機能が見えるぐらいまで詳細化するとよいのですが、まずは、ある程度のところまで詳細化するということでよいのではないでしょうか。

2) 対象顧客の明確化

 サービスを提供するのに適切な顧客は誰かを考えます。サービスイメージやそれを詳細化したときにイメージした顧客像があると思いますが、年齢、年収、家族構成など、顧客属性みたいなものを事業内容に合わせて明確に文書化していきます。さらに、最初イメージした客層以外にも拡張して考えることで、事業規模拡大の可能性や、サービスイメージの拡張を考えます。

3) サービスの提供形態

 今回、Webシステムでの提供を考えていると思いますが、上記1)サービスの詳細化、で明確化したサービスを、2)対象顧客の明確化、で定義した顧客に、どのようなシステムで提供するかを明確にしていきます。これは後でコスト見積もりをするのにも利用します。

4) フィースキーム

 誰に対して提供する何の価値にどれだけのお金を払っていただくのか、回収方法はどうするのかなどを検討します。ここで決めた単価は、後で収益シミュレーションをするときに使用します。

 済みません。これからレビューが入るので、今回はこれくらいで勘弁してください。

 取り急ぎ。

 平松のメールはここで終わった。ドリンクバーからコーヒーを持ってきた北尾は、早速、1)から考えてみることにした。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ