なぜ、人材育成に必要なツールが作れないのか
2008/10/15
CDPとMBOが連携した人材育成の仕組みを構築していても、社内で運用していくためには、ツールが必要になる。素晴らしい仕組みが構築できても、良いツールがなければ運用が困難になり、継続的に運用されずに終わってしまう。
人材育成のように、“長い期間にわたって継続して運用されなければ効果を発揮できない仕組み”にとって、運用を容易にするツールは必要不可欠なものだ。
では、なぜ、現状では人材育成の仕組みに必要なツールが作られていないのだろうか? その原因を追究したうえで、解決策を考えてみる。
人材育成に必要なツールとは何か
前回記述したCDPとMBOを連携させた人材育成の仕組みを運用するためには、少なくとも、「キャリア体系に表された各職種・専門分野・レベルごとに必要な知識を身に付けるためにはどのような研修を受ければよいのか」を整理した研修ロードマップ(図表1参照)と、「どのような経験・実績を挙げる必要があるのか」を整理した実務ロードマップ(図表2参照)の2つが必要になる。
図表1:研修ロードマップ |
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図表2:実務ロードマップ |
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この2つのロードマップがないと、個人別に次の目標とする職種・専門分野・レベルを設定しても、そこに至るための研修計画、実務計画を立案するため、各職種・専門分野・レベルごとに定義された知識項目から必要な研修を自分で探さなければならない。また、経験・実績が定義された達成度指標の内容から、いままで経験していないどのような経験(仕事)をしなければならないかを自分で考え出したりしなければならなくなってしまう。
ロードマップは、社員が研修計画・実務計画を立案する際に必要な、これらの作業を容易にするツールである。
研修ロードマップが作られていない原因
IPAから、ITSSのキャリア体系に基づく研修ロードマップが提供されているが、各職種・専門分野・レベルごとにマッピングされているのはモデルコースの内容であり、市販の研修コースがマッピングされているわけではない。
また、研修ベンダから自社の研修コースをITSSにマッピングした研修ロードマップが提供されているが、もちろん、その研修ベンダの研修コースしか載っていない。ITSSユーザー協会からは、複数の研修ベンダの研修ロードマップを集約したデータベースが提供されているが、登録した研修ベンダの範囲にとどまるものである。もし、すべての研修コースが網羅されたとしても、使う側としては必要な情報と共に不必要な情報も多くなるため、使いやすいものにはならない(図表3参照)。
図表3:自社用研修ロードマップの必要性 |
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自社の人材育成に必要なのは、自社のキャリア体系に合致し、自社に必要な研修だけが記載された研修ロードマップである。
しかし、キャリア体系の構築、人材育成の仕組み作りは行ったが、自社用の研修ロードマップを作っていない企業が散見される。その原因としては次の2つが考えられる。
(1)人材開発部門では現場で必要とする研修を把握できない
研修ロードマップを作成するためには、知識項目やITSSのモデルコースから、自社で使用しているシステム環境(OS、ミドルウェア、パッケージ、開発ツール、運用ツール、ハードウェア機種、ネットワークOSなど)に合わせて、必要な研修を市販の研修から抽出しなければならない。
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IT企業は顧客ごとにシステム環境が異なる可能性があるため、調べなければならない範囲もユーザー企業に比較して広範囲となる。
これを人材開発部門だけで行おうとすると無理がある。各職種・専門分野・レベルに必要な知識項目の内容であれば、抽象度がある程度高いため人材開発部門でも検討できるが、各部門がカバーするシステム環境を把握したうえで、必要な研修を人材開発部門ですべて調査することは非常に困難である。
そのため、人材開発部門で作成した研修ロードマップは、全社共通の知識項目であるヒューマンスキルやプロジェクトマネジメントにとどまっているケースが多い。
(2)現場部門が短期志向
現場部門は、単年度の事業目標の達成が最大の関心事であるため、人材育成に関しても短期志向であることが多い。そのため、いまの仕事に必要な研修は自分たちで調べ、社員を積極的に受講させるが、中長期レベルの人材育成となると少し腰が引ける現場部門が多い。
そのため、現場部門にキャリア体系に基づく研修ロードマップ作りを任せても、日常の仕事に追われ、なかなか作成されない。作成されたとしてもメンテナンスには手が回らず、放置されるケースもある。
| Page 1 人材育成に必要なツールとは何か 研修ロードマップが作られていない原因 |
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| Page2 実務ロードマップが作られていない原因 現場部門と人材開発部門のCFTの構築が成功の鍵 抽象度と適用範囲のトレードオフ |
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