CIOは、“効果額”で攻めのIT活用を啓蒙せよ
2009/12/17
コストカットの風潮をどうみるべきか
第7回『CIOは、ITをものにすべく努めよ』以降、しばらく休ませていただいたが(「近況報告」参照)、その間も本を著したり、大学で教鞭を取るなどしつつ、さまざまな角度から世の中の変化とCIOの在り方を見直し続けてきた。そうした中で、あらためて感じたのが「CIOは本当に進化しているのであろうか」という疑問である。
表1は「各国のICT投資のGDP比率」、表2は「IT投資の方向性」についての参考データである。
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| 表1 各国のICT投資のGDP比率。日本は諸外国に比べ、常に低位置にある(クリックで拡大) 出典:論文『Estimates of Multi Factor Productivity, ICT Contributions and Resource Reallocation Effects in Japan and Korea』Kyoji Fukao、Tsutomu Miyagawa、Hak K. Pyo、Keun Hee Rhee=著/『EU KLEMS Series Vol.U』/EU KLEMS/2008年(日本、米国、EU加盟国を対象とした生産性に関する国際比較プロジェクト、EU KLEMSに寄せられた論文) |
2001年のITバブルの崩壊以降、日本のIT投資は低迷を続けている。特に昨年よりの世界経済の構造破綻の中で、業務プロセスの革新や新たなビジネスモデルを創出するためのIT活用はいっそう影を潜め、陳腐化の回避や情報セキュリティ、内部統制、技術インフラの乗せ替えといった“守りのIT投資”が大半を占めるようになった。特に、インターネットやブロードバンド、携帯電話にけん引されたコンシューマ領域の進展に比べると、企業のITシステムは技術力、活用力、競争力の点で、その危うさを増している。
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| 表2 諸外国に比べ、日本は“攻めのIT投資”に対して非常に消極的だ(クリックで拡大) 出典:ガートナー「IT投資目的の日米比較調査」(2008年)より |
しかし、こうした中でも、先進的な挑戦や、横展開を図ることで大きな効果が期待できるITの活用事例は一部の企業で生まれ続けている。すなわち、IT活用やサービス・イノベーションは停滞、低迷の危険をはらみつつも、新たな革新も並行して進展している以上、テクノロジが進化するほどに、その活用効果の優劣の格差は広がっていくとも思われる。
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では、多様化・多極化する社会、環境問題や持続的発展社会の形成という世界的な課題、生活者起点へのパラダイムシフトなど、新たな時代へ大きな転換点を迎えている中で、CIOは、自らの役割をどうとらえ直せばよいのであろうか。
話が大袈裟になったが、ITの有効活用が進まない理由の1つは、ITバブル以降に広がりを見せた「ITをコストとしてとらえ、リストラの対象と考える」流れも影響している。そして、ITを投資効果でとらえられなくなった背景には、「攻めの経営」や「攻めのための守りの強化」、業務改革や新たなビジネスモデルの創出が少なくなっていることとともに、「IT部門がIT活用の効果を明確に打ち出せなくなっている」ことも一因である。
その点、私は「IT活用は“投資額”ではなく“効果額”で考える」べきだと提案したい。今回はその一例として、私がセブン-イレブンに在籍していた際に開発し、現在は多くの小売業でも導入されつつある「店舗会計業務の自動化と伝票レスの推進」に取り組んだ折の事例を紹介しよう。
近況報告〜サービス・イノベーション活動のさらなる啓蒙に向けて〜
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| Page1 コストカットの風潮をどうみるべきか |
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| Page2 “守りを固めて攻めとなす”で、作業負荷とコストを低減 |
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| Page3 年間270億円、投資額の数十倍のコスト削減を記録 効果を明確に示し、“闇雲なコストカット”の風潮を打破せよ |
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