1980年代中ごろまでのIT活用は、事務処理の合理化や意思決定への情報提供など、人間の活動を支援することが主な目的でした。
ところがその後は、発注端末を小売店に設置して受注を拡大するとか、自社カードの発行によって顧客の拡大や固定化を図るなど、ITそのものが経営戦略実現の武器として認識されるようになりました。そのような概念をSIS(Strategic Information System:戦略的情報システム)といいます。
SISを推進するには、IT部門は情報システムを構築して運用するだけの部門ではなく、経営戦略とIT戦略を統合する経営戦略部門に変貌する必要があります。IT部門を統括する人も、ITの専門家ではなく、経営の立場からITを統率できる人材が必要になります。このような必然性によって、昨今ではCIOが重視されるようになったのです。
米国でのCIOへの期待の変化
第1次 | |
---|---|
時期 | 1980年代後半 |
原因 | SISの概念 |
特徴 | 経営重視の時代 |
経営的観点が必要→IT技術者軽視論 | |
第2次 | |
---|---|
時期 | 1990年代前半 |
原因 | ダウンサイジング |
特徴 | IT素人CIO追放の時代 |
IT動向の不透明性→IT動向への見識、方向性指導力 | |
第3次 | |
---|---|
時期 | 1990年代後半 |
原因 | インターネット |
特徴 | プロフェッショナルCIOの時代 |
経営への影響大→IT知識は経営者共通→プロのCIOが必要 | |
1990年代前半には、業務プロセスの抜本的な改革が必要だとされ、BPR(Business Process Reengineering:単にリエンジニアリングともいう)の概念が普及しましたが、BPRを実現するためには、ITの活用が重要であると指摘されました。さらに、インターネットの発展は、ITの活用が企業の浮沈に影響するようになりました。このような状況の変化によって、ますますCIOの重要性が認識されるようになったのです。
また、1980年代末ころからのダウンサイジングにより、ITの発展動向が一変しました。インターネットはそれを加速させました。このような不確実性が増大したときに、自社の取るべき方向を示すためにも、CIOの存在が必要になったのです。
このような理由によって、現在では日本でも、ほとんどの大企業にCIOが置かれています。
【関連用語】
SIS(Strategic Information System)(@IT情報マネジメント用語事典)
BPR(Business Process Re-engineering)(@IT情報マネジメント用語事典)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.