
コンサルタントを育成するためには
2007/7/31
PMとコンサルタントの経験学習パターンの違い
前回も登場した松尾睦氏によると、プロジェクトマネージャ(PM)とコンサルタントの経験学習パターンの違いをイメージ化すると図1のようになるという。
(図1)プロジェクトマネージャとコンサルタントの経験学習パターン |
![]() |
【出典】松尾睦著、「経験からの学習」、同文館出版、2006年6月30日、p112 |
この図を見ると、PMは徐々にプロジェクト規模の大きなものを担当し、難易度を高めていく段階的な学習パターンを取るが、コンサルタントは「ゼロからの経験」や「1人で成し遂げた経験」など、修羅場を経験することにより、非段階的な学習パターンを取ることが分かる。
この差は、中核的スキルの差によるものであるという。PMの中核的スキルは、“集団管理スキル”であり、小規模集団の管理スキルから、中規模、大規模と積み上げ式に学習するのが適している。一方、コンサルタントの中核的スキルは“概念スキル”であり、難易度の高い仕事を独力で解決する経験をすることにより身に付けられるからだ。
このように、PMとコンサルタントでは、中核的スキルの相違に起因する経験学習パターンの大きな違いが存在する。
日本人の文化的特徴がコンサルタント育成を困難にしている
さらに、PMとコンサルタントの経験学習パターンに日本人の文化的特徴が影響し、両者の育成難易度に相違が生じている。
- - PR -
文化間の相違を明確にするため、理論的に文化間の相違を表す方法として、ホフステード(Geert Hofstede)氏は、「対人権力距離度」「不確実性回避行動度」「個人主義行動度」「男性度」という4つの概念を用いて、これを表した。
不確実性回避行動度とは、不確実なことを許容する割合を示すものであり、不確実性回避行動度の高い文化では、不確実なことはできるだけ排除されなければならないと考え、奇抜なものや先の見えないものは危険であるとする傾向がある。逆にこの指数の低い文化では、不確実であるということは当然なことであり、奇抜なものや先の見えないものを好奇心の対象とする傾向がある。
ホフステード氏が1968年と1972年に、世界53カ国被験者数11万6000人に実施したアンケート調査の結果は、表2のとおりである。
(表2)主な国の文化尺度数値 |
||||
| 国名 |
対人権力 距離度 |
不確実性 回避行動度 |
個人主義 行動度 |
男性度 |
| アルゼンチン | 49 |
86 |
46 |
56 |
| オーストラリア | 36 |
51 |
90 |
61 |
| ブラジル | 69 |
76 |
38 |
49 |
| カナダ | 39 |
48 |
80 |
52 |
| チリ | 63 |
86 |
23 |
28 |
| デンマーク | 18 |
23 |
74 |
16 |
| フィンランド | 33 |
59 |
63 |
26 |
| フランス | 68 |
86 |
71 |
43 |
| イギリス | 35 |
35 |
89 |
66 |
| 旧西ドイツ | 35 |
65 |
67 |
66 |
| ギリシャ | 60 |
112 |
35 |
57 |
| 香港 | 68 |
29 |
25 |
57 |
| インド | 77 |
40 |
48 |
56 |
| イラン | 58 |
59 |
41 |
43 |
| イスラエル | 13 |
81 |
54 |
47 |
| イタリア | 50 |
75 |
76 |
70 |
| 日本 | 54 |
92 |
46 |
95 |
| オランダ | 38 |
53 |
80 |
14 |
| ノルウェー | 31 |
50 |
69 |
8 |
| パキスタン | 55 |
70 |
14 |
50 |
| フィリピン | 94 |
44 |
32 |
64 |
| ポルトガル | 63 |
104 |
27 |
31 |
| シンガポール | 74 |
8 |
20 |
48 |
| スウェーデン | 31 |
29 |
71 |
5 |
| 台湾 | 58 |
69 |
17 |
15 |
| 米国 | 40 |
46 |
91 |
62 |
| 世界平均 | 52 |
64 |
50 |
50 |
| 標準偏差 | 20 |
24 |
25 |
20 |
【出典】デニス・S・ガウラン/西田司編著「文化とコミュニケーション」、八朔社、1996年4月10日、pp.125-137 |
||||
日本の不確実性回避行動度は92であり、世界平均64に対し、かなり高い値を示している。これは、多くの日本人は堅実に一歩一歩進んでいくことを好み、先の見えない非段階的なものを避ける傾向があるといえる。
従って、段階的な学習パターンを取るPMの育成は文化的に日本人に受け入れやすく、非段階的な学習パターンを必要とするコンサルタントの育成は受け入れにくい。日本人にとって文化的にPMは育成しやすくコンサルタントは育成しにくいといえるのだ。
| Page 1 PMとコンサルタントの経験学習パターンの違い 日本人の文化的特徴がコンサルタント育成を困難にしている |
|
| Page2 コンサルタントの育成には育成側の勇気が不可欠 「純粋なる挑戦」を持つ人だけがコンサルタントになれる |
|
|
|
スキルアップ/キャリアアップ(JOB@IT)
スポンサーからのお知らせ
| 操作もマニュアルも分かりやすい! ユーザー視点で開発されたPC管理ツール New! |
| 仮想化すればコストは削減できるか? 仮想化に必要な「3つの視点」を解説する |
| 情報漏えいで会社の社会的信用を失う前に @ITメールソリューションLive! in Tokyo |
| コスト削減・信頼性向上をまとめて満たす “高信頼Linux”を構築する方法とは? |
| SEの作業時間の大部分を占めるドキュメン ト作成。これを短縮するツールを紹介 |
|

**先週の人気講座ランキング**
〜CCNA編〜
| ◆ | 企業の仮想化に足りない“発想”とは? 仮想化運用管理のキモは意外なところに! New! |
| ◆ | 操作もマニュアルも分かりやすい! ユーザー視点で開発されたPC管理ツール New! |
| ◆ | 仮想化すればコストは削減できるか? 仮想化に必要な「3つの視点」を解説する |
| ◆ | 深刻化する標的型攻撃への備えは万全か? Black Hat Japanで講演した村上氏に学ぶ |
| ◆ | 運用管理の課題を“2つの観点”から分析 ユーザー満足度の高い「仮想環境」とは? |
| ◆ | ドキュメント作成を自動化して、SEの作業 効率を大幅アップ! Visio 2007の魅力 |








