あどみちゃんのITマネジメント超常識特別企画 超常識シリーズ(3)(6/6 ページ)

» 2008年09月26日 12時00分 公開
[構成:@IT情報マネジメント編集部, イラスト:カトウナオコ,@IT]
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超常識その5 - プロジェクト管理と運用管理

重要なプロジェクトマネージャの役割

 情報システムの構築は、自社の何かの問題解決のために行われます。問題解決アプローチは大まかに、現状分析型と理想設定型に分けられます。両方のステップを踏む方法??まずは現状モデル(AsIs)を整理し、次に理想モデル(ToBe)を描き、最後に両モデルを比較して現実を加味して目標となる次期モデルを作成する、という方法もあります。

 この次期モデルを作る作業を「要求定義」といいます。利害関係者の多い、大規模なシステムではみんなが欲しい機能を言い立てるだけになってしまうことがありますが、これでは要求定義とはいえません。「矛盾した要求」「過不足ある機能」を整合性のあるものに体系化することが不可欠です。予算やスケジュールの調整も必要です。これらの管理を行うことをプロジェクトマネジメントといいます。

 SIerや開発会社に業務委託する場合、業者側にプロジェクトマネージャ(PM)が立つでしょうが、この人にすべてを丸投げしてはいけません。受託元である自社にもカウンターパートとなるPMをアサインすべきです。ベンダ側のPMは基本設計から後ろの工程に責任を持ち、プログラマやそのほかのエンジニアなどをコントロールします。ユーザー側のPMはベンダとの窓口となるとともに、社内の調整作業を受け持つことになるでしょう。また、引き渡されたシステムをユーザーに使ってもらえるよう、教育や研修、啓蒙(けいもう)、マニュアル作りなどにも配慮する必要があります。

 「プロジェクト」は、繰り返し行われる「ルーチンワーク」に比べて、予期せぬ出来事が発生しやすく、成功させるのは難しいものです。場合によっては政治力や胆力が求められるかもしれません。それだけにプロジェクトマネジメントは重要な仕事です。

 プロジェクトが社内で多数実施されるような企業では、個々のプロジェクトマネージャを支援するPMO(プロジェクトマネジメント・オフィス)を設置することも考えられます。

忘れちゃいけない、運用管理

 情報システムは、カットオーバーして終わりではありません。ユーザーが使って効果を挙げてこその情報システムですから、運用フェイズは極めて重要です。

 真っ先に問題になり得るのが、障害やトラブルの発生です。実際に障害が発生したら緊急対応しなければなりませんが、障害が発生しにくい仕掛けや発生してもリカバリできる対策、障害を事前に察知できる仕組みを考えることも大切です。また、市場や取引先の変化によって業務は常に変わっていますから、システムの機能変更や設備増強の要求も日常的に上がってきます。

 緊急対応であれ、部分的な機能変更であれ、誰かが勝手に変更してかえって問題を悪化させたり、のちのちの変更と不整合を起こしたりしないように、ちゃんと記録を取り、責任者の承認を得て作業を行うことも必要です。昨今では、内部統制の面からも運用プロセスの整備が求められるでしょう。

 このような運用プロセスの整備に役立つのが「ITIL」です。これはITサービス管理に関するノウハウを体系的にまとめたガイドラインです。日常的な運用管理業務をテーマとした「サービスサポート」と、中長期的な運用管理計画の策定を題材にした「サービスデリバリ」を中心に、IT運用管理における望ましい組織体制や対処手順を説明しています。また、IT管理業務を定量化し、効果的な財務管理を実現するための手法も紹介しています。

 もちろんIT管理業務だけではなく、ユーザーにとって、あるいは会社にとって役立っているかどうかを定期的に評価することも大切でしょう。これを測る指標に決まったものはありません。各会社の哲学のようなものが反映される部分でしょう。

 昨今では環境保護意識の高まりとともに、ITの世界でも「グリーンIT」というキーワードが浮上してきました。各ベンダがグリーンITを意識した低消費電力のサーバやストレージ製品を出しているほか、仮想化技術を応用してサーバの稼働率を上げる試みが各企業で取り組まれています。「地球に優しい」もこれからのIT指標・経営指標として注目されていくことになるでしょう。

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