■2分 − システム開発の進め方
●まずは役割分担をはっきり認識しておこう
では、実際にシステムを開発するには、どのように進めればよいのでしょうか? 1つの業務でも複数の組織が関係していたり、利活用すべきITも複雑化しているいま、システム開発を成功させるためには、まず関係者の役割分担をはっきりさせておくことが大切です。
システム開発には数多くの役割がありますが、今回は分かりやすく4つに整理してみました。( )内はシステム開発を社屋建設にたとえた際のイメージです。頭の中で当てはめながら、それぞれの役割分担をイメージしてみてください。
| システム開発の関係者が担う役割 | |
|
ユーザー(建て主) |
新しい業務のイメージを発案、要望しコンピュータに期待することを示す |
SE(建築士) |
業務の仕組み全体を設計し、業務・組織とコンピュータの連携方法を整理する |
プログラマ(施工技術者) |
コンピュータへの期待を実現する |
プロジェクトマネージャ(現場監督) |
システム開発の計画を立てて、業務刷新の進捗をコントロールする |
●手順は大きく分けて3段階
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次に開発手順を説明しましょう。開発工程の切り分け方や進め方には「V字型アプローチ」と呼ばれるものをはじめ、いろいろな方法論があります。しかし、ここでは思い切って序盤、中盤、終盤の3段階に切り分けてしまいましょう。
では、それぞれにおいて、どのようなことをするのでしょうか? 「1分」で紹介した「ユーザーにとってのシステム開発」を構成する3つの要件を思い出してください。これは、そのそれぞれを実現するための手順となります。
●序盤──新しい業務の仕組みを考える
序盤におけるシステムの検討段階ではユーザーが主体です。企業戦略に基づいて新しい業務をイメージし、コンピュータに期待することを明らかにします。その際、SEは“プロセスモデル”や“データモデル”と呼ばれるモデルを、専用の書式を使って表現し、コンピュータに対する要求を設計図にもれなくまとめていきます。特にSEが行う設計に先立って行われる検討作業は、上流工程のさらに上流という意味で「超上流」工程とも呼ばれ、システム開発における最も重要な工程として位置付けられています。
●中盤──業務に合わせてコンピュータシステムを作る
中盤はモノ作りが主になります。序盤で作った設計図を基にシステム(ソフトウェアなど)を構築するのです。仕上がりに期待するなら、社屋の建築と同様、信頼できるプロの“施工技術者”に任せましょう。
ソフトウェアが思いのほか融通の利かないものであることは、ご存じでしょうか? 現在の情報システムの機能や構造は、小屋ではなくビル並の複雑度を備えています。「ちょっとした変更」があちこちに影響するため、手直しには意外に大きなコストと手間が掛かります。「作りながら考える」ようなアプローチでは、とても満足できる完成品を手にすることはできません。
確かに要求は日々変化しますから、「作りながら考えたい」気持ちは分かります。しかし、でき上がったシステムは結局何年も使うのです。思い切って、序盤で本当に必要な機能だけに絞り込んでしまいましょう。例外処理にとらわれず、本当に必要機能をしっかりと押さえたシステムを作ることが費用対効果を高めるコツです。
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| 図2 序盤では、業務の仕組み全体のうち、コンピュータができることを洗い出して設計図を作成し、中盤では設計図に基づいてシステムを構築し、終盤で本番環境に適用する。その後も適用効果を調べる |
●終盤──システムを導入して、業務の効果・効率を上げる
終盤では、出来上がったシステムがきちんと機能するかどうかテストし、さらにユーザー側で設計仕様書どおりに作られているか、検品・検収をしたうえで、いよいよ本番の業務環境に移行することになります。さらに、運用開始後は、投資に見合った効果が得られたか、運用に掛かる費用は最少化されているか──といったことをポイントに導入効果を測ります。
その際、重要なことが2つあります。1つは、システムで得られる効果は序盤で検討した内容以上にはならないこと、もう1つは「情報化投資の7割以上に達する」といわれているシステムの維持・運用費も、やはり序盤で設計したアーキテクチャに依存してしまう、ということです。序盤での検討結果が、すべてを決めてしまうのです。
| 「3分 − システム開発は“最初”が肝心」 |
| Index | |
| 5分で絶対に分かるシステム開発 | |
| 「システム開発」と聞いて、ユーザーが考えること | |
| 1分 − “システム”開発とは何か | |
| 2分 − システム開発の進め方 | |
| 3分 − システム開発は“最初”が肝心 | |
| 4分 − よいシステムを、適正な価格で作るコツ | |
| 5分 − 要求をきちんと伝えるのが発注者の役割 | |
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