できる情シスはモーガン・フリーマンを目指せ!
2009/8/24
Step 4:解消すべき問題点の仮説を立てる
中長期課題リストに挙がった課題の依存関係を整理し、そこから解決すべき問題点を抽出した「主要問題仮説」を作成します。以下は、2項目からなる「主要問題仮説」を示しています。
| 仮説その1: 組織的な開発能力の不足 |
ITに対する経営者が考える役割や、利用部門の期待に迅速に応えるには、最新技術や構築・運用業務の複雑化を解消する必要がある。そのためには、現状の情報システム部門の組織としてのソフトウェア開発能力が不足している |
| 仮説その2: ワークバランスの問題 |
ITに対する役割・期待に応えて、最新技術や構築・運用手法を駆使するには、人材育成が不可欠であるが、現状の情報システム部門メンバーは、現状システムの安定運用に多くの時間を費やしているなど、ワークバランスに問題がある |
なお、上記の主要問題仮説は、以下のような関係図を作成して組織内でディスカッションを行うことで、中長期課題の依存関係を整理して、主要問題仮説を導き出しています。
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筆者の経験から、この2つの根本的な問題点は、多くの企業の情報システム部門に共通の問題になっているようです。そのため、分析をした結果にこの2つの項目が含まれる可能性はかなり高いと思います。
Step 5:情報システム部門の中長期的な取り組みを導き出す
最後に主要問題仮説で挙がった問題点に対する中長期的な取り組みを、「施策展開図」(ロジックツリー)を作成して、具体化していきます。
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ロジックツリーは、主要問題仮説に対する解決策(How)を方針レベルから具体的な活動レベルに段階的にブレイクダウンする形で作成します。
ロジックツリーから導き出された各改善活動は、コストや期間、前後関係を考慮しながら優先順位付けを行った後は、ToDoリスト(誰が・何を・何時までにを)までブレイクダウンしていきます。以下は、「仮説その1:組織的な開発能力の不足」「仮説その2:ワークバランスの問題」を基にしたロジックツリーの作成例を示しています。
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上記の施策には、2つポイントがあります。1つ目は、部員のスキル向上や社内標準化の推進だけでなく、戦略立案やガバナンスなどの経営者の期待が高い役割に取り組めるように業務負荷の軽減に積極的に取り組んでいる点です。2つ目は、作業省力化や標準化が推進できる部分には、情報システムを積極的に活用しようとしている点です。
目指すはアカデミー助演男優モーガン・フリーマン
今回は、情報システム部門を中長期的に強化するための方向付けと施策を導き出すための進め方を紹介しました。
ここで紹介した図表を使えば、組織内のメンバーにも組織外のステークホルダにも、どういう組織の役割を果たしていくのかを明確にして、確実に目指す目標へ進めることができるようになります。ただし、あくまで仮説に基づいた取り組みですから、定期的に進ちょく状況を確認し、進ちょく度合いに応じた効果が現れているか、モニタリング調査を行い、微調整を行うことが必要不可欠です。
日々発生する直近の課題を解決するための「戦術」を磨くことも大事ですが、中長期の「戦略」的な視点から情報システム部門を時代に合わせて微調整していくことも、情報システム部門が継続的に高いバリューを発揮し続けるためには重要な取り組みです。
情報システム部門は、経営目標や日々の企業活動の「主役」である経営者や現場部門の利用者が持ち前以上の力が発揮できる情報システムを構築し、安定維持する「名脇役」です。目指すは、モーガン・フリーマン(注)のような情報システム部門、というのはいかがでしょうか?
(注)モーガン・フリーマン(Morgan Freeman):アメリカ合衆国出身の俳優、映画監督、ナレーター。2004年『ミリオンダラー・ベイビー』でのアカデミー賞最優秀助演男優賞の受賞をはじめ、数多くの助演男優賞の受賞歴・ノミネート歴を持つ、映画会を代表する実力派国際俳優。
ウルシステムズ 事業推進企画室 シニアコンサルタント。各種情報システムの開発・プロジェクト管理、自社パッケージのプロダクトマネージャなどを経て現職。ビジネス・ITの現状分析や戦略立案、セキュリティポリシー策定などのITガバナンス強化、RFP作成などの情シス支援に携わるほか、ドキュメントインテリジェンスなどの新規ソリューションの企画開発に従事している。各種チャートを活用した課題整理や施策立案、合意形成を得意とする。
前回、プロジェクトファシリテーターになることで目的を達成して最大の効果を生み出す重要性を説く、いわゆる戦術的なアプローチを紹介した。今回は、戦略的なアプローチの仕方を具体的に紹介する。
まずは戦略を立てて、それを組織メンバー全員で共有することが非常に重要だ。戦略を共有することで全体のぶれを防ぐためだ。戦略は、ステップ1「問題意識の共有」、ステップ2「ミッション定義」、ステップ3「課題の洗い出し」、ステップ4「問題点の特定」、ステップ5「取り組みの具体化」の順番で実施するのがよい。
この方法を用いれば、社内外のステークホルダに役割を明確化し、確実に目標へ進めることができるようになる。ただし、定期的に進ちょくを確認し、微調整を行うことが不可欠だ。そして、情シス部門は「主役」である経営者や現場部門が力を発揮できるようなシステムを構築する「名脇役」を目指すべきだ。
| Page1 ゴールのギャップを埋めるための戦略を持つ そもそも、「戦略」的なアプローチとは? 戦略立案のステップ |
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| Page2 Step 1:現状の自分を知り、問題意識を共有する Step 2:情シスのミッションを定義する Step 3:中長期的な課題を洗い出し |
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| Page3 Step 4:解消すべき問題点の仮説を立てる Step 5:情報システム部門の中長期的な取り組みを導き出す 目指すはアカデミー助演男優モーガン・フリーマン |
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- 第1回 ビジネスとITのギャップを埋めるのは誰?
- 第2回 情シスはプロジェクトファシリテーターであれ!
- 第3回 できる情シスはモーガン・フリーマンを目指せ!
- 第4回 ベンダ任せにしないで情シスもPDCAサイクルを回せ!
ホワイトペーパー(TechTargetジャパン)
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