ITSSは、いまどう使われているのか
2008/6/3
ITSSは多くのIT企業で導入され、活用されている。ITSSの現状を把握したうえで、IT人材育成に効果を発揮しているのかどうか、また、発揮していないのであれば、その原因は何なのかを検討してみる。
ITSSの導入状況
2008年1月29日に情報処理推進機構ITスキル標準センターより発表された「IT人材市場動向予備調査報告書」によれば、ITSSは全体の約3割の企業で利用されており、従業員1000人以上の大企業では、6割を超える企業ですでに利用されているようだ(図表1参照)。
図表1 ITSSの導入状況(1)(クリックで拡大)【出典】情報処理推進機構 ITスキル標準センター「IT人材市場動向予備調査報告書」、2008年1月29日、P43 |
2007年10月に情報処理推進機構ソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC)から発表された「エンタプライズ系ソフトウェアにおけるSE度の実態調査」においても、“すべてのソフトウェア技術者にITSSを導入済み”と答えた企業が4割を超えており、“大部分および一部分のソフトウェア技術者に導入済み”を加えると、7割を超える企業がITSSを導入していることが分かる(図表2参照)。
図表2 ITSSの導入状況(2)【出典】情報処理推進機構 SEC、「エンタプライズ系ソフトウェアにおけるSE度の実態調査」、2007年10月、P26 |
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つまり、いずれの調査結果を見ても、3〜4割の企業がITSSをすでに活用していることが分かる。
IT技術者のスキルは向上したのか?
しかし、ITSSの導入によって、IT技術者のスキルレベルは向上したのだろうか?
ITスキル研究フォーラム(iSRF)では、2002年より毎年1回、IT技術者を対象としたスキル診断をインターネット上で行っており、その調査結果を発表している。
2003年から2007年の調査結果を時系列的に整理してみると、図表3や図表4のようになる。
図表3 ITSSレベル別人材分布の推移【出典】iSRF(ITスキル研究フォーラム)公表資料より作成 |
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図表4 ITSSレベル別人材分布の推移(レベル別)【出典】iSRF(ITスキル研究フォーラム)公表資料より作成 |
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エントリレベルとは、ITSSの未経験レベル、レベル1、レベル2を合算したものであり、ITSSのレベル定義では、「指導者の下で仕事のできるレベル」の人たちである。レベル3は「独力で仕事のできるレベル」、レベル4以上は「指導ができるレベル」であり、レベル3、4がミドルレベル、レベル5以上は企業内外におけるプロフェッショナルであるハイレベルというのがITSSのレベル感だ。
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図表3を見ると、レベル3の技術者の割合が上昇傾向であり、レベル4〜6の割合が下降傾向にあるように見える。また、図表4のようにエントリレベル、ミドルレベル、ハイレベルでの集計を見てみると、全体的に大きな変化は見られず横ばい状態のようだ。
ただし、この調査は対象者が毎年同一である定点調査ではなく、あくまでも不特定多数を対象とした定期調査であるため、調査年度ごとのバラツキが存在することは考慮する必要がある。だが、全体としてのトレンドは把握できる。そして、これらの調査結果を総合すると、日本のIT技術者のレベル別人材分布は2003年から2007年にかけてあまり大きな変化はないといえる。
また、「業界人口が増加して低レベルの人口が増加したために、既存の人材は経験年数に応じてレベルアップしているものの、全体を見ると構成比が変わらない」というケースも考えられる。しかし、IT企業の従業員数推移を見てみると、図表5のように大きな増加は見られない。よって、このような推測は現実には成り立たない。
図表5 情報サービス産業従業員数推移【出典】経済産業省、特定サービス産業動態調査(平成18年版)より作成 |
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以上のことをまとめると、日本のIT技術者のスキルレベルは、ITSSを物差しとして測る限り、向上していないということがいえる。残念ながら、ITSSのIT人材育成に対する効果は、結果として表れていないようだ。
| Page 1 ITSSの導入状況 IT技術者のスキルは向上したのか? |
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| Page2 新人以外の研修時間は新人の1割前後しかない 人材育成にITSS導入が生かされていない原因は |
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