連載
Web 2.0マーケティング・イノベーション(7)


“真のコミュニケーション”とは何か

ストラテジック・リサーチ
森田 進

2008/10/23

第6回1 2次のページ

ITツールの進展は、消費者とのコミュニケーションを本当に取りやすくしてくれた。だが、ちょっと待ってほしい。まさにいま行っているそのやり取りは、本当に“コミュニケーション”と呼べるのだろうか?(→記事要約<Page2>へ)

ユーザ行動シナリオをもとに、マーケティングを設計する

 ITを活用したマーケティング設計手法に、「ペルソナ/シナリオ」という手法がある。「ペルソナ」と呼ぶ架空のユーザー像の行動シナリオ(誰のために、どのようなときに、どのような場所で、どのような目的で、どのようにそれを使うのか)を想定することによって、ユーザー視点で要件を定義し、製品のユーザビリティや、サービスの顧客満足度(CS)を高める手法である。

 Webサイトのデザイン、マーケティング・コミュニケーション、製品企画など、ともするとユーザー不在の発想になりがちなテーマはさまざまある。しかし、ユーザーの行動をじっくりと観察し、そこからアイデアを発見し、設計に反映すれば、ユーザーにコミットできる確率は確実に高まる。

 そうして導き出された設計は、いずれもユーザーとのコミュニケーション、あるいはユーザーの具体的な体験をコアとしたエクスペリエンス・エコノミー=“経験価値を売り物にする経済観”に基づいたモデルといえよう。また、その実現にはIT(ICT)を効果的に活用することもできる。

 筆者は、企業はいま、この「ペルソナ/シナリオ」という手法を進んで活用し、「ライフスタイルの提案」をもっと踏み込んで行うべきではないかと考えている。もっといえば、平均的な顧客像に自ら満足し、“「らしさ」を追究してきたこれまでのマーケティング”を超える、新しいマーケティング価値を創造しなければならないだろうと感じている。

消費者1人1人の欲求を満たすには、“絆”がカギとなる

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 これまで、商品価値の提案、あるいは商品価値の提案によるライフスタイルの提案は、戦後の社会システムや共同性を背景に、管理された消費行動、すなわち「らしさ」の追究を前提として組み立られてきた。だが、もはやそうした手法はうまく機能しなくなりつつある。

 これは、Web 2.0やソーシャル・メディアの普及とシンクロする形で、消費者自身が“平均的顧客像”という共同幻想を抱いたり、それに合わせて「らしさ」を追究する消費行動を取ったりすることがなくなりつつあるためである。すなわち、消費者1人1人が自ら感じ取り、考え、判断し、提案する消費スタイルに向かって、徐々に変化しているのである。

 消費者との内容あるコミュニケーションを追求しなければならない企業側としては、目まぐるしく変化するニーズの方向性を先取りしながら、話題把握→話題形成→参加・接触促進→効果測定、といった一連のサイクルを組み立てることが求められよう。それによって、消費者が求めている差異化(自分だけの世界を持つ)欲求を充足させ、「個」としての消費者1人1人のアイデンティティを満足させなければならない。

 従って、消費者とのコミュニケーションは、従来のように話題の露出度を重視するアプローチから、自社の取り組みが消費者1人1人に浸透していくプロセスを大切にするマーケティング・コンセプト、すなわち“エンゲージメント型のマーケティング・コンセプト”にのっとったアプローチへ移行することが不可欠となろう。

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“真のコミュニケーション”とは何か
→ Page1
ユーザ行動シナリオをもとに、マーケティングを設計する
消費者1人1人の欲求を満たすには、“絆”がカギとなる
  Page2
コミュニケーションとは、意見を交換し、共有すること
“手段”と“目的”を履き違えてはいけない
“真のコミュニケーション”を実現するメソドロジーが必要


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